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私立中高進学通信

2021年11月号

実践報告 私学の授業

啓明学園中学校

身近に隠れている数学の謎を
発見して解き明かす

他教科と数学をコラボさせたユニークな授業「マスクエスト」
マスクエストは、内容にもよりますが、およそ3回の授業で1単元を勉強します。最初に基礎的な学習をし、2回目は実験など実際に手を動かす作業を行います。最後に、結果の報告や考察を発表します。

マスクエストは、内容にもよりますが、およそ3回の授業で1単元を勉強します。
最初に基礎的な学習をし、2回目は実験など実際に手を動かす作業を行います。最後に、結果の報告や考察を発表します。

数学にまつわる疑問を
解決するマスクエスト

 さまざまな国からの帰国生、外国籍生徒とともに学ぶ同校では、体験学習を多く取り入れた教育を大切にしています。

 この日の授業では、先生がシャーレを見せながら「これは湖です。この湖の中にはたくさんの魚が泳いでいます」と説明しました。シャーレには米粒がたくさん入っており、それを見て「魚?」と一瞬訝しんだ生徒も、先生の意図を感じ取り真剣な眼差しになりました。

 この日の授業は「マスクエスト」。マスクエストとは、数学(Math)にクエスト(Quest)を組み合わせた同校のオリジナル授業です。ここでのクエストとはゲーム用語で、プレイヤーが与えられた任務や課題を完遂することにより、新しいアイテムを手にしたり、レベルが上がったりするシステムをいいます。マスクエストも同様に、不思議に思える数学の法則などを課題として、実際に手を動かして実験・検証し、その謎を解き明かしていくのです。

 もともと同校は総合学習として、教科の枠を越えた授業を行っていました。2020年にはさらに一歩踏み込み、中学生が苦手意識をもちやすい数学を、音楽や美術、理科などの教科と組み合わせて学ぶマスクエストに発展させました。

 この日、中3生は数学を理科と組み合わせたマスクエストに取り組んでいました。今回解き明かすのは「標本調査」の謎です。

 何かを調べるとき、すべてのものを調査できれば、当然ですが正確な結果を導き出せます。しかし調査する対象が多ければ、時間もお金もかかってしまいます。そこで調査対象の一部を取り出して調べることで、全体数を推測するのが「標本調査」です。標本調査は中3数学でつまずきやすい単元の一つです。

調査の詳細はすべて
生徒自身が考える

 今回は「湖の中に魚が何匹いるのか」を標本調査で確認します。

「グループに1つ、湖を配ります。先生もこの湖に何匹の魚がいるのかわかりません。まずはこの中から数匹を取り出し、マジックで色を付けましょう。本当の湖ではどう調査するんだっけ?」

「魚のヒレに切り込みを入れます」

 生徒たちは前回学んだ内容をしっかりと覚えています。「では、やってみよう」と先生が促すと、グループに分かれてやり方について議論を始めました。帰国生や外国籍の生徒が40%を占める同校だけあって、教室内には多言語が飛び交います。

 効率の良いやり方を教えるのは簡単ですが、それでは公式を丸暗記するのと同じ。手順一つひとつをグループで確認し話し合い、実際に試していくことで、学びの中に発見が生まれます。

 翌週の授業で、それぞれが導き出した湖にいる魚の総数が発表されます。果たして、生徒たちはこのクエストを無事クリアできるのでしょうか。

Step 1
魚をマーキングし、数を数える
「けっこう大変……」と思わずつぶやく生徒もいました。「けっこう大変……」と思わずつぶやく生徒もいました。

 今回はシャーレを湖に、米粒を魚に見立てています。湖(シャーレ)から魚(米粒)を捕獲し、マジックで印を付けて個数を数えてから湖に戻します。実際の魚で調査する場合には「目印としてヒレに切り込みを入れる」と前回の授業で習いました。

Step 2
湖に魚を戻し、また取り出す
米粒は「よく混ぜるのがポイント」と先生からアドバイス。米粒は「よく混ぜるのがポイント」と先生からアドバイス。

 STEP1と同様に捕獲し、「印のある魚」「印のない魚」をそれぞれ数えてメモします。この作業を何度も繰り返し、メモした数を以下の式に当てはめて、作業のたびに魚の総数Xを計算で求めます。

印のある魚:魚の総数X匹=捕獲した中で印のある魚:捕獲した魚

Step 3
導き出した数と実数を比較する
みんなで声に出したり、1人ずつ手分けしたりと数え方もさまざま。みんなで声に出したり、1人ずつ手分けしたりと数え方もさまざま。

 1回ごとに捕獲する魚の量と捕獲する回数は各グループの判断とし、最後に湖の中の魚の数を実際に数えます。そして計算式で導き出した魚の総数Xと、実際に数えた総数が近ければマスクエストは成功。やり方や考察を各グループで発表します。

担当の先生に聞きました
マスクエストを通じて養える「探求する力」とは?
「生徒が自由な発想で取り組んでいるので刺激を受ける」と、芸術科の荘加先生(左)と数学科の髙野先生(右)「生徒が自由な発想で取り組んでいるので刺激を受ける」と、芸術科の荘加先生(左)と数学科の髙野先生(右)

 今回のマスクエストであれば、魚の捕獲量や捕獲回数は多いほうが数値は正確になります。でも、あえてそれらについて指示しませんでした。言われたことをただやるよりも、生徒同士で相談しながら、試行錯誤し、実際に手を動かすほうが楽しく学べますし、身につくからです。
 この授業では、生徒たちが自ら考え、気づきを得られるように導くことを第一にしています。
「探求」と「探究」の2つがありますが、マスクエストは「探求」する授業です。生徒には数学の研“究”者になってほしいわけではありません。数学が得意な生徒にも苦手な生徒にも、数学を学ぶ意味や楽しさを単純に“求”めてほしいと願っています。(数学科/髙野継大先生)

 音楽科とのマスクエストでは、ギターのフレット(※)などの幅を定規で計り、ピタゴラスが見つけた法則を生徒に発見してもらいます。三平方の定理で知られるピタゴラスは、音楽の基礎を作った人物でもあります。美術科と組み合わせたクエストでは、ヤスリを用いて石を削り、立方体が球体になるまでの変化を追います。完全な球体を作ることだけがゴールではなく、「自分の手で球体を作った」という達成感や満足感を得ることも探求の醍醐味の一つです。
 中学3年間で培った探求心を存分に発揮できるプログラムを、高校3年間で用意しています。6年間、楽しんで探求を続けてほしいです。(入試広報部主任・芸術科/荘加公平先生)

※フレット・・・ギター・マンドリンなどの弦楽器で、弦を押さえる場所を示す金属の突起のこと。

ココも注目!
国際生が個人のペースでじっくり学べる環境を整備

 もともと帰国生のために設立されたという経緯から、国際生へのサポートが手厚い同校。「国内の転校ですら生徒には一大事。ましてや文化も言葉も違う国から日本に来たことを考えると、彼らの不安は計り知れません。今まで勉強してきたペースを崩さず、日本の環境になじめるよう国際生専用の教室をリニューアルし、リラックスできる環境を整えました」(広報センター主任/関根誠一郎先生)。一般教室でも楽しそうしていた生徒ですが、この専用教室ではより使い慣れた言語で学びを深めることができます。「校内が小さな国際社会。生徒同士が仲良くするだけで国際交流ができるのは本校の特徴だと思います」(荘加先生)

(この記事は『私立中高進学通信2021年11月号』に掲載しました。)

進学通信 2021年11月号
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