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私立中高進学通信

2021年11月号

実践報告 私学の授業

東京家政大学附属女子中学校

探究的な学びで培う
自発的に考える力・伝える力

考え、調べ、分析し、発表を積み重ねる教科横断型の学習活動
フィールドワークの成果をクラスで発表。中1から繰り返しプレゼンを行ってきたことで、中2では原稿を読むのではなく、自分の言葉で相手に伝わるような発表ができるようになりました。

フィールドワークの成果をクラスで発表。中1から繰り返しプレゼンを行ってきたことで、
中2では原稿を読むのではなく、自分の言葉で相手に伝わるような発表ができるようになりました。

答えのない疑問を探究する
独自の『総合探究』の授業

 学習指導要領の改訂により、教科や科目の枠を越えて横断的に学び、生徒の自主性や思考力・発信力を伸ばす探究学習は、これまで以上に注目を集めています。2019年に国際バカロレア(IB)中等教育プログラム(MYP)の候補校に認定された同校では、MYPの特色と合致した独自の学習活動『総合的な探究の時間』(以下、総合探究)を、2020年度入学の中1生からスタート。併設の東京家政大学の教授に専門分野の研究について中1の生徒たちがインタビューを行い、成果をまとめて発表するなど、さまざまな活動を行っています。

「人に会って話を聞き、情報をまとめて発表する一連の活動を通して、自分でテーマを決めて行動を起こす学び方の大切さを、多くの生徒が感じ取ったようです」と、総合探究プログラムを担当する学年主任(国語科)の根岸一真先生は話します。さまざまな教科で探究的な学びを取り入れ、社会科の授業では、『SDGs』をテーマに生徒が自分でテーマを決めて調べる活動を実施しました。このように情報収集と分析、発表という探究学習に必要な基礎的な学び方が、同校では日常的に行われているのです。

「『総合探究』の授業は、自分の興味や関心から視野を広げ、『問い=仮説』を自分たちで立てることを土台としています。私たち教員は、すぐに答えが見つかるような投げかけをせず、『答えがないけれども深く調べていきたい』という思いを、生徒たちがもてるように考えていかねばならないと思います。生徒たちは想定を上回る成長を見せてくれています」(根岸先生)

 英語の授業にもIB教育の要素を取り入れ、教科書学習だけでなく文化や環境、歴史などオリジナルの題材を提示して、自分の考えを英語で発表する機会を設けています。

「難しい単語や文法を使わなくても、知っている英語を組み合わせれば自分を表現できる。生徒自身がそう気づけば、英語で話すことに積極的になります。自分の考えや意見を英語でもしっかり表明できる生徒に育ってほしいですね」と英語科の堀澤賢司先生は話します。

フィールドワークを体験し
自分の言葉で語る生徒たち

 入学時から探究的な学習を積み重ねてきた生徒たちは、中2生となった2021年度は、近隣の商店街や公共施設を訪問するフィールドワークに挑戦しました。自分たちで取材先を決め、現地で情報を集め、班ごとに作成したスライドでプレゼンテーションを行いました。

「中2になると、情報収集・分析と表現のスキルがさらに向上しました。プレゼンテーションをする時も台本に頼らず、自分の言葉で説明する生徒が増え、全体的に伝える力が大きくスキルアップしたことに驚かされました」(根岸先生)

 生徒の成長ぶりに、東京家政大学の教員を急きょ招き、プレゼンテーションの方法について、講義をしてもらったそうです。

「大学の教員に教わることで、発表のスキルが一段と向上するのではないかと期待しています。小さなことでも疑問をもち、根拠に基づいて説明できる力を伸ばしてほしいので、これからもさまざまな企画を立てていく予定です」(根岸先生)

総合探究プログラム担当・国語科の根岸一真先生(右)と英語科の堀澤賢司先生(左)。

総合探究プログラム担当・国語科の根岸一真先生(右)と英語科の堀澤賢司先生(左)。

生徒インタビュー
中1からプレゼンテーションを繰り返し経験、中2でさらに成長
答えのない問いを探究するのは「楽しい」
中1から『総合探究』で学んできた中2生の3名に話を聞きました。

中1から『総合探究』で学んできた中2生の3名に話を聞きました。

──フィールドワークでは、近隣の商店街や公共施設を訪れて調査されたそうですね。みなさんはどんな疑問をもって、『探究』に取り組んだのでしょうか。

フィールドワークで近隣の商店街を訪れ、リアルな声を聞きました。フィールドワークで近隣の商店街を訪れ、リアルな声を聞きました。

C.Y.さん
私は、生花の仕入れがどのように行われているのかを知りたくて、王子銀座商店街の花屋さんに話を聞きました。お店での栽培のコツや水やりの方法などたくさんの発見があり、とても興味深かったです。
コロナ禍の影響でお客さんが来なくて、閉店しなければならないお店があると聞き、経済的な影響が続いていることを実感しました。

S.Y.さん
私は、東十条銀座商店街にある話題のパン屋さんに話を聞きました。お店の外観は新しいのですが、歴史を感じさせる雰囲気もあり、そのギャップの理由を知りたくて、選んだ取材先です。
お話を伺ってみると、あんこや食パンなど、老舗で作られた素材を組み合わせて開発した商品を販売しているお店だったのです。一つひとつの商品や店舗にこだわりや歴史があることがよくわかりました。
外見にとらわれず、調べたり話を聞いたりすることの大切さを、身をもって体験できたと思います。

S.H.さん
私は、東京都北区防災センター(地震の科学館)の地震体験が印象的でした。東日本大震災の地震の揺れを体験したのですが、揺れの強さよりも“長さ”に驚き、その恐ろしさを実感しました。施設の職員の方の詳しい説明で、地震や災害への知識も深まったと思います。

──『総合探究』の取り組みを通して、どんな力が身につきましたか?

S.H.さん
中1の時から何度も繰り返してきたので、何かテーマを立てて考えて調べて、iPadでプレゼンテーションのスライドを作って発表することに慣れましたし、上達したと思います。

C.Y.さん
何度もプレゼンを行ううちに、ただプレゼンするのではなく、興味を引く内容にするにはどうしたらいいのかを考え、クラスメートのプレゼンを参考にして取り入れるなど、工夫の仕方がわかってきました。

S.Y.さん
プレゼンテーションは、直接話して相手にわかってもらえることがうれしいです。反応を見て、話す内容や話し方を変えるなど、伝え方も自分なりの方法ができてきたように思います。

──英語の授業にも『探究』の要素を採り入れているそうですね。

C.Y.さん
英語の授業では、教科書で習った文法を使って、オリジナルの英作文を作り、発表することを繰り返し行っています。この前の授業では、自分のお気に入りの本を英語で紹介する発表をしました。
ネイティブの先生からの質問にその場で答えなければならないので緊張しますが、とっさに判断して英文を組み立てる力が身につくと思います。とても刺激的で楽しいです。

S.Y.さん
英会話の授業の時には、英語の授業で習った文法を使って話す取り組みがあります。ネイティブの先生が、「こうしたらもっと伝わりやすいよ」と指導してくれるので、英会話の授業で習ったことを、英語の授業の英作文にも活かすことができます。こういう方法だと楽しく英語を学べると思いました。

S.H.さん
ネイティブの先生と話すときは「こんな質問をされるかも」と想定して、答えを英語で考えるようになりました。指名されて答えるときには緊張しますが、自分の知っている単語をつなげて、何でもいいから伝えようと思うことが大切だと思って、日々チャレンジしています。

進学通信 2021年11月号
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