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私立中高進学通信

2021年11月号

実践報告 私学の授業

足立学園中学校

正解のない問題に立ち向かう
『探究コース』の個人探究活動

課題を発見し、解決策を論文にまとめて発表
2021年3月に開催された個人探究発表会で、執筆した論文の内容をプレゼンテーションする八幡昂樹さん。なお、論文は冊子化して、その成果を生徒間で共有します。

2021年3月に開催された個人探究発表会で、執筆した論文の内容をプレゼンテーションする八幡昂樹さん。
なお、論文は冊子化して、その成果を生徒間で共有します。

高校から週2時間を使い
『課題探究』に取り組む

 2018年度から同校では高校に『探究コース』『文理コース』『総合コース』の3コース制を導入しました。一貫生は高校進学時に、この3つから選択して学んでいきます。

 コースの特色はすべてに『探究総合』の授業があること。特に『探究コース』では『課題探究』に力を注ぎながら、難関国立大学や海外難関大学への進学に必要な力を伸ばします。授業研究係主任の飯山泰介先生(芸術科)にお話を聞きました。

「生徒が授業を一方的に受けて、知識を集積していくだけの教育でよいのか。そんな懸念が以前から本校の教員たちの胸にありました。こうした観点から、この『探究コース』が生まれたのです。
『探究コース』の生徒は、高1から高2にかけて週2時間『課題探究』に取り組みます。1年次の前半は全員が同一のテーマを基に探究活動に励み、後半からは一人ひとりが課題を発見して解決策を導き出していく個人探究活動に移ります。
 2年次には個人探究の集大成として論文を作成します。論文をどう表現したら相手によりわかりやすく伝わるのか、その根拠となる具体的なデータをどうすれば入手できるのか。これらを高校時代から考えることは、将来を見据えたうえでも非常に意義のあることだと思います」

人の役に立ち、やり遂げる
同校の建学の精神を体現
個人探究発表会でプレゼンテーションする岡田康希さん。ユーグレナの飼育に必要なビタミンをサプリメントや胃腸薬を使って与えたことなどを述べています。個人探究発表会でプレゼンテーションする岡田康希さん。
ユーグレナの飼育に必要なビタミンをサプリメントや胃腸薬を使って与えたことなどを述べています。

 今年3月に、個人探究の論文発表会が行われました。このとき、代表として全校生徒の前でプレゼンテーションをしたのは14人。そこに選ばれていた2人が、現在高3生の岡田康希さんと八幡昂樹さんでした。探究テーマは岡田さんが「ユーグレナの生物資源としての有効性」、八幡さんが「自動運転の開発」です。

 岡田さんがテーマとして扱ったユーグレナとは、藻の一種であるミドリムシのこと。食料としてだけではなく、自動車やバスに用いるバイオマス燃料としても注目されています。この探究の目標は、「ユーグレナによる自給自足を前提とした宇宙環境に適応したコロニー開発」です。実現すれば資源の枯渇などの環境問題に大きく役立ちます。探究の結果、岡田さんは火星の環境でユーグレナを育成できる見込みがあると結論づけました。

 一方、八幡さんは自動運転の利点や自動運転技術の仕組みを調査し、画像認識技術をベースにした自動運転ラジコンカーを製作しました。さらに論文発表会前月となる今年2月、一般社団法人英語4技能・探究学習推進協会が主催する中高生のための英語プレゼンテーションコンテスト 「Change Maker Awards」にも参加。同じく自動運転をテーマに本戦でプレゼンテーションし、最優秀個人賞の金賞に輝きました。八幡さんは高1のとき、アメリカに約8カ月間留学し、帰国後に英検1級に合格しています。その英語力もここで発揮されました。

「正解のない問いに立ち向かっていった2人の成長には目を見張りました。この2人がクラスメートや後輩たちに与えた刺激や影響も計り知れません。
 私も2人から学んだことがあります。彼らは自分の個人探究に必要な実験器具を揃えたり、予算を引き出したりするために、学校にプレゼンテーションをしました。与えられることを待つのではなく、自分から行動して勝ち取ろうとしたのです。私はこの姿勢を育むことが、本校の教育にこれまで以上に必要だと気づかされました」(飯山先生)

