Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

X フェイスブック

私立中高進学通信

2025年11月号

今こそ心の教育

麗澤中学校

学校生活や将来に活きる
心を育てる道徳教育

右からE・Yさん(中3)、S・Mさん(高3)、英語科・道徳科/川部翔先生。取材時のSさんはボランティアでインドに訪問中のため、リモートで参加。現地の民族衣装パンジャビドレスがよく似合っています。

右からE・Yさん(中3)、S・Mさん(高3)、英語科・道徳科/川部翔先生。
取材時のSさんはボランティアでインドに訪問中のため、リモートで参加。
現地の民族衣装パンジャビドレスがよく似合っています。

人類の教師の
教えを胸に

 1935(昭和10)年、法学博士・廣池千九郎ひろいけちくろうが道徳科学(モラロジー)に基づく「知徳一体」を建学の理念として開設した麗澤れいたく。モラロジーとは、世界の諸聖人による質の高い道徳の実践とその効果を、学問的な見地から明らかにしようとするものです。

「本校では中高とも週1回、道徳の授業を行っています。ローテーション授業を実施しており、学年担当の教員が各クラスを回るほか、外部から講師を招くこともあり。幅広い世代や立場の人から話を聞くことができます」と話すのは英語科・道徳科の川部翔先生。

 道徳の時間では冒頭に、生徒が発表する時間を設けています。

「廣池博士が考案した格言を題材に生徒が作文を書き、クラスメートの前で発表します。格言は人類の教師といわれる世界の諸聖人の教説を実践しやすいようまとめた言葉です」(川部先生)

 さらに、道徳の授業以外にもさまざまな取り組みが行われています。

「推し偉人」の時間に、マイヤ・プリセツカヤの生涯をプレゼンするEさん。KGBにねらわれながらも、70年間プリマとして活躍しました。「推し偉人」の時間に、マイヤ・プリセツカヤの生涯をプレゼンするEさん。KGBにねらわれながらも、70年間プリマとして活躍しました。

「朝のショートホームルームでは生徒による1分間スピーチ、また『自分ゆめプロジェクト』と題している総合的な学習(探究)の時間においては、中1で森と人間社会について学び、中2で日本文化研究、中3で異文化研究を行っています。中2では伊勢・奈良・京都で、中3ではイギリスでの研修旅行があり、現地で学びを深めます。さらに、中3では『推し偉人』という人物研究を行っており、実在の人の生き方を通して、自分の生き方を考えるきっかけになっています」

 また、かつて全寮制だった同校は、今でも高校生の約1割が寮生です。

「彼らは高3生を中心に日常的に異学年交流を重ね、その体験を各クラスに還元していますが、これが通学生への刺激になっています」(川部先生)

 中3のE・Yさんは先日、格言「誠意を尽くして干渉を行わず」で1分間スピーチを行いました。

E・Yさん(中3)E・Yさん(中3)

「私は弓道部に所属しています。弓道はささいなことで的中(的に当たる)しなくなるため、顧問の先生や先輩から助言をいただいたり、後輩にアドバイスしたりすることも多いのですが、『相手に指導する時は本人に気づかせるように』というこの格言の意味がとてもためになると思いました。この言葉に出会ってからは、誰かに助言をもらった際も、まず自分でどうすべきかを考えています」(Eさん)

 中1の頃は格言の意味を説明するだけでしたが、中3の今では部活動や勉強、友人関係など、自分の体験を交えて発表できるようになったそうです。「推し偉人」の時間には、ソ連時代のモスクワで政治的圧力に屈せずボリショイ・バレエで活躍したマイヤ・プリセツカヤについて発表。豊富な発表経験のおかげで、人前で意見を述べることができるようになったといいます。

