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私立中高進学通信

2023年12月号

実践報告 私学の授業

駒込中学校

どうやったら動く?
電動自動車作りに挑戦

AIを使いこなせる主体的な
問題解決力を育むSTEAM教育特別授業

埼玉大学教育学部・野村泰朗准教授(STEM教育研究センター代表)の指導のもと、STEAM教育の特別授業を受ける中1生。

1枚の段ボールから電動自動車を作り上げ、プログラミングで動かす取り組みに中1生が挑戦。トライ&エラーの体験から思考力を育みます。

シンプルな素材から
複雑なものを作る力

 高校に『理系先進コース』を設置し、最先端のSTEAM教育を柱とする理系教育に取り組む駒込。カリキュラムは、埼玉大学を拠点にグローバルにSTEM教育の研究実践を展開するSTEM教育研究センターと共同で開発されており、『STEAM特別講義』『科学倫理』『実践数学』など独自の授業や課外活動を取り入れた最先端のSTEAM教育を実践しています。

 高校の『理系先進コース』で実践している学びを中学段階から経験し、論理的、科学的に筋道を立てて考え、課題に取り組める主体的な問題解決力を養うため、同校では中学全クラスを対象に、STEAM教育の特別授業を行っています。

 7月に行われた中1の特別授業では、グループで1枚の段ボールから電動自動車を作りプログラミングで動かすという課題に挑戦しました。講師は、『理系先進コース』の授業にもチームティーチングのサポート役として参加している、埼玉大学教育学部准教授でSTEM教育研究センター代表の野村泰朗先生です。

 今回の特別授業では、教員が手取り足取り教えることはせず、与えられたミッションの達成をめざして生徒自身が用意されたテキストから必要な情報を探して理解し、車の形状やモーターとの接続、動かすためのプログラミングを考えていきます。

 時間内に完成できなかったグループや、プログラミングがうまくいかずに動かせなかったグループもありましたが、2コマの授業時間中、誰一人として集中力を切らさず、目を輝かせて電動自動車作りに熱中していました。

他教科では得られない
STEAM教育の効果

「今回の特別授業では、生徒たちが自ら考え、判断し、試行錯誤しながら電動自動車を作成しました。相談しながら修正したり、他グループと情報交換したりと協働する場面も多く見受けられました。理数系の苦手な生徒がモーターの組み立てやプログラミングで活躍する場面もあり、生徒の意外な一面を知ることもできました。理数教科を好きになるきっかけにもなったと思います」

 と、中1担任である宮上祐己先生は話します。

 さらに、一番大切なのは『失敗を恐れずに取り組む姿勢』だと宮上先生は続けます。

「現代の子どもたちは、失敗を恐れて挑戦しない傾向が強いように感じます。心が柔軟な中学生のうちに、失敗を恐れず行動することや失敗から学ぶ経験をしておくと、これから先、さらなる成長ができると考えています」

 AI技術がいくら進展しようとも未知の諸問題が山積する現代において、自ら問題を解決していく人間の力は不可欠です。

「こうした授業を通して、まず行動して経験値を得て、そこから法則性や自分なりの考え方を見いだしてほしい。そのためにも本校ではSTEAM教育を通し、『失敗してもいい』『失敗から学ぼう』というメッセージを生徒たちに送り続けたいですね」(宮上先生)

授業レポート
難しいと思ったら面白かった!
理系が苦手な生徒も夢中に! 段ボールで電動自動車を作り走らせる

 講師の野村先生による『AIの発展を背景に、これからどんな社会が到来するか?』についての講義が行われ、その後2~3名のグループに分かれて実習がスタート。机には段ボールとモーターが置かれており、生徒たちは講習のミッションに必要な要素となるアイコンの接続方法や命令表、センサーやサンプルコードなどの知識が入手できるテキストを読み込み、1枚の段ボールから自動車のパーツを作り、プログラムを組んで走らせなければなりません。

 最初はとまどっていた生徒たちも、次第に役割分担を決めて作成にとりかかります。野村先生がサンプルの電動自動車を走らせると、生徒たちが集まってきて前のめりに質問をしてヒントを得ようとしていました。

 自動車は完成したものの、モーターとの接続に失敗してしまうことも。野村先生をはじめ同校の教員も複数参加して様子を見守りますが、生徒の自由な発想を尊重し、声かけも最低限にしています。

 自動車作りを成功させることが目的ではなく、車を動かすためにアイデアを形にして試みる経験こそが、課題解決力や思考力を育てるからです。

Step 1考えて組み立て、プログラムも作成
ipadを用いてプログラムを完成させている写真です

iPadにテキストをダウンロードして読み、自分で考えて電動自動車を組み立て、
動かすためのプログラムを完成させていきます。

Step 2サンプルを観察して仕組みを考察
野村先生が作成したサンプルの電動自動車を観察している生徒の写真です

野村先生が作成したサンプルの電動自動車を観察。
「どうやって接続しているのだろう?」と、チームで話し合います。

Step 3グループごとに試行錯誤
試行錯誤している生徒の写真です

タイヤが完成! しかし今度はモーターのプログラムがうまく作動しません。
相談しながら別の方法を考えるプロセスを踏むことで、試行錯誤する面白さも経験できました。

生徒に聞きました
トライ&エラーを繰り返し
熱中して取り組みました
S.Hさんの写真ですS.Hさん(中1)

 機械にはあまり触れてこなかったので最初は戸惑いましたが、組み立て方がわかってくると作成に熱中しました。入力したコマンドを誤って消してしまい、再度入力するのは大変でしたが、最後に電動自動車が動いた時は、とてもうれしかったです。数学は苦手ですが、今日の授業は楽しくできました。


初めての機械の組み立てに
夢中になりました
K.Tさんの写真ですK.Tさん(中1)

 理数系が得意ではないので、最初はパーツを見て『これは何だ?』と思っていましたが、説明書をよく読んで取り組んでいるうちに、いろいろと仕組みがわかってきました。試して動かすことがとても楽しく、あともう数時間トライしたかったほどです。またこういう機会があればぜひやってみたいです。

ココも注目!
自ら考え、正解を導く貴重な経験
インタビューを受ける野村先生の写真です埼玉大学教育学部准教授 STEM教育研究センター代表/野村泰朗先生

 STEAM教育によって、従来の教科で学んでいる知識が不要になるわけではなく、特にこれからの時代は数学や理科の知識を活用し、科学的思考力を働かせて新しい価値を生み出すことが、今後の社会で求められているのです。

 今回の授業で生徒たちは『電動自動車を作って走らせる』という目標だけを与えられ、その方法を自分で考えなくてはなりませんでした。こうした経験から、持ちうる知識をフル活用し、自分なりに筋道を立てて考える力を養うことができます。今後も問題解決型授業を体験することで、考える力と失敗しながら学んでいくチャレンジ精神を育んでいきたいと考えています。

(この記事は『私立中高進学通信2023年12月号』に掲載しました。)

駒込中学校  

〒113-0022 東京都文京区千駄木5-6-25
TEL:03-3828-4141

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