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私立中高進学通信

2021年11月号

実践報告 私学の授業

トキワ松学園中学校

『美の教育』を通して
多様な価値観と出合う

対話による絵画鑑賞で思考力・探究力を高める
高3の『美術デザインコース』の授業では、「理想のお店」の店内デザインやパッケージ、ショッピングバッグなどを制作。生徒それぞれの個性が光ります。

高3の『美術デザインコース』の授業では、「理想のお店」の店内デザインやパッケージ、
ショッピングバッグなどを制作。生徒それぞれの個性が光ります。

創立時から取り組む
『芸術教育』の伝統

『世界に視野を広げ、問題を発見し、多様な価値観をもつ人々と未来の社会を創造する探究女子の育成』を教育理念とする同校。発想力や論理力を養う『思考力教育』、グローバルな視野を得る『国際力教育』、感性を豊かにする『美の教育』を柱に、多彩で独創的な教育を展開しています。

 なかでも同校の特色を際立たせているのが、『美の教育』です。創立時から取り組む『芸術教育』の流れを汲み、発展したもので、校内には生徒たちのアート作品が常に展示されているほか、茶道や華道、マナーや着付けを学ぶ『センスアップ講座』を各学年で実施。美術の授業も、美大への受験指導にもあたる専門性の高い教員が、中学からていねいに指導しています。美術好きの中学生を対象とする放課後の美術教室「トキ美」も2021年度から新たにスタート。通常の授業では体験できない幅広い美術に触れ、感性を磨く機会を増やしています。

 高校は、美術教育に重きを置いて美術系大学をめざす『美術デザインコース』を備え、より専門的に美術を学ぶことができます。美大など芸術系の進路へ進む生徒たちに対するサポートも充実しているほか、併設の横浜美術大学への進学という選択肢もあります。

絵画について議論を重ね
思考力や表現力を高める

 2018年から、同校ではオリジナル科目『思考と表現』を導入し、その中で絵画を鑑賞し、発見したこと、感じたことを話し合う『VTS』(Visual Thinking Strategies)の授業をスタートさせました。

「『VTS』は、美術鑑賞を通して、すべての教科の学習の基盤となる思考力を養うことを目的としています。作品に対する専門的な知識にとらわれず、生徒が自由に“見る・聞く・考える・伝える”を繰り返すなかで表現力や思考力を高めると同時に、深い他者理解によって自己肯定感も高めていきます。
 皆で一つの作品について感じたことを言葉にし、お互いの考えを深く知ることで他者を知り、多様な価値観に出合う機会にもなっています」(中学校教頭/松本理子先生)

『美の教育』によって、多様な考え方をするために引き出しを増やすことと、創造性・感性、思考力といった、これからの社会で必要とされる力を、6年間でじっくりと涵養かんようする点が同校の大きな強みです。

「本校の美術教育は、作品を完成させる技術の習得だけを目的としたものではありません。創作を通して、事象を見つめる目を育て、伝えたいことを言葉にして表現すること、そして、他者の作品から作者の思いをしっかりと感じ取り、受け止めることを大切にしながら、日々の授業に取り組んでいます」(美術科/村井洋香先生)

対話による絵画鑑賞で思考力を高める『VTS』とは
絵画を鑑賞し、対話を通して解析していく『VTS』の授業の様子。絵画を鑑賞し、対話を通して解析していく『VTS』の授業の様子。

『VTS』は1980年代にニューヨーク近代美術館で開発され、ビジネスの場でも思考力を磨く手法として導入されている鑑賞教育法です。

 絵画を鑑賞した感想を互いに述べ合うという『VTS』の特性を踏まえ、同校では美術の授業ではなく、独自科目『思考と表現』で、司書教諭がファシリテーターを務め、じっくりと絵画を鑑賞して議論を重ねる授業を、中1・高1で週1回実施しています。

「本校がめざすのは、多様な価値観をもつ人々と協働して社会に貢献していく力を育てることです。多様な価値観との出合いを体験できる『VTS』はまさにこれにふさわしいと考え、そのノウハウを本校の教育に取り入れています」(松本先生)

授業レポート
高3『美術デザインコース(デザイン)』の授業を取材しました

 高3の『美術デザインコース(デザイン)』の授業では、「理想のお店をつくろう」をテーマに、プレゼンテーションが行われていました。店舗の設計やロゴのデザインのみならず、フェアトレードを意識した商品企画などもあり、SDGsの観点で取り組む探究学習や国際力教育など、これまでの学びが存分に活かされた発表となっていました。

 さまざまな授業を通して、日頃から自己表現を大切にしている同校。プレゼンテーションやディスカッションの機会も多く、それら中高6年間の積み重ねから、どの生徒も物怖じせずに堂々とプレゼンテーションをしていました。

「理想のお店」のコンセプトと、自らデザインした商品パッケージの試作を披露する生徒(写真左)と作品(写真右)。それぞれのアイデアを形にして発表します。

「理想のお店」のコンセプトと、自らデザインした商品パッケージの試作を披露する生徒と作品。
それぞれのアイデアを形にして発表します。

店舗の模型を作り、そのこだわりについて言葉を尽くして説明する生徒もいました。店舗の模型を作り、そのこだわりについて言葉を尽くして説明する生徒もいました。
発表を終えた生徒一人ひとりに対して先生から講評があります。将来、社会に出てからプレゼンテーションすることを見据えた、実践的なアドバイスもありました。発表を終えた生徒一人ひとりに対して先生から講評があります。将来、社会に出てからプレゼンテーションすることを見据えた、実践的なアドバイスもありました。
ココも注目!
デジタルアートも取り入れ、生徒の進路を意識した
専門性の高い『美術デザインコ―ス』

 高校に設置されている『美術デザインコース』は、美術の授業時間が多く、美大進学をめざす生徒に最適なカリキュラムが組まれています。デッサンや油彩、ミニチュア制作、イラストレーションなど多様な表現を学び、フォトショップやイラストレーターによるデジタル作品制作も実施。美術館見学や各美術大学教授による特別授業も行われています。

 高2になると『デザイン』『アート』の2コースに分かれ、より専門的に学びを深めることで、美大進学希望者の約9割が4年制美術大学へ現役で進学しています。

「美術デザインコースは、将来、美術やデザインの分野で活躍したいという生徒のためのコースです。美大受験を意識した授業や、デッサンなど技術面の指導に力を入れるとともに、『美の教育』と並ぶ本校の柱である『思考力教育』『国際力教育』を積極的に活用した授業を展開し、未来の人や社会のためにアートやデザインができることを常に意識させるようにしています。また、併設の横浜美術大学とも連携し、長いスパンで感性や想像力をていねいに育むのがトキワ松の特徴です。
 美術やデザインを通して主体的に社会貢献できる人を育てることが、このコースの目標なのです」(美術科/村井洋香先生)

「高校進学の時点で『美術デザインコース』『文理探究コース』のいずれかを選択しますが、進級時にコースを移動することも可能です。そのため、美術デザインコースの英語・国語の授業は、美術系大学・文系大学への受験を考慮して文系に近い時間数を確保しています。いろいろな刺激を受けて大きく成長する時期ですから、目標が変わることもあります。私たち教員は生徒一人ひとりに寄り添い、未来への決断をサポートしていきます」(中学校教頭/松本理子先生)

生徒が制作した風景画と油彩による人物画。

生徒が制作した風景画と油彩による人物画。

進学通信 2021年11月号
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