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私立中高進学通信

2025年9月号

進化する高大連携

日本大学第一中学校

医学部・薬学部との連携
本物の現場を体験
「憧れ」を「目標」へと昇華

「病院実習体験」では、附属病院内の薬剤部、理学療法室、臨床検査部、栄養科、放射線部、手術室などを約30分刻みで見学します。スタッフの方々が「なぜその職に就いたのか」をはじめ、職務の詳しい内容ややりがい、その専門職ライセンスを得るために何をすればいいのかなどを学びます。例えば放射線部では、ぬいぐるみの中の“スマホ”をエックス線で観察するなど、ワクワクできる体験が盛りだくさんです(写真は手術室にて)。

医学部 病院実習体験
「病院実習体験」では、附属病院内の薬剤部、理学療法室、臨床検査部、
栄養科、放射線部、手術室などを約30分刻みで見学します。
スタッフの方々が「なぜその職に就いたのか」をはじめ、職務の詳しい内容ややりがい、
その専門職ライセンスを得るために何をすればいいのかなどを学びます。
例えば放射線部では、ぬいぐるみの中の“スマホ”をエックス線で観察するなど、
ワクワクできる体験が盛りだくさんです(写真は手術室にて)。

 日本大学の医学部や薬学部と連携したキャリアプログラムを展開している同校。医療の現場が体験できる多種多様なプログラムについて伺いました。

多彩な医療系職業の
リアルを「体験」する

 日本大学最初の付属校として、1913年に創立された日本大学第一。『真・健・和』の校訓のもと、次世代を生き抜く人材の育成に力を注いできました。そんな同校では、2002年より20年以上にわたり、日本大学との高大連携プログラムを実施しています。スタートの経緯について、理事長・医学博士の加納誠先生はこう話します。

「関心をもつきっかけになったのは、日本大学のある学部長から、『今は大学を卒業しても、3人に1人は早期に離職してしまう時代。今後は大学でもキャリア教育に力を入れていく必要がある』という話を伺ったことでした。私自身も、中学・高校の段階から、しっかりと将来について考え、進路選択につながる機会を用意したほうがいいのではないかという思いがあり、日本大学の付属校としては2番目に早く、2002年に高大連携プログラムを開始しました。
 医学部・薬学部のほか、歯学部、法学部、文理学部、経済学部、商学部、理工学部、生産工学部との連携も行ってきました」

 なかでも特に人気を集めるのが、医療系のリアルな現場を体験し、各スタッフの懸命な姿を目の当たりにできる『医学部・薬学部との連携プログラム』です。理事長の加納先生が大学病院で医師として働いていた実績と人脈、また同校卒業生のサポートもあったことから、スムーズに実現しました。

「特に医療分野は幅広い医療専門職があり、献身的な努力により私たちの健康を24時間守っている現場を生徒に見せることで、より適切な進路選択ができると考えました。医学部では『付属病院見学(中3~高1)』『看護体験(高1・高2)』『リサーチセンターでの医学部研究室実習(高2)』を実施しており、薬学部との連携では研究室実習や調剤実習が中心です」

目標になる仕事と
出会うきっかけに

 この高大連携プログラムに参加した生徒は、そこで得たことをレポートにまとめ、提出。生徒からは、体験を通してやりたい仕事が明確になったという声が多く聞かれるといいます。

「『病院で働く方は医師、看護師というイメージでしたが、理学療法士という仕事を初めて知って、進路の方向性が定まりました』など、毎年大きな反響を呼んでいます。
 看護体験に参加した女子生徒からもらった手紙も、大変印象に残っています。手紙には、『もともと看護師に興味をもっていましたが、実際に体験をしてみて将来への意志が固まりました。それを家族にも宣言し、納得してもらいました。ありがとうございます』と綴られていました。こうした生徒からの声は、継続への大きなモチベーションになります」

 また、進学実績などさまざまなデータを取り、生徒への影響や成果の判定を統計的に検証しています。

「データからわかるのは、生徒の進路選択に大きく影響を与えているということです。医療系に進学する生徒の割合は、連携プログラムをスタートする前は2~3%前後でしたが、現在は10%近くまで増えています。この変化は統計学的にも有意差が認められるもので、着実に成果が出ているといえます。実践してきた意義を感じています」

