私立中高進学通信
2024年4月号
注目! News and Topics
横浜創英中学校
高校に在籍しながら大学で学ぶ
高大連携で社会人に必要なスキルを育む
2022年9月20日、法政大学の正規の集中授業「課題解決型グループワーク」に参加。
帰宅困難者支援施設運営ゲーム(KUG)として知られる“図上訓練”を体験し、避難施設の運営に携わる心構えや対応力を養いました。
生徒を社会に解き放ち
自律の力を育成
「生徒の当事者意識を育てながら、学びを生徒主体に移譲し、実学的な学びを展開して社会に貢献できる人材を育てる」ことを2025年までの最上位目標に、「学び方改革」、「働き方改革」を進めている同校。その一環として2022年度より注力しているのが、高大連携の取り組みです。
現在、同校では、筑波大学、法政大学、成城大学、清泉女子大学地球市民学科、産業能率大学、麻布大学、城西大学、城西国際大学、昭和女子大学の9つの大学・学部と協定を締結。2025年度までには20校との締結を実現させる方針です。その背景には、「学校の枠組みのなかで教育を完結させるのではなく、学校を軸にしながら生徒を社会に解き放ち、自らの力で社会を変えよう、社会に貢献しようという彼らの主体性と自己肯定感を育みたい」という同校の思いがあります。
「文部科学省によると、2040年度には大学の入学者が現在の約63万人から13万人減って50万人になるという予想を発表しています。13万人というのは、500人定員の私立大学の260校分。ということは、現在の私大の約4割が姿を消すことになります。今後、大学は人材を確保するために入試を前倒しし、入試形態は推薦入試に大きくシフトしていくことが予想されます。さらにこれからのAI時代は、誰もやっていないことを自分の頭で考え、実行できる“自律の力”がなければ社会を生き抜くことはできません。そのためには、これまで日本の中等教育で連綿と続いてきた広く浅くのリベラルアーツから脱却し、学校は生徒の強みや尖った部分を発見し、それを社会で活かすためのスキルを育むシステムを作らなければならないと考えています」(校長/本間朋弘先生)
講義を聞くだけではない
大学生と学ぶ探究型授業
それだけに、協定を締結する大学の選定においては、「一方的に講義を聞くのではなく、大学から与えられた課題に取り組み、プレゼンや制作物でアウトプットできる探究型プロジェクト学習に取り組んでいる大学や学部に絞っています」と本間先生は語ります。
「例えば、法政大学とは、これまで資生堂ジャパンとのコラボで、“化粧のちから”がもたらす未来の健康をテーマに、ジェンダーレスや高齢者社会などの社会課題解決に目線をおいた講座を行っています。また、首都大規模地震災害時における一時帰宅困難者の受け入れをテーマにした講座などの『課題解決型グループワーク』にも参加し、大学生と議論を繰り広げてきました。さらに、産業能率大学では、経営学部の1年生が2カ月かけて取り組んだ『コロナ禍の高校生の修学旅行』の課題解決学習において、選出された11組のプレゼンテーションの評価者として本校の学生が参加し、的確な講評を行いました。
高大連携において大切にしているのは、社会と大学生と高校生がシームレスにつながる教育システムの構築です。探究学習は社会とつながっていなければ意味がありませんし、社会に出て仕事をする際、周りは同年代ばかりではありません。高校を、社会で活躍するための準備の場に変えることが、本校がやるべき大きな役割であると考えています」
高3になったら大学でも学ぶ
生徒の主体性を育む
さらに特筆すべきは、2025年度より高3の午後は自由選択で科目を履修できるよう、カリキュラムを改訂したことです。この時間を利用して、生徒は大学に出かけて探究型の講義を履修することができ、その単位は高校の修得単位として認められます。
「高2までに60単位を取ってしまえば、卒業に必要な修得単位は残り14単位。これを大学の履修でクリアすれば、極端に言うと高3は登校しなくても卒業できます。学校で学ぶか、大学で学ぶか、学ぶ場所を選ぶのは生徒自身です。彼らに選択の自由を与えなければ主体性は育ちません。
本校では、これまでの画一的な知識主義から個別的な経験主義へと転換し、一斉の時間割をなくして、全校生徒一人ひとりのスケジュールを構築する方針です。彼らの主体性を信じ、自分の考えを導き出す力を重んじ、考察力や創造力を育てます。本校の改革が、全国の学校が変革するモデルになるよう尽力したいと思います」(校長/本間朋弘先生)
(この記事は『私立中高進学通信2024年4月号』に掲載しました。)
横浜創英中学校
〒221-0004 神奈川県横浜市神奈川区西大口28
TEL:045-421-3121
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