私立中高進学通信
2023年8月号
中1の始め方
宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校
「自己肯定感」につながる環境で
安心して力を発揮
日常生活の中で頻繁に行われる先生との面談(『コーチング』)。
一人ひとりへていねいに向き合い、信頼関係を深めます。
生徒の「自己肯定感」を高めることを重視。生徒一人ひとりにていねいに向き合うことで、自分の可能性を前向きに捉えることができるように導いています。
生徒を知り、関係を深める
面談『コーチング』
西村修平先生
90年以上の歴史を誇る宝仙学園の共学部として開校し、2023年で創立17周年を迎えた同校。『知的で開放的な広場』というコンセプトのもと、これからの時代を生きる生徒たちが社会に貢献するうえで必要とされる「物事を論理的に考え、伝えることのできる理数的思考力(理数)」と「人と人とをつなぐ力(インター)」を育成しています。
中学生活のスタートにあたり、中1を受けもつ先生方が最も大切にしているのは、生徒の『自己肯定感』の育成です。
「はじめからトップギアに入れることなく、中学生活に慣れてもらうことを目標に支援しています。まずは学校を好きになってもらうこと、そして自分に自信をもてるようになることを重視しています」(中1学年主任/西村修平先生)
吉玉真貴先生
生徒との関わりのなかで、先生方は“プレーヤー”である生徒の良い“コーチ”であることを常に意識しています。『コーチング』と呼ばれる面談が日常的に行われているのも特徴のひとつ。時間を決めて、かしこまって行う面談ではなく、休み時間や放課後に気になる生徒へ声をかけ、雑談の延長のようなコミュニケーションをとることで、生徒一人ひとりの様子を細やかに把握するよう心がけているそうです。
「生徒とのコミュニケーションは、たとえ雑談であっても、生徒の個性や様子を知る重要な手がかりになります。それをきっかけに、悩み相談に発展することもあります。いかに『心を開いて話し合える信頼関係を生徒との間に築けるか』が、その後の指導において大きく影響すると感じています」(西村先生)
生徒の自信を育むために、学校生活のさまざまな場面で、『失敗しても大丈夫』というメッセージを発信することも大切にしています。
「私のクラスでは、誰かと比較するのではなく、『自己ベストの更新』のために、諦めない心をもってほしいと伝えています。失敗を恐れずに挑戦してこそ達成できるのが、『自己ベストの更新』です。できないことや苦手なことがあっても、それを恥ずかしいと思ってほしくないのです。頑張っている姿そのものを認めてあげたいと思います」(中1担任/吉玉真貴先生)
集団の中で取り残される生徒が
いないように配慮
学習面においては、中学3年間を通じて先取り授業は実施せず、着実な定着、深掘りを重視しています。中学の主要5教科の授業時間は基礎学力の定着と、思考力やコミュニケーション能力の育成を目的に、学習指導要領と比較して3年間で約1000時間多く確保されています。
「中1は、週に1時間『Follow』という個別指導型の学習時間を設けることで、“わからないところを放置せず、わかる状態にする”流れをつくっています。初めての定期試験前の『学習計画』においても、つまずきが心配な生徒を、担任が個別に“コーチング”の時間を設けてフォローするなど、集団の中で取り残される生徒がいないように配慮しています」(西村先生)
中1・中2という、中高生活の初期段階で育んだ「自己肯定感」や「自信」は、その先の生徒の“頑張る力”につながると吉玉先生は話します。
「生徒が『もっと頑張りたい』『頑張ろう』と心からわき上がる気持ちは、成長する原動力です。そのような気持ちを早期に抱いた生徒は、その後も目標を掲げて学校生活を送り、大学受験においても、希望する進路を切り開いている傾向が見られます。生徒が自分の可能性を前向きに捉えることができるように、一人ひとりにていねいに向き合っていきたいと思います」
教科『理数インター』
学校名についている「理数インター」は、同校の愛称のようなもの。論理的に考える力「理数的思考力」、心と心を通わせる力「コミュニケーション能力」、発表する力「プレゼンテーション能力」の3つの力を育むことに力を入れています。また、「答えのない探究型の学び」のために、中学では週1時間、教科『理数インター』を実施。中1では「コラボレーション」、中2では「プレゼンテーション」、中3では「ラーニング」と段階を踏みながら、他者と協働する力や、ものごとを深く探究し、発表する力などを育みます。
(この記事は『私立中高進学通信2023年8月号』に掲載しました。)
宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校
〒164-8628 東京都中野区中央2-28-3
TEL:03-3371-7103
進学通信掲載情報
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