1分間スピーチで話すことを書き留めたEさんのノート。格言を紹介するだけでなく、自分の経験を交えて生きた言葉で伝えられるようになりました。1分間スピーチで話すことを書き留めたEさんのノート。格言を紹介するだけでなく、自分の経験を交えて生きた言葉で伝えられるようになりました。
教室に掲示される「心のカレンダー」。「自分の意見を述べる時は責任を負う」という意味の教えは、Eさんがかつて1分間スピーチで取り上げ、自らの血肉としている格言です。教室に掲示される「心のカレンダー」。「自分の意見を述べる時は責任を負う」という意味の教えは、Eさんがかつて1分間スピーチで取り上げ、自らの血肉としている格言です。
自分の知識や技術を
どう社会に活かすか
「タイスタディツアー」での募金活動の様子。街行く人に募金をお願いする、当時高2のSさん。「タイスタディツアー」での募金活動の様子。街行く人に募金をお願いする、当時高2のSさん。

 同校の道徳教育は学校生活だけではなく、将来につながることもあります。

 S・Mさん(高3)は、日本の不登校生徒とインドの貧しい子どもたちの相互成長プロジェクトを立ち上げました。

「高2で参加した、貧困と格差を知るための学校研修『タイスタディツアー』が、このプロジェクトを立ち上げたきっかけです。私は貧困問題を解決するには、教育が不可欠だと思っています」(Sさん)

 Sさんは、約1カ月、2回インドに渡り、恵まれていない子どもたちが通う、無償教育を提供する小学校を訪問。教室の壁に子どもたちと一緒に青空と桜を描きました。

「このプロジェクトのテーマは『不登校経験のある日本人生徒とインドの貧しい子どもたちの相補的関係の構築による相互成長』。戸籍すらない境遇にある子どもと、社会のなかで自分の存在価値を見失ってしまった生徒が、一方的な援助ではなく相互関係を築くことで、お互いに得られるものがあると考えました。プロジェクトに参加した不登校の生徒が、『自分の悩みが相対化された。彼ら自身で学校の運営資金の創出を可能にする支援活動を行いたい』と語ってくれたことが、すごくうれしかったです」(Sさん)

 将来は貧困問題や国際協力に関係する仕事を希望するSさん。今回のプロジェクトも、受験が終わった後は規模を大きくしたいと展望を語ります。Sさんが国際協力に興味を抱いたのは、道徳教育がきっかけでした。

「中1から道徳教育を受けてきたことで、自分の知識や技術をどう社会に活かしていくべきかを考えるようになりました。麗澤の教育が、今の私の活動につながっています。
『きみ色の花で、それぞれの人生を満開に』。私の考えた言葉ですが、“どんな花でもいい。あなたにしか咲かせられない花がある”ということを、この学校で学ぶうちに気づいたんです。花が枯れそうになった時、深い愛情と優しさの水を与えてくれる仲間が、麗澤にはたくさんいます」(Sさん)

インドにて。将来が見えない劣悪な環境に生きている子どもたちですが、キラキラした瞳の元気な彼らの、とびきりの明るさが印象的です。インドにて。将来が見えない劣悪な環境に生きている子どもたちですが、キラキラした瞳の元気な彼らの、とびきりの明るさが印象的です。
インドで空手を披露したSさんたち一行と、初めて知る異国の文化に目を輝かせる現地の子どもたち。空手は、危険な境遇を生きる女の子が身を守る術にもなります。インドで空手を披露したSさんたち一行と、初めて知る異国の文化に目を輝かせる現地の子どもたち。空手は、危険な境遇を生きる女の子が身を守る術にもなります。
子どもたちと描いた、青空と桜の壁の前で。Sさんは、子どもたちに芸術が必要だと考えています。子どもたちと描いた、青空と桜の壁の前で。Sさんは、子どもたちに芸術が必要だと考えています。

(この記事は『私立中高進学通信2025年11月号』に掲載しました。)

進学通信 2025年11月号
紹介する学校
共学校 共学校   女子校 女子校   男子校 男子校
この号のトップに戻る 進学通信一覧を見る
ページトップ