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私立中高進学通信

2025年11月号

変わる私学!

トキワ松学園中学校

『探究』を社会に結びつける力を養成
未来を拓く『探究女子』を育てる

進化する探究教育

高1『探究』の授業で、チームごとに『企業探究』の中間発表を行いました。
聞き手側の生徒による質疑応答の時間も設けられており、感想やコメントは授業後にオンラインで共有します。

 中高で段階的に探究力を育んでいる同校。企業との連携やコンテスト出場など多彩な取り組みを通じて好奇心を掻き立て、夢を実現させる力を培う探究学習について聞きました。

10年超の探究実践
中1から探究スキルを学習

「思考力教育」「国際力教育」「美の教育」を3つの柱に、探究型の学びを通して、知的好奇心と柔軟で独創的な思考力を養っているトキワ松学園。アート・デザイン・映像制作といった表現教育も取り入れ、グローバルな視点から多様な課題への解決策を創造できる、個性豊かな女性の育成を実践しています。

「本校では、全国的に『探究学習』が注目を集める10年以上も前から、『探究女子の育成』を教育目標として掲げてきました。調べ学習に加え、ロイロノートやPowerPointを用いたスライドの作成や、それを用いた発表の機会が、各教科で豊富に用意されています。
 高校に『美術デザインコース』を設置しているため、『絵を描くのが好き』『デザインの世界で活躍したい』という明確な志をもった生徒が、高校にはもちろん、中学にも一定数います。そうした生徒の存在が刺激となり、影響を与え合いながら、楽しんで探究に取り組む雰囲気が醸成されています」(高1学年主任・社会科/松本朗先生)

 各教科での探究的な取り組みに加え、2017年度より学校独自の科目『思考と表現』を実施。中1を対象に週1時間、1年をかけて、情報の読み取りや「整理・分析・要約」といった基本的な探究スキル、文章の書き方などを体系的に学びます。現在は高入生にもこの内容を学んでもらうため、高1時にも同授業が設定されており、中入生にとっては再度基礎的なスキルを学び直す良い機会となっています。

「中入生は中1で探究の基礎を身につけた後、中2ではロッテの協力のもとパッケージデザインの考案や企画書作りにチャレンジする『商品開発授業』を行い、中3ではソフトバンクと連携したAI活用授業やアプリ開発コンテストなどに挑戦していきます」

授業が行われているのは、図書室の一角『ラーニングコモンズ』。授業の担当教員以外に専任司書教諭2名も参加し、探究活動をサポートしています。授業が行われているのは、図書室の一角『ラーニングコモンズ』。授業の担当教員以外に専任司書教諭2名も参加し、探究活動をサポートしています。
各チームともにハイクオリティなスライドを作成。いずれも内容のわかりやすさや表現力、デザインセンスが際立っています。各チームともにハイクオリティなスライドを作成。いずれも内容のわかりやすさや表現力、デザインセンスが際立っています。
『QUEST CUP』の
全国大会へ毎年進出

 こうした中学からの学びを土台に、高校では社会課題と探究を結びつけていきます。高1では週2時間の『探究』授業が設定されており、2022年度からは『企業探究』がスタート。パナソニックエナジー、イオンリテール、大和ハウスなど7社と連携し、企業からのミッションを受けて新ビジネスや新しいライフスタイルを提案する『コーポレートアクセス(企業探究学習)』を実践しています。

「企業の強みを踏まえたうえで、何を提案するかをグループで考えます。その過程で街頭アンケートなどの市場調査を行い、質問項目も生徒自身が一から設定します。
 中間発表には企業の担当者をお招きし、そのフィードバックを踏まえてさらに内容を練り上げ、最終的には12月に校内で開催される高校探究発表会『TOKIWA CUP』と、全国規模の探究活動コンテスト『QUEST CUP』(※)で発信します。生徒たちの意欲的な取り組みは成果にも結びついており、『QUEST CUP』では参加初年度から毎年全国大会へ進出しています」

※QUEST CUP…教育と探求社が提供する探究学習プログラム「クエストエデュケーション」に取り組む中高生が、1年間の探究活動の成果を発表するコンテスト。全国から多くの学校が参加しています。

高2『個人探究』では
一人ひとりが実社会とつながる

 高2の『探究』ではクラスの枠を越えて、「人文科学」「社会科学」「自然科学」「美術デザイン」の4分野に分かれます。生徒は関心のある分野を選び、ゼミ形式で『個人探究』を実践。週3時間をかけてテーマを掘り下げていきます。