 その一方で加納先生は、「参加した全ての生徒に医学部等をめざしてほしいとは思っていません」と強調します。

「私はどんなに成績が良い生徒に対しても、それだけを理由に『医学部に行きなさい』とは一度も言ったことがありません。高大連携の目的は、多様な仕事があることを知り、実際に体験し、さまざまな『気づき』を得てもらうことです。もちろんなかには『想像以上に大変で、自分には向いていないと思いました』と報告してくれる生徒もいますが、これも貴重な『気づき』です。そうした生徒の声も『早い段階でミスマッチに気づけてよかったね』とポジティブに捉え、他方面で一生の仕事を探そうと背中を押しています。
 本校の高大連携プログラムのねらいは、生徒が将来を改めて考え、『憧れ』を『目標』に変えるきっかけをつくることです。実際にある生徒がレポートに書いてくれた、『この体験を通して、憧れが目標に変わりました』という言葉が、まさに高大連携プログラムの目的を端的に示してくれています。
 目標ができれば、生徒の学習や努力への意欲も高まるはずです。今後も、生徒一人ひとりが自分の将来について考える機会となる、実践的な高大連携プログラムを継続していきます」

高大連携プログラムに参加した生徒が書いたレポート。「このレポートは、自分の内面と真剣に向き合う契機となるでしょう。22年間の生徒たちのレポートを全て財産として大切に保管しています。生徒の体験談やメッセージは、今後の方針を決める際の参考になるだけでなく、私自身の励みにもなっています」(加納先生)

高大連携プログラムに参加した生徒が書いたレポート。
「このレポートは、自分の内面と真剣に向き合う契機となるでしょう。
22年間の生徒たちのレポートを全て財産として大切に保管しています。
生徒の体験談やメッセージは、今後の方針を決める際の参考になるだけでなく、
私自身の励みにもなっています」(加納先生)

医学部 研究室実習医学部 研究室実習
医師志望の高2生が対象の「リサーチセンターでの医学部研究室実習」では、ES細胞を用いた最先端の再生医療研究を体験。将来の心臓細胞や神経細胞への分化過程を実際に観察できます。最終日には「課題発表」も行われ、生徒と教授は密な時間を共にします。
薬学部 調剤実習薬学部 調剤実習
薬学部では、「アスピリン」の合成や処方箋に沿って散剤や軟膏、注射剤などの調剤を実際に体験する本格的な「調剤実習」を行います。医学部と薬学部の実習に参加した生徒は、9月に合同で発表会を実施。保護者も参加し、わが子の学びを目にすることができます。
医学部 看護体験医学部 看護体験
「看護体験」では、看護師の白衣を着用し、看護師の業務に同行します。「マンツーマンで仕事を見て、座る暇もないほどの忙しさを目の当たりにして、驚く生徒も多いようです。また、体験後には指導してくれた看護師と反省会が行われ、人生論に及ぶようなことも話し合います」(加納先生)

生徒インタビュー
さまざまな仕事の“本当”がわかり
医療系への興味が本物に
Nさん(高2)

 医療ドラマが好きで、「人を助けて笑顔を与える仕事」にやりがいを感じ、医療系の仕事に漠然と憧れをもっていました。病院実習への参加を決めたのは、実際の仕事を見てみたいという好奇心からです。

 当日は、手術室や放射線部、理学療法室などを回り、スタッフの方に仕事内容を説明していただきました。「手術台」に実際に寝て患者体験をしたり、患者さん一人ひとりに応じた「病院食」の一つを食べたりと、初めての体験ばかりで充実した時間を過ごせました。最も印象に残ったのは、臨床検査部での体験です。血液検査などは医師の仕事だと思い込んでいたので、医療を裏で支える仕事があることを初めて知りましたし、研究室のような部屋にも驚きました。どの職種にもそれまでのイメージとは別の一面を発見することができ、とても勉強になりました。

 進路に悩んでいましたが、今回の病院実習を体験したことで、医療系の仕事をめざしたいと真剣に考えるようになりました。私は文系に進んだので、文系でも就ける医療系の職業を将来の視野に入れ、いろいろと調べながら大学選びを進めています。機会があれば、次は看護体験にも参加したいです。

 日本大学第一にはさまざまな“体験”があります。多くの学部をもつ日本大学の付属校なので、進路の心配をせず、安心していろいろな体験にチャレンジできるところが魅力です。どんな仕事を考えている人にも、実現するチャンスがあると思います。

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