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私立中高進学通信

2022年7月号

校長先生はこんな人!

トキワ松学園中学校

得意技の「リフレクション」を
活かして、さらなる
『探究女子』の育成を充実

田村 直宏 (たむら・なおひろ)
1971(昭和46)年、大阪府出身。京都大学理学部卒業。大阪青凌高等学校を経て、大阪工業大学高等学校(現・常翔学園中高)では24年間クラス担任を務め、卓球部顧問としても活躍。「21世紀ティーチャーズプログラム」に2期生として参加し、ロイロ認定ティーチャーに。2021年にトキワ松学園高等学校教頭、2022年より現職。

田村 直宏 (たむら・なおひろ)校長先生
1971(昭和46)年、大阪府出身。京都大学理学部卒業。大阪青凌高等学校を経て、
大阪工業大学高等学校(現・常翔学園中高)では24年間クラス担任を務め、卓球部顧問としても活躍。
「21世紀ティーチャーズプログラム」に2期生として参加し、ロイロ認定ティーチャーに。
2021年にトキワ松学園高等学校教頭、2022年より現職。

生徒を幸せにすることに
誰よりも強い気持ち

 私は、小さい頃から憧れの先生がいて教員になったのではなく、家庭を支えるために大学院を中退して教職に就きました。理想とする先生像がない分、「こういう先生になりたい」と思うのではなく、目の前の生徒の幸せを追求しようという気持ちでクラス担任をしていました。

 すると、学年主任を務めた教職10年目あたりから進学実績が伸び、卒業生が「この学校に来てよかった」と言ってくれるようになったのです。そこから学年だけでなく学校全体の運営に携わってみたいと思うようになり、本校とのご縁をいただきました。

「職員室の環境や人間関係が良好であれば、学年もクラスも生徒たちの生活もうまくいく」。これが私の学校運営のモットーです。プライベートの時間をすり減らして仕事に捧げるような働き方では、先生が幸せにはなれません。もっと自由に学んだり、教員以外のいろいろな人と交流をもったりして充実した生活を送ってこそ、それらを授業に還元でき、子どもの幸せに貢献できるのです。

 校長はいわば「職員室の担任」のようなもの。学校全体を良くする仕事を任されたと思い、まい進していきたいと考えています。

 私は大阪の私立高校で教員をしている頃から、探究学習や人材育成、組織開発に関する全国的な研修会に参加し、日本中で頑張っている先生方と交流し、刺激を受けてきました。さまざまな学校が、校風を活かした取り組みをしていることを学んだ経験も、役立てていければと思います。

先生の個性や強みを
授業に活かす

 私が得意とするのが、イベントに参加してその場で内容を振り返る「リフレクション」というワザです。イベントに参加しながら、キーワードや印象に残ったことを書き留めていき、イベント終了後に即興で紙芝居のように提示します。すると、参加者はイベントの内容をもう一度おさらいすることになり、自分の記憶と照らし合わせて鮮明な記憶として定着し、学びも深まるのです。

「ロイロノート・スクール」という授業支援プラットフォームを活用した手法ですが、授業や行事など、多様な場面で活用できます。このリフレクションの手法を本校に広め、活用してもらいたいと考えています。

 しかし、先生方に私と同じような授業をしてほしいと思っているわけではありません。これからは個別最適化学習といって、生徒一人ひとりの理解度や適性に合わせた学びが求められます。私は先生も個別最適であっていいと思っています。

 もちろん、ミニマムなところで統一すべき事柄はありますけれど、もともと人はそれぞれ同じではありません。先生一人ひとりの得意なことや個性、強みを活かした授業を展開してほしいです。

 本校の先生方は授業力が高い方ばかりで、面倒見の良い学校らしい職員室のアットホームさ、生徒と教員の距離の近さが魅力です。その信頼関係を基盤にしつつ、それぞれの個性を発揮する場や対話する場を増やすことで、先生も生徒も一人ひとりがもっと輝けるようになると思います。まずは私から自己開示していこうと思います。

実社会とのつながりを活かした
学びを発展させる

 不確実な社会を生き抜いていく力を身につけ、今の子どもたちが幸せになるためには、探究的な学び、そして個別最適化された学習が不可欠です。本校は10年前から『探究女子』の育成を教育理念に掲げ、多様な価値観をもつ人々とともに、未来の社会を創造する人物の育成に取り組んできました。

 本校の生徒たちは実に主体的です。新入生に向けた部活動紹介や、学校行事などはほぼ全て生徒が企画運営しています。

 高2の政治経済の授業では、企業とコラボした「商品開発授業」を行っており、先日も生徒がゼブラ本社で、自らのアイデアをプレゼンテーションをしました。今年度からは、高1全員が取り組むインターンシップ『企業探究学習』で実社会とつながる実践に取り組みます。

 これらの取り組みにリフレクションを取り入れることでさらに良くなるのではと期待しています。生徒自身にもリフレクションの手法を用い、さまざまな場面で活かしてほしいと考えています。授業にしても、プロジェクト型の学習にしても、部活動にしても、自分で課題を設定し、解法を探りながら答えを見いだし、さらなる疑問を発見していく。そんな主体的な学びがあふれるトキワ松学園をめざしていきます。

[沿革]
 1916(大正5)年、三角錫子により、常磐松女学校として創立。1948(昭和23)年、現在地に移転。1951年、トキワ松学園となる。『未来の社会を創造する“探究女子”の育成』という教育理念のもと『思考力教育』『国際力教育』『美の教育』の3つを柱とした教育活動を展開。

進学通信 2022年7月号
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