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私立中高進学通信

2025年11月号

校長先生はこんな人!

日本大学第一中学校

「学びの羅針盤」を生徒の手に
「夢を叶える力」を育みます

青木 義男 (あおき・よしお)校長先生

青木 義男 (あおき・よしお)校長先生

工学博士、シニア教育士(工学・技術)。
米国コロラド州立大学工学部航空宇宙工学科客員研究員を経て、
日本大学理工学部教授、日本大学理工学部長、日本大学理事、日本大学副学長を歴任。
現在、日本大学理工学部特任教授。
2024(令和6)年度より、自身の母校でもある同校校長に就任。
社会的活動として、東京都板橋区教育委員を長年務める。

生徒自らが
「学びの羅針盤」をもつ時代

 私は長年大学での教育に携わってきました。しかし大学の4年間だけで、社会で求められる力を十分に培うことは難しいと、痛切に感じてもきました。だからこそ、中学・高校というさらに若い時期から、その土台をしっかり築いていくことが大切だと考えています。

 文部科学省が2012年に提唱した「21世紀型能力」では、従来の「基礎力」や「思考力」に加え、「実践力」、すなわち「行動する力」が不可欠だとされています。さらに、各国の教育や経済政策を調査し、国際的な教育の方向性を提言する組織、OECD(経済協力開発機構)からも、2016年に「知識」「実践力」「態度・価値」の3本柱が打ち出されました。この3本柱は、世界で通用する人材に必要な資質だとされています。これら3つの力は相互に関連し合い、「レジリエンス(諦めない力)」のような人間的資質=コンピテンシーを育みます。またOECDは、生徒が自分の学びの方向性をもち、将来を切り拓くための指針として、「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)」も提唱しています。

 本校では、こうした国際的な教育観を踏まえ、独自の教育シナリオ『日大一中一高 1st-DREAM(ファーストドリーム)』と、学校活動における『3つのC』を柱に教育活動を展開していきます。

 ここでの『DREAM』とは、5つの力の頭文字をとったものです。DはDesign(デザイン)。自分の人生やプロジェクトを明確に描き、設計する力です。RはReview(振り返り)。自分の取り組みが正しかったかを客観的に評価し、改善する姿勢です。EはExperience(経験)。机上の空論ではなく、実験や体験を通じて実際に学ぶことを指します。AはArt(芸術)と幅広い教養のLiberal Arts(リベラルアーツ)の両方を意味します。MはMath(数学)ですが、文系・理系を問わず現代社会で必須となる数学的思考力を指します。

 この5つの力を通じて生徒たちには、漠然とした「夢」ではなく、明確な志をもって実現に近づくイメージを描いてほしいと願っています。

 学校活動では『3つのC』を重視します。『競争』(Competition)、『協奏』(Concerto)、『共創』(Co-creation)の3つです。とはいえ、何か新しいことを始めるわけではなく、本校がこれまで取り組んできた授業や行事の強みを再定義していこうというものです。

『競争』は、生徒たちの成長を促すためにも必要です。本校の英語スピーチコンテストや税の作文コンテストなどがそれにあたります。

『協奏』は、合唱祭や文化祭、体育祭といった学校行事を活用します。クラスや学年が一丸となって取り組むことで、チームワークや協調性を養います。

『共創』は、探究活動や研究発表を通じて、新たな価値を創造する力を高めることを意味します。全教科の授業に探究的な学びを取り入れれば、特別な科目を設けずとも課題解決能力を高められると考えています。

求められる
プロトタイピング思考

 これからの社会で必要とされるのは、「ゼロから1を生み出す力」です。その一例が「SF(サイエンス・フィクション)プロトタイピング」という考え方です。実際には存在しない未来の技術や仕組みを空想し、そこから逆算して現実の研究や開発を進めていく発想法です。

 私は、エレベーターの安全性に関する研究を専門にしてきましたが、「宇宙エレベーター」の研究と出合い、この思考法の有用性を実感しました。宇宙エレベーターとは、地上と宇宙ステーションをケーブルで結ぶ輸送手段で、もし実現すればロケットより効率的に物資を運ぶことができます。ほかにも、宇宙に工場や農場を建設したり、宇宙太陽光発電を行ったりなど、こうした思考から人類の新たな可能性が広がります。

「できるわけがない」と一蹴されがちな構想も、50年後、100年後の未来に向けて実験や研究を重ね、準備をしておくことが重要です。私の研究室では学生たちが試作し、国際大会へ出場するまでになりました。彼らは「まだ見えないもの」に問いを立て、目標から逆算して計画を立てるプロセスを経験しました。そのなかで、失敗を乗り越える力や成果を伝える力を身につけ、自らの希望に沿った企業へと巣立っていきました。

「志」をもって「夢」に近づく力は、確かに育てられるのです。本校でも、これまでの生徒・教員間の深い信頼関係や教育成果、地域のリリースなどを活かし、生徒が挑戦できる環境を整えていきます。今後の本校にぜひご期待ください。

[沿革]
1913(大正2)年に日本大学最初の付属校として神田三崎町に創立された日本大学中学校を前身とする。関東大震災により校舎を焼失し、1924(大正13)年に現在の両国の地に移転。戦後の学制改革で現在の校名となり、1997(平成9)年に共学化。2022(令和4)年に創立110周年を迎えた。『真・健・和』の校訓のもと、独自の教育プログラムを展開。日本大学との高大連携教育を中3から進めるなど、附属校ならではの教育に特色があり、生徒一人ひとりの個性を尊重した教育を通じて、社会で活躍する人材を育成し続けている。

進学通信 2025年11月号
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