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私立中高進学通信

2021年11月号

実践報告 私学の授業

昌平中学校

生徒の頭に残る学びで
成長を促していくМYP

IB×SDGsで社会貢献できる自分を描く
IBの授業の様子。日本語だけでなく英語でプレゼンテーションする機会も多く、“自分の意見をもつ”生徒の育成につながっています。

IBの授業の様子。日本語だけでなく英語でプレゼンテーションする機会も多く、
“自分の意見をもつ”生徒の育成につながっています。

結果的に知識が頭に残る
ワンランク上のIB授業

 埼玉県初の国際バカロレア(IB)中等教育プログラム(МYP)認定校である同校。МYPの導入から6年が経ち、実質的に"МYP1期生"として学んだ生徒の1人が今春、東京大学に推薦(学校推薦型選抜)で合格しました。IB公認のワークショップリーダー・コンサルタントでもある前田紘平教頭先生にお話を伺いました。

「東大に進学した生徒は『昌平での学校生活そのものが東大合格の力になった』と語っています。彼は中学時代のIBの授業を通して、ただ言われたことだけをやるのではなく、自ら学ぶべき課題を次々と挙げていきながら、その成果を人前で発表し、長文のレポートを書いては、私たちに学びを通して得たことを発信し続けてくれました。そもそもIBのような授業スタイル、あるいはアクティブラーニングという手法は、一つの物事を進めるにも、教員が説明をあえて控えて生徒の自主性に任せるため、どうしても時間がかかるものです。しかし、結果的にしっかりと生徒の頭の中に残るという意味では、とても有効であることが実証されました。私たちはそこに大きな手応えを感じています」

"昌平流IB"の視点から
成長を続けるМYP

 同校では中1から中3の全員を対象に、МYPの授業を日本語で行っています。また、2020年度からは高校でも、ディプロマプログラム(DP)の授業が始まっています。

「IBの授業は、調べ学習、発表、話し合いなど、生徒主体で進行していくことが基本です。将来、社会に出たときに必要な思考力、コミュニケーション能力などが身につきます。
 一方、生徒主体で進行していく授業であるからこそ、疎かになりがちな基本的な知識というものもあります。そこで本校では、すべての授業をIBで行うのではなく、一部の科目においては、問題演習や小テストを積極的に組み入れながらの授業展開を心がけています。ただ単にIB校だから良いという認識ではなく、生徒一人ひとりの成長につなげていく学びこそが、МYPを導入した大きな理由だからです。バランスの良い"昌平流のIB"がここにあります」

 学校選びをする際の、1つの視点が見えてきました。

「偏差値を基準にした学校選びは否定しませんが、これからもっと重要になっていくポイントは、子どもの将来を見据えたうえで、その将来に一番適した学校はどこかと考えることです。本校で実践するМYPはそのキーワードの1つになります。IBはていねいに課題に取り組む生徒であれば必ず伸びます」

IB×SDGs 1
世界をテーマにした体験型学習(中2)
“届けよう、服のチカラ”プロジェクト
“届けよう、服のチカラプロジェクト”の一場面。回収された服の仕分け作業も、生徒たちが協力して行っています。“届けよう、服のチカラプロジェクト”の一場面。回収された服の仕分け作業も、生徒たちが協力して行っています。

 ユニクロ・GUとUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が実施している取り組みに、同校も参画。着なくなった子ども服を生徒たちで回収し、難民など服を必要とする人々のもとに届けています。

「単に着なくなった服を集めて送るのではなく、どうやって集めたらいいのか、誰に協力を仰げばいいのかなど、進め方そのものを中2生たちに考えてもらっています」(前田先生)

 プロジェクトは外部の力、とりわけ大人たちの力を借りなければ成り立ちません。細かな交渉事もすべて生徒たちの手に委ねられています。それだけに失敗もありますが、仲間同士で協力し合って迎えたゴールには、大きな達成感が待っています。

IB×SDGs 2
世界をテーマにした体験型学習(中3)
コミュニティプロジェクト

 MYPの集大成が、中3次の『コミュニティプロジェクト』です。自分の興味や関心に基づき、できることを考え、主体的に行動に移す、ゼロから始めるプロジェクトです。

 昨年度、授業で学んだ子どもの貧困に興味をもったある生徒は、家庭にある余剰食品を生活困窮世帯などに無償で提供するフードドライブに取り組みました。コロナ禍の中で、「自分だけ普通に暮らしていて申し訳ない」という気持ちが、原動力になったようです。

「どちらかというと彼は、自分から行動を起こすような生徒ではなかったと思います。しかし、地元自治会の副会長宅を自ら訪れ、地域内の家庭で余った食品の提供を願い入れたのです。その熱意が大人たちの共感を呼び、心を揺り動かしました」(前田先生)

 生徒は自治会員とともに手作りのチラシを地域に配布。食品を回収場所に持参できない高齢者宅には、授業が終わってから自ら足を運んだといいます。その結果、500点を超える食品が集まり、県内でフードドライブを行う事業者のもとに届けられました。後日、その生徒は『自分を変える第一歩』と題した卒論をまとめました。

「彼の行動を称える住民たちからの声も大きいものがあり、一連の活動は県内の有力紙や地上波の番組でも紹介されました。彼はこの1年を通じてかなり立派に成長しましたが、本校では毎年、彼のように大きな成長を遂げる生徒が少なくありません。活動の初めこそ消極的な生徒もいますが、ふとした瞬間にうまく社会の流れと足並みが揃い、そこで得た想定以上の成果から自信をもち始める生徒もいます。コミュニティプロジェクトで手にした大きな自信が、高校からのより高い進路意識へと発展していくのが、本校自慢のスクールライフです」

余剰食品のほかに寄付された食品も多く、集計に苦労したといいます。しかし、地域の大人たちの協力を得て無事に届けることができました。余剰食品のほかに寄付された食品も多く、集計に苦労したといいます。しかし、地域の大人たちの協力を得て無事に届けることができました。
フードドライブに取り組んだ成果を発表した生徒(右端)。コロナ禍にあっても、何ごとにも挑戦することの大事さを学んだと振り返りました。フードドライブに取り組んだ成果を発表した生徒(右端)。コロナ禍にあっても、何ごとにも挑戦することの大事さを学んだと振り返りました。
ココも注目!
IB×SDGsで
学び続ける土台をつくる
教頭・国際教育部部長/IBコーディネーター
前田紘平先生教頭・国際教育部部長/IBコーディネーター 前田紘平先生

 「IBには学問としての面白さがありますし、受験で終わらない深い学びという面もあります。もう一方のSDGsに絡めた学びも、自分が社会にどう貢献したいのかを考えることが重要で、その高い意識を身につけることができれば、大人になってもずっと学び続けることができます。数年先の未来すら読みにくくなった今こそ、忘れてはならない部分ではないでしょうか。もはや難関大学に入ればそれでいいという時代ではありません。大学で何を身につけ、それを基にどう社会貢献ができるのか…。自分なりの正解を中高一貫の学校生活の中で、とりわけ中学の3年間でしっかりと考えたうえで、高校からの学習につなげてほしいと思います」

進学通信 2021年11月号
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