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私立中高進学通信

2021年11月号

実践報告 私学の授業

宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校

独自教科『理数インター』
「知的で開放的な広場」を実現

仲間と協働し、答えのない問いに挑戦するダイナミックな授業!
教科『理数インター』の授業では、クラス全体でひとつの課題に取り組み、互いの発想を表現し合います。

教科『理数インター』の授業では、クラス全体でひとつの課題に取り組み、互いの発想を表現し合います。

楽しくて、面白い授業を
中心とした新しい学校づくり

「日本一入試方法の多い中学校」を公言するなど、ユニークで斬新な取り組みを果敢に実践する宝仙学園。2007年の『共学部理数インター』開設から今年で15周年にあたりますが、これまで次代に向けて「知的で開放的な広場」をコンセプトに掲げ、授業を中心とする学校改革にも力を入れてきました。

 その一環として新設されたものが、独自教科『理数インター』です。

 教科『理数インター』責任者の米澤貴史先生は、導入の背景を次のように話します。

「開校当初は、毎週月~金曜日まで毎日8時間授業、土曜日も4時間授業という体制を敷き、大学進学指導に力を入れていました。手厚い進路指導と学力向上には定評があったものの、その一方で、本校を巣立った生徒たちが大学生や社会人となり、自分の足で人生を歩んでいく力の育成が不十分だったのではないか、という懸念が浮上してきたのです。
 敷かれたレールに従った勉強ばかりの窮屈な中高生活では、これからの社会で活躍するために必要な主体性や創造性を十分に育むことはできません。そこで考えたのが、『楽しくて、面白い授業』を中心とした新しい学校づくりでした。
 そこで、生徒が楽しく主体的に取り組める授業、一方向ではない授業、みんなで一緒に考え誰かの役に立つことで自己肯定感が高まる授業といったことをスローガンに、手探りでスタートしたのが教科『理数インター』です」

既存の型や結果にとらわれず
個々の成長プロセスを重視

『理数インター』の理数とは「理数的思考力」のことで、自分自身の中で、あるいは相手に対して、物事を論理的に考え、伝えることができる能力のこと。そして、インターとは、「人と人とをつなぐ」ことを意味します。

 中学で毎週1時間行う教科『理数インター』では、教科書の枠を越えた特定の正解がない学びに挑戦することを通して、まずは生徒に学校を明るく楽しい安心できる居場所であることを認識してもらいながら、論理的に考える力=「理数的思考力」、心と心を通わせる力=「コミュニケーション能力」、発表する力=「プレゼンテーション能力」を高めていきます。授業では発表やプレゼンテーションの機会が多く、その集大成として、 『クエストカップ』(※)という校外の大会にも挑戦します。

「上手なプレゼンテーションができることはもちろんですが、そこに至るまでの過程で、いかに生徒たちが探究をしたのか、仲間とのチームワークを重ねてきたのか、それによってどのように成長してきたのかを重視しています」

 そこで数年前からは教員だけではなく、外部企業の協力も得て、プレゼンテーション能力の向上に取り組んできました。実在の企業から与えられたミッションに向き合ったり、ゼロから商品開発に取り組んだりする中で、自分たちの考えたことや伝えたいことを外部の方に発表し、フィードバックを受けることで、生徒は自らやる気を出して積極的になっていきます。

「教員はアドバイスはするものの、『ああしなさい、こうしなさい』と手とり足とり指導することはありません。授業ではグループワークが多くありますが、グループによってやる気に火がつくタイミングは異なり、成長のプロセスも違ってきます。トライ&エラーを繰り返しながら、自らの力で課題を解決し、それぞれのステップで成長していく姿をじっと見守ることが、教員の役割だと考えています」

※クエストカップ……仲間とともに話し合い、考え抜き、自ら生み出した探究の成果を社会に向けて発信する、さまざまな企業の協賛のもとに行われる全国大会。

授業レポート中学3年間の教科『理数インター』授業の流れ
中1コラボレーション

 ランダムに振り分けられたグループで協力し合い、さまざまな仲間とコラボレーションしながら問題を解決していきます。

「中1生にはまず、学校が楽しいと感じてもらうことを大事にしています。そこで1学期はドミノ倒しやストロータワーの作成、iPadを使った授業など、生徒が楽しく夢中になれる取り組みを行っています。仲の良い友達や固定されたメンバーではなく、ランダムに決められたチームで問題を解決することで、多様な意見があることを知り、チームの中で自分の役割を見つけることができ、チームワークの重要性を体験するとともに、自己肯定感を高めることにもつながります」

 コロナ禍で登校が制限された時期には、中1・中2合同でオンライン教科としての『理数インター』も実施。『日本一面白い学校を作る方法を、創造せよ!』というミッションに向けて、「相手の意見を否定しない」「自分の意見と相手の意見をコラボレーションさせる」というルールのもと、次々と素晴らしい発想が生まれました。

クエストカップに挑戦した生徒たち。授業で培った力を活かし、豊かな創造性を発揮して、社会課題の解決にも取り組みます。クエストカップに挑戦した生徒たち。授業で培った力を活かし、豊かな創造性を発揮して、社会課題の解決にも取り組みます。
中1・中2合同のオンライン教科『理数インター』の様子。中1・中2合同のオンライン教科『理数インター』の様子。

中2プレゼンテーション
2019年6月「三菱地所」のナビゲーターを招いて行われた授業の様子。2019年6月「三菱地所」のナビゲーターを招いて行われた授業の様子。

 企業から出されるミッションにグループで取り組み、自分たちの考えやアイデアをシェアしながらチームで答えを導き出します。そこで生まれたアイデアをまとめて、プレゼンテーションによって社会に提案し、フィードバックをもらうことで、新たな創造につなげていきます。

「企業の方をゲストに招いて、教員以外の大人ともかかわりながら、答えのない学びに取り組んでいます」

中3ラーニング
新商品の企画に取り組む生徒たち。新商品の企画に取り組む生徒たち。

「中学生の日常あるある」から発想した新商品の企画に挑戦します。仲間同士がお互いの個性を活かし、協働して企画・プレゼンテーション・ブラッシュアップを繰り返しながら、失敗を恐れない好奇心や行動力を身につけていきます。

「中3では『クエストカップ』という全国大会に出場します。大会で成果を出す生徒が年々増えてきており、生徒たちの大きな成長を目の当たりにしています。
 また文化祭や体育祭についても、以前に増して生徒が主体となって企画・運営するようになり、教員は当日暇になってしまったくらいです。教科『理数インター』を設置して以来、いろいろな場面で私たちがめざす学校のあり方に、どんどんと近づいてきていることを実感しています」(米澤先生)

ココも注目!
教科『理数インター』で培った主体性を活かし
自分の力で大学合格を勝ち取る

「大学一般入試に必要な英語・数学・国語・理科・社会科の主要5教科の学力を確実に養う授業と、生徒一人ひとりの理解度に応じた個別の学習指導など、定評のある進学指導はこれからも変わらない本校の強みとして貫きながら、ここ数年は、生徒が楽しく主体的に学ぶプロセスに重きを置いてきました。大学受験に向けた勉強をやらされてやるのではなく、生徒が進んで取り組めるように意識づけするのが本校の進路支援です。大学入試に向けて、自らの意志で決めた目標を達成したり、乗り越えたりした経験は、生徒の将来にとって必ず役立つはずです」(教頭・入試広報部長/中野望先生)

進学通信 2021年11月号
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