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私立中高進学通信

2023年9月号

私学の英語最前線

昌平中学校

「わかったつもり」は一切なし!
“見られて”身につく英語力

生徒の主体性に焦点を当て、教員がリードする授業ではなく、生徒たちが考えて学ぶ環境を創り出す方向にシフトし始めたのが、『グラマー』の授業における試みです。「わかったつもり」では絶対に終わらせないことをめざしている、その“試み”に注目が集まっています。
動詞についての予習内容を発表する生徒。まだ習っていない範囲なだけに誤解もありますが、みんなはその姿勢をたたえます。

動詞についての予習内容を発表する生徒。
まだ習っていない範