学力試験以外で
受験生の適性を測る

「考えて行動のできる人」の育成を教育方針として掲げる横浜創英では、「自律・対話・創造」をキーワードに生徒を育成しています。このような教育方針に合致する受験生を迎えようと、2023年度からコンピテンシー入試を導入しています。「コンピテンシー」とは「能力」「資格」「適性」などを意味しますが、企業などでは「仕事で優れた成果を出す人に共通する行動特性」と定義されており、単なる知識や技術だけではなく、行動の背景にある価値観や思考、性格といった特性も重視されています。

　コンピテンシー入試を導入したねらいやその内容などについて、入試広報部の前矢大地先生にお話を伺いました。

「本校のコンピテンシー入試には、プレゼンテーション試験とグループワーク試験の2種類があります。学力以外で受験生の適性を測るものはないかと試行錯誤した結果、他者とうまくつき合う能力、 自分の感情を管理する能力、目標を達成する能力といった非認知スキルが、公正に測れる入試を意識して導入しました。合格者は入学後、周りに良い影響を及ぼしてくれるものと期待を込めました」

好奇心旺盛で入学後に
周囲を引っ張る生徒を

　プレゼンテーション試験とは、自分の特技や興味・関心について発表する試験です。継続して自主的に取り組んできたことや、好きなことで自信につながっているものを数名の試験官の前でプレゼンします。ダンス、空手、鉄道、地図など、どんなことでもOKです。ただし、“好き”というだけではなく、それを周りに伝える発信力が問われます。プレゼンの方法に制限はなく、パソコンやタブレット端末でプレゼン資料をつくって説明してもいいですし、成果物を持ち込んでも構いません。

「この試験では、内容とそれをどう発信するかの両方が評価されます。学力だけでは測れない能力をもち、社会に貢献できるポテンシャルをもった、“尖った受験生”に挑んでもらい、入学後はファーストペンギンとなって周りを動かしてくれることを期待しています」

　グループワーク試験は、与えられたテーマに対して、5〜6名のグループで協働しながら、その是非や解決策を考えて発表する内容です。

　過去には、「自律した学習に向けてスマートフォンやSNSを上手に活用していくにはどうしたらいいかを考えて提案する」といった課題も与えられました。

「『スマホとどう向き合うか』『スマホの上手な使い方とは？』など、身近で切実なうえに、さまざまな意見のあるテーマについて、グループ内の意見をまとめてもらいます。この試験では結論そのものではなく、結論に至る合意形成のプロセスを重視します。他人の意見をきちんと聞いたうえで、自分の意見をもって結論に導いていけるかどうかを見ています」

　グループワーク試験のテーマやグループ分けは当日に発表されるので、事前の対策はできません。しかし、だからこそ日頃の言動や家での過ごし方、ことば遣いなどが幅広く問われる試験なのです。

「本校は探究活動に力を入れています。そして探究活動を行うには、情報が不可欠です。入学後に探究活動によって伸びていくためにも、好奇心が旺盛で、いろいろなことをたくさん知りたいと貪欲に情報を求める受験生に、この試験に挑んでもらえればと思います。また、そういうお子さんであれば、この入試を難なくクリアできると思います。
　本校では、日頃から意識できるヒントを得られる説明会やミニ体験会も用意しています。ぜひお気軽に足を運んでみてください。
　これまでコンピテンシー入試を経て入学した生徒には、生徒会活動で周りを引っ張るなどの傾向が現れています。合格者35名の枠に、ぜひ挑んでください」