「人文科学のゼミで『犬の歩行器や義足の開発』をテーマとする生徒がいたのですが、こうしたテーマは考えてすぐに思いつくわけではありません。その生徒は、最初は自宅で飼っている歩行困難な犬の健康面から調査をはじめ、校内に導入されたばかりの3Dプリンターを使って『歩行補助具が作れないか』と発想を広げていったのです。
 人間用の義足を製作する企業を訪ねて仕組みや製作上の工夫を直接聞いたり、自宅の犬に試作品をあてて検証したりしながら、より具体的で説得力のある探究へと発展させていきました。身近な課題に疑問をもち、社会への貢献を意識して主体的に行動した、非常に意義深い研究だと思います。
 企業との連携やコンテストへの参加を通じて経験した実践的な学びは、生徒の課題解決力やコミュニケーション力を着実に進化させたと実感しています。私たち教員も、単なる調べ学習にとどまらないよう、社会との接点を意識して生徒を支援し続けます」

生徒に聞きました

 高1『企業探究』で奮闘中の高1生、TさんとNさん。6月の中間発表では、Tさんのチームは大手住宅メーカーの大和ハウスを、Nさんのチームは振袖のレンタルなどを手がけるkimono heartsを担当し、各企業の取り組みを調べてプレゼンテーションを行いました。これを踏まえて、今から企業への提案を練り上げていきます。

「初めてのチーム発表で緊張しましたが、みんな真剣に聞いてくれました」(Tさん)

「これまでTOKIWA CUPで見てきた先輩方のプレゼンなども参考にしながら、頑張っていきたいです」(Nさん)

UPDATE
一人ひとりの「好き」が未来を変える力になる
「問い」を「行動」に変える探究学習
企業のリアルな課題に挑む
高1『企業探究』
『QUEST CUP 2025』に出場した生徒たち。イオンリテールのほか、メニコン、テクマトリックスなど多彩な企業への提案を行いました。『QUEST CUP 2025』に出場した生徒たち。イオンリテールのほか、メニコン、テクマトリックスなど多彩な企業への提案を行いました。

 高1が実践する『企業探究』では、教育と探求社のプログラム「コーポレートアクセス(企業探究学習)」を導入。生徒は7社のなかから関心のある企業を選択し、その企業の“インターン”として課題解決に向けたアイデアの創出や提案に取り組みます。

 2023年から参加しているこのプロジェクトでは、初年度から毎年『QUEST CUP』全国大会に出場を続けており、2024年は全国大会に進出した2チームのうち1チームが吉野家企業賞を受賞。2025年も3チームが全国大会に進出し、イオンリテール企業賞を受賞しました。


ゼミ形式の学びで視点と行動力を育てる高2『個人探究』
ゼミ授業で刺激し合いながら、一人ひとりが自らの研究を突き詰めていきます。ゼミ授業で刺激し合いながら、一人ひとりが自らの研究を突き詰めていきます。

 高2の『個人探究』はゼミ形式で実施され、グループでの対話や意見交換を通して各自がテーマを深めます。中間発表は文化祭「トキワ祭」で行い、成果は論文にまとめて冊子『探究女子』に掲載。外部コンクールにも積極的に応募しています。

「障がいをもつ弟のためにゲームコントローラーの補助具を開発した生徒は、特別支援学級を訪問し、自作の補助具を実際に使用してもらう場を設けました。その機会に、調べるだけでは見えてこない多くの気づきを得たそうです。さらにこの研究は、中山隼雄科学技術文化財団の「2024年度次世代研究者助成事業」に採択され、研究費10万円の支給を受けました」(松本先生)

変わるポイント
長年の積み重ねが
6カ年の探究カリキュラムとして結実
高1学年主任 社会科教諭 松本 朗先生高1学年主任 社会科教諭
松本 朗先生

 段階的に刷新を重ね、中1から高2までが体系的に学べる5カ年の探究カリキュラムを確立しました。高3では英語の授業内で探究活動を踏まえた英語論文を作成しプレゼンテーションまで実践しており、実質的には中高6年間を通じて探究活動に取り組める設計です。

 多くの生徒たちの成果が蓄積され、校外でもさまざまな賞を受賞したほか、将来にわたり追究したいテーマを見つける生徒も多く、探究活動をきっかけに在学中から起業した生徒もいます。今後もこの取り組みを継続し、さらなるアップデートを重ねていきたいです。

進学通信 2025年11月号
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