 最後に入試広報部部長の相澤智子先生(芸術科・国語科)は2人の成長に関して次のように話します。

「本校の建学の精神は『質実剛健 有為敢闘』です。誠実で強くたくましく、人の役に立ち、やり遂げる人財の育成を意味します。この建学の精神を、探究活動を通して体現してくれた2人の情熱と行動力に感動しています」

生徒インタビュー
岡田康希さんと八幡昂樹さんに
テーマを選んだ経緯や将来の目標などを聞きました

――個人探究のテーマを決めた経緯を教えてください。

岡田康希さん(高3)岡田康希さん(高3)

岡田さん
中学生のときに社会科の先生から「日本の海でユーグレナを育てて資源大国にしたら面白いね」という話を聞いて興味をもちました。その後、JAXAの講演会を受講し、ドイツの人工衛星が野菜を育てていることを知ったので、宇宙でユーグレナを育てられないかと考えたのです。火星に着目したのは、この惑星の大気の主成分が、ユーグレナの生育に必要な二酸化炭素が95%以上も占めていたことなどからです。そこで、僕はユーグレナを育てる水槽や光合成のための植物育成ライト、ユーグレナに与えるビタミン剤などを用意して実験にあたりました。
個人探究は、生物学や工学といった分野ごとのゼミに分かれて、先生の指導のもとで行われます。僕の探究活動が、同じゼミでヘドロをテーマに選んだ友人の探究活動に役立ったこともあります。このように友人や後輩と探究活動の内容を共有しながら意見を交換して、切磋琢磨できました。

八幡昂樹さん(高3)八幡昂樹さん(高3)

八幡さん
メルセデス・ベンツの自動運転車構想をYou Tubeで見て、「こんな自動車を自分でつくれたら」と思ったことがきっかけです。そこで、仮想環境上の道路で車を自動運転させるプログラムを自分で組んだのですが、現実の環境で機能するのか疑問だったので、ラジコンを使用して実現させようと思いました。
自動運転は、運転するストレスから人々を解放し、車内をくつろげる空間へと変えてくれます。さらに交通事故や渋滞をなくし、少子高齢化や過疎化などの問題解決にも貢献します。地方に住む高齢者の方々が運転しなくても、買い物や通院のための移動が簡便になるのです。

――岡田さんと八幡さんは、お互いのどのようなところを尊敬していますか?

岡田さん
アメリカに留学して、英語力だけでなく人間力も身につけて帰国したことです。

八幡さん
自分の意見と信念をもっているところです。

――個人探究を通して得た経験を将来どのように活かしていきたいですか?

岡田さん
宇宙工学に対する興味がますますわきました。そこで、東京大学理科一類で宇宙工学の研究をするために、受験勉強に励んでいます。将来、自分の手で製作したロケットに乗って、宇宙に行くことが夢です。

八幡さん
自動運転の研究と開発のためにアメリカの大学に進学しようと思っています。コンピュータサイエンス系に実績のある大学に行くことが目標です。

岡田さんがユーグレナを飼育した水槽。蛍光灯では光がほとんど当たらずに死滅してしまったため、LEDライトで水槽を照らしました。岡田さんがユーグレナを飼育した水槽。蛍光灯では光がほとんど当たらずに死滅してしまったため、LEDライトで水槽を照らしました。
幡さんは、アメリカから輸入した手のひらサイズのコンピュータを載せたラジコンカーを製作。自動運転の実験を行いました。八幡さんは、アメリカから輸入した手のひらサイズのコンピュータを載せたラジコンカーを製作。自動運転の実験を行いました。

(この記事は『私立中高進学通信2021年11月号』に掲載しました。)

足立学園中学校  

〒120-0026 東京都足立区千住旭町40-24
TEL:03-3888-5331

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