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私立中高進学通信

2021年9月号

私学だからできるオリジナル教育

共立女子中学校

生徒を伸ばす「教える美術教育」
豊かな情操を養う

30年以上前から美術教育に力を入れている同校。教員が手本を示して理論を説く「教える美術教育」を体現する授業に、生徒は夢中で取り組んでいました。
素材の違う静物を描く技法を学び、デッサンする中1の生徒たち。モニターに写し出される手本を参考にします。

素材の違う静物を描く技法を学び、デッサンする中1の生徒たち。
モニターに写し出される手本を参考にします。

絵の描き方を学び
描く喜びを味わう

 同校の美術は、「教える美術教育」という基本理念を背景としています。

「30年ほど前から、もう一人の美術科教員・上田祥晴先生と一緒に、大きな画面を使って実演しながら、絵の描き方を具体的に教えています。私が学生の頃は、美術の教員は絵の描き方をあまり具体的に教えなかったものですが、自分が教員になって技法を教えたところ、『自分も上手く描ける!』と生徒の目が輝いたことが始めたきっかけです」(教頭・美術科/中城芳裕先生)

 西洋画の世界ではレオナルド・ダ・ヴィンチの時代から、絵を描く技法が脈々と伝わっていると言います。

「手本を示して理論を教えれば、美術の力は必ず伸びます。写実的な描き方は知らないより知っていたほうがいいのです。小学生に技法を教えるのは早いかもしれませんが、中学生になると自由奔放に描くだけでは気持ちが満たされません。技法を学ぶのにちょうどいい年齢だと思います」

 同校の「教える美術」を取材するため、授業を見学しました。中1は「骨、ステンレスのカップ、積み木」という素材の違う静物を鉛筆でデッサンする授業でした。4台のモニターがサンプルの絵を映し出し、3〜4人に1セットずつ静物が置いてあります。講師の先生がスクリーンに大きく手本の絵を投影し、「積み木の木目は線で表現するだけではなく、鉛筆でぼかすこと。鉛筆で積み木の表面を塗ってから、練り消しゴムを使って消し、様子を見ながら何度か塗る」といった技法を教えていました。

 また、高1の授業では油絵に取り組んでいました。中央に石膏像が7体あり、それぞれ自分の前にある像を描きます。講師の先生が生徒の間を回り、髪の毛の光が当たっている部分と陰になっている部分の描き方の違いを教えていました。

鑑賞力を育む
校内に飾られた絵画作品

 同校には、草間彌生、野見山暁治など、著名なアーティストの作品が飾られています。

「本校は記念品として絵画作品を寄贈していただくことが多く、生徒たちが日常的に芸術に触れる機会が多いのも特徴だと思います。今まで寄贈された作品を集めて、近々、4号館4階に『共立ギャラリー』を開設する準備を進めています。
 放課後に一人で絵の前に佇んでいる生徒を見かけることがあります。鑑賞は美術教育の中でも重要な要素ですが、本校には自然にそれができる環境があると思います」(中城先生)

 校内に飾られた絵画作品に加えて、国立近代美術館が徒歩圏内という文化的に恵まれた立地にある同校。アートに囲まれた環境の中、絵を描く楽しさを味わうことで豊かな情操が育まれています。

中1の授業は「骨、ステンレス、木」の質感の違いを描く
講師の先生は生徒の間を回り、具体的なアドバイスを送ります。講師の先生は生徒の間を回り、具体的なアドバイスを送ります。

 黒板に「骨、ステンレス、木」と書かれている通り、今日のテーマは3つの素材の違いをしっかりと描き分けることでした。

「骨=頭蓋骨は陰が3段階から4段階あり、鼻筋や耳など、場所によって骨の厚みが違う」「ステンレスの質感に必要なコントラストを出すには、先に鉛筆で塗ってから練り消しゴムで消すこと」「木目は縦横のラインをしっかり描くと本物らしく見える」など、講師の先生が詳しく説明していました。

 特に頭蓋骨をしっかりデッサンできるようになると、中2で自画像を描く際にも役立つそうです。

2BやFといった柔らかい鉛筆ばかりではなく、硬い鉛筆を使うときれいなグレーに塗ることができます」と講師の先生。生徒たちは夢中で鉛筆を動かします。2BやFといった柔らかい鉛筆ばかりではなく、硬い鉛筆を使うときれいなグレーに塗ることができます」と講師の先生。生徒たちは夢中で鉛筆を動かします。
素材を表現するのが難しいステンレスのカップ。陰をしっかり塗ると、練り消しを使ったときに白さが際立ちます。素材を表現するのが難しいステンレスのカップ。陰をしっかり塗ると、練り消しを使ったときに白さが際立ちます。
美術の授業で制作した作品の中から、秀作が掲載される年1回発行の小冊子『KYORITSUGALLERY ぱれっと』は、来年で30号を迎えます。美術の授業で制作した作品の中から、秀作が掲載される年1回発行の小冊子『KYORITSUGALLERY ぱれっと』は、来年で30号を迎えます。

高1の授業は油彩で石膏像を描く
ピンクの作業着を着て油絵に取り組む生徒たち。講師の先生と、この日は教育実習生がサポートしました。ピンクの作業着を着て油絵に取り組む生徒たち。講師の先生と、この日は教育実習生がサポートしました。
モニターには時間差でそれぞれの石膏像が映し出されます。モニターには時間差でそれぞれの石膏像が映し出されます。
中2から油絵に挑戦します。高1になると油絵の具の扱いにも慣れ、落ち着いて作品に向き合うことができます。中2から油絵に挑戦します。高1になると油絵の具の扱いにも慣れ、落ち着いて作品に向き合うことができます。
先生から一言
青春時代の作品は
かけがえのないものです
教頭・美術科/中城芳裕先生教頭・美術科/中城芳裕先生

 先日、美術関係に進み、現在は東北でボランティアに携わる卒業生から、「『ぱれっと』に載った中2のときの自画像ですが、作品はまだ残っていますか?」という連絡がありました。約30年前、この冊子を作り始めた頃の作品です。2度と戻らない14歳の自分を描いた作品はこの世に1点しかありません。本校で学んで、大人になってふと思い出す作品が1点でもあれば、それはとてもすてきなことだと思います。その卒業生は、今度作品を取りに来ると話していたので、会えることを楽しみにしています。

(この記事は『私立中高進学通信2021年9月号』に掲載しました。)

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