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私立中高進学通信

2022年8月号

実践報告 私学の授業

共立女子中学校

自分らしさを活かす力を育む
『共立リーダーシップ』

主体的に動いて周囲や他者を支援できる新しい時代のリーダーシップ
活発な意見交換が行われている授業の様子。グループ活動やワークを通して学ぶことで、より良い人間関係を結ぶための「互いを知る場」にもなっています。

活発な意見交換が行われている授業の様子。グループ活動やワークを通して学ぶことで、
より良い人間関係を結ぶための「互いを知る場」にもなっています。

周囲を支え強みを引き出す
新しいリーダーシップの形

 予測不可能な社会のなかで、働き方や学び方は、一つの答えを追究するものから、未知の課題を発見し、プロジェクト型で解決していく方法に変わってきました。共立女子では、グローバル化が進む社会において、必要とされるリーダーシップは、周囲をぐいぐいと引っ張る力ではなく、「互いの力を引き出しながら目標を達成する力」だと考え、2022年度から総合探究『リーダーシップ開発プログラム』を、中1生を対象にスタートしました。主にロングホームルームの時間を使って、教科書にはない、新しい学びを実践しています。

 プログラムの前期では、「自分らしいリーダーシップを探究しよう」が目標です。リーダーシップに必要な3つの要素を理解し、自分やクラスメートの良さを知ります。後期の目標は「プロジェクト型学習を通して自分の強みを知ろう」です。前期に理解したリーダーシップを、プロジェクト活動を通して実践し、自分の強みについて仮説をもつまでをゴールとして想定しています。

「本校は1学年8クラス320名という、都内の中高一貫校では最大規模を誇ります。『リーダーシップ開発プログラム』を通して、一人ひとりが集団に埋没することなく、その場に応じた自分の強みを活かし、学校生活のさまざまな場面でかかわっていけるような力を伸ばしていきたいと思っています」

 と、プロジェクトのアドバイザーである金井圭太郎先生は話します。

自分の長所を活かして
自分なりのリーダーシップを

 金井先生はもともと長期休暇に、教科横断型の講座を同校で企画・開講していました。3年前から共立女子大学ビジネス学部の教員の協力を得て、そこにリーダーシップ開発の要素を加えるようになりました。先生自身もリーダーシップ開発について研さんを積み、現在は大学でも教壇に立っています。

 今回、中1生が学ぶプログラムは、これまで大学の授業で磨かれた内容を、中学生向けにアレンジしたオリジナル版です。中高6年間だけなく、その先も見据えた意欲的な取り組みなのです。

「本校がめざす新たなリーダーシップは、短期間で身につくものではありません。中高6年を通して学び、『できることには自分から手を挙げる』『積極的に仲間を助ける・助けを求める』といった、主体的に行動できる力を養いたい。そうすれば、将来、さまざまなチャンスが巡ってきたときに、自分の強みから役割を見出し、自主的に参画できる人になれます。それが『共立リーダーシップ』が最終的にめざすところなのです」

共立女子大学で実践する
『リーダーシップ開発プログラム』をアレンジ

 共立女子大学ビジネス学部で必修の『リーダーシップ開発プログラム』は、自分の個性を活かし他者と協働して進めていく力をリーダーシップだと考える『共立リーダーシップ』(下図参照)の考え方をベースにしています。金井先生は他学部の学生でも同じプログラムを学べる教養科目を担当していますが、大学生にも「さまざまな場面で自分らしく貢献するスキルが身についた」と好評を博しているそうです。

「中学生を対象としたプログラムでは、大学生のようにビジネス課題を解決するというより、良好な人間関係を築くことに重きをおき、授業や部活動、行事において支えになるようアレンジしています。
 プログラムの後期は、生徒が身近に感じることをテーマに、課題解決学習に取り組む予定です。生徒の生活実感とかけはなれた社会課題を提示しても、理想論ばかりになってしまうおそれがあります。身近で実現可能な課題を提示していきたいですね」(広報部主任/金井圭太郎先生)

共立女子大学が掲げる『共立リーダーシップ』の考え方。これを中高向けにアレンジしています。

共立女子大学が掲げる『共立リーダーシップ』の考え方。これを中高向けにアレンジしています。

授業レポート
「リーダーシップとは何か」を説明してみよう!
自己と他者への理解を深め、自らの活かし方を考察
発表後は必ず「振り返り」を行い、取り組みを見つめ直して次への学びにつなげます。発表後は必ず「振り返り」を行い、取り組みを見つめ直して次への学びにつなげます。

 入学から5月にかけて行われた授業では、リーダーシップを「組織やチームが目標を達成するために、個々人が他者へ及ぼす影響力」と定義づけ、そのミニマムな要素として「目標設定・共有」「相互支援」「率先垂範」の3つがあることを学んだ中1生たち。A4用紙を使って紙のタワーを作る「ペーパータワー」(※)のワークをしたり、リーダーシップを引き出すための効果的な質問を考えたりと、いずれも教科書にはない、新しい学び方を実践しつつ、理論を知ることで新しいリーダーシップへの理解を深めていきます。

 取材当日は、その一区切りとして、これまで学んできた「リーダーシップとは何か」について、「人に教えられるレベルで理解する」ことを目標に、グループワークを行いました。わかりやすく伝えるには、自分がしっかりと内容を理解していることが必要です。「振り返る」「教えることで学ぶ」ことの大切さを実感する取り組みとなりました。

 各グループとも、目標を確かめ合ったり、発表を助けたり、率先して提案をするなど、イキイキとポジティブに活動する姿が印象的でした。

※ペーパータワー…紙だけを使って、タワーを作るゲーム。チームビルディングのためのグループワークとしてよく知られている。

クイズ形式で問いかけたり、紙に図やイラストを描いて解説したりと、工夫して「リーダーシップとは何か」を説明。クイズ形式で問いかけたり、紙に図やイラストを描いて解説したりと、工夫して「リーダーシップとは何か」を説明。
発表に使うスライドは、タブレット端末で作成。発表に使うスライドは、タブレット端末で作成。
「リーダーシップ開発」で生徒たちの心が柔らかくつながる

 1カ月のワークを通して、リーダーシップについて生徒たちはかなり理解を得たようです。今回もグループ発表の際、発表者が「これからみんなにていねいに楽しく説明するね」と声かけをしていましたが、まさにリーダーシップ最小三要素の「目標設定・共有」と合致します。聞く側も相づちをうったり、大きく拍手をしたりと発表しやすい空間をつくっています。話し合う場でも、自由な発想で伸び伸びと活発に意見交換ができています。

 このプログラムは入学して間もない日から行われたため、友人づくりのきっかけとしても大きな存在でした。リーダーシップの学びを通して仲間とともに支え合うことの大切さ、一人ではできないことも仲間と一緒なら達成できる喜びなど、人が他者に与える影響力の大きさ・ありがたさに気付く良い機会になっているのではないでしょうか。(中1担任/荻江瞳先生)

(この記事は『私立中高進学通信2022年8月号』に掲載しました。)

進学通信 2022年8月号
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