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私立中高進学通信

2021年11月号

実践報告 私学の授業

ドルトン東京学園中等部

中学生ならではの発想で
新サービスを創出する『起業ゼミ』

目標達成のプロセスを学ぶ「探究」の力が身につく
2020年11月にガイアックス社で行われた「起業ゼミ」のピッチ大会。ビジネスプランを発表し、審査の結果、3名が事業化検証のためのエンジニアリングサポートを受ける権利を得ました。

2020年11月にガイアックス社で行われた「起業ゼミ」のピッチ大会。
ビジネスプランを発表し、審査の結果、3名が事業化検証のためのエンジニアリングサポートを受ける権利を得ました。

社会課題を解決する
事業プランを企画

『汝自らを求めよ』を教育理念に掲げ、2019年に開校した同校。『恐れずに進め』をスクールモットーとして、不確実な時代を生きる真の学力を身につけるため、学習者中心の教育を推進しています。

 その象徴ともいうべきオリジナルプログラムが、『ラボラトリー』です。自らの課題を思う存分探究し、自由に学び知見を深める時間です。『数学ラボ』『国語ラボ』『ケンブリッジ英検対策ラボ』など、教科をメインにしたラボもあれば、教科や学年の枠組みを超えた新しい発想のラボもあります。その一つが『起業ゼミ』です。

 起業ゼミは、中学生がビジネスプランを企画し、実社会とかかわりながら事業化をめざす、究極の探究型学習です。同校と、新規事業創出の支援と投資を手がけるガイアックス社とのコラボレーションにより、開校2年目から設定されているユニークなラボとして、学校の内外で注目を集めています。

 起業ゼミの生徒のミッションは、自分で社会課題を見つけ出し、その解決を促す新しい事業やサービスを企画・開発・発信することです。優れたプランは事業化に向けた必要経費をガイアックス社から受け取ることができます。実際に事業化へと進むケースもありますが、あくまでも主体は生徒自身。既成のプログラムに則って学ぶのではなく、「自分は何をしたいのか」を問い、自発的に行動することが求められる濃密な一期4カ月間です。

 第3期となる2021年度前期には16人が参加。夏休み最終週の「ピッチ大会」と呼ばれるビジネスプランのプレゼンテーション大会に向けて個々にアイデアを煮詰め、SNSを使って調査をするなど準備を進めていました。同社のスタッフがメンターとなって「仮説検証」のやり方をマンツーマンでレクチャーし、プランの立案をアドバイスします。そのやりとりはまさに真剣勝負。厳しい指摘も飛び交う中、生徒たちは思考をフル回転させ、真剣に自らのアイデアに向き合っていました。

受け身の学びから
創造性を発揮する学びへ

 起業ゼミに参加した生徒の中には、学び方や物事に取り組む姿勢が大きく変化した生徒もいました。起業ゼミを発起・運営する木之下瞬先生は話します。

「言われたことを真面目にこなすだけでは、周囲を巻き込むビジネスモデルを提案することはできません。ゼミで壁にぶつかり“あなたはどうしたいの?”と問われ続け、主体的に考えて行動することが大切だと気づいた生徒は、次の起業ゼミに再チャレンジしたり、ほかの学びにおいても言動に変容が見られます。
 中学生がビジネスや起業に学ぶ機会は、従来の学校教育の中にはほとんどありませんでした。大学の模擬授業や、既存の職業を知るプログラム・職業体験など受け身の形だけでなく、課題を発見し、目標を達成するために行動し、その結果を受けて柔軟に方向転換する、といった探究プロセスの経験がキャリア教育には必要だと考えています。
 起業は自分のアイデアと、社会のニーズがマッチしないと成立しません。生徒一人ひとりが専門家や周囲の力を借りながらプランを深めていきます。失敗しても、途中でゼミを辞めてもいいのです。その代わり、年2回のゼミの募集には何度でもチャレンジできます。そうした環境を整えることが、本当の生きる力を育む教育だと考えています」

 自ら発想し、社会とのマッチングを探り、課題を洗い出してビジネスプランを世に問いかける――。自主性や創造性を伸ばす成長の手応えは、起業ゼミに参加する生徒を夢中にさせていきます。

FOCUS
中学生社長も夢じゃない!?
アプリ開発で200万円の出資を獲得
堀内さんが開発したアプリは現在、多摩地域の飲食店で導入されています。堀内さんが開発したアプリは現在、多摩地域の飲食店で導入されています。

 起業ゼミで立案したビジネスアイデアがピッチ大会の審査を通ると、ガイアックス社から、事業検証費とアプリ開発のためのエンジニアのサポートを受けることができます。中3の起業ゼミ1期生は、現在、ビジネスプランを事業化する「検証フェーズ」を展開中です。

 中3の堀内文翔さんは、2021年3月のピッチ大会で、雨の日など客足が特に鈍っているタイミングで飲食店がクーポンを発行できる『リアルタイムクーポンアプリ』を発表。コロナ禍で苦しむ飲食店の助けになるだけでなく、食品ロスを減らせるSDGsの観点が評価され、200万円が投資されました。今年度は開発したアプリを店舗に導入し、その効果を検証する段階で、同社と共同で法人化も視野に入っています。

 夏休みのZoomミーティングでは、堀内さんはクーポンの発行形式と金額を、ガイアックス社の執行役、佐々木喜徳氏と検討していました。

 このほかにも「食物アレルギーの人が気軽に外食ができるようになるサービス」「自分の好きな芸能人の予定がわかるカレンダー」など、中学生ならではの柔軟な発想で新しい社会課題解決のヒントが生まれています。

堀内文翔さん(左)は審査したガイアックス佐々木喜徳執行役(右)から事業資金200万円を受け取りました。

堀内文翔さん(左)は審査したガイアックス佐々木喜徳執行役(右)から
事業資金200万円を受け取りました。

FOCUS
壁にぶつかっても考えて行動する
主体性を引き出すプロとの対話
夏休みのZoomミーティングの1コマ。疑問がわいたら、チャットツールの「Slack」を使って、メンターにいつでもオンラインでアドバイスを求めることができます。夏休みのZoomミーティングの1コマ。疑問がわいたら、チャットツールの「Slack」を使って、メンターにいつでもオンラインでアドバイスを求めることができます。

 起業ゼミに今年度、初めて参加した「新規チーム」は、自分たちの身の回りにある困りごとが、どうしたら解決できそうか、リサーチ方法から探っていきます。ガイアックス社のメンターは、生徒の考えやチャレンジ精神を引き出すようにアドバイスしていきます。

「マンションに住んでいるお年寄りはゴミ出しが大変そう」と考えた中2の生徒は、それが果たして解決すべき課題なのか、という問いから出発します。

「本当に必要なことなのか、周りの人に聞いてみるといいね。何人ぐらいに聞いてみる?」「5人ぐらい」「いや、もっと。10人ぐらいには聞く必要があるんじゃないかな?」「じゃあ、来週までに僕の住んでいるマンションの大家さんにお願いしてみます」などのやりとりが続きます。

 メンターの皆さんは、企業創出のプロフェッショナルや、アプリ制作にかかわるプログラマーなど、日々、ビジネスの世界に身を置いている方々です。はじめはメンターにサポートしてもらっていても、行動を起こすことで、次に何が必要なのか、生徒自ら見いだせるようになっていきます。

進学通信 2021年11月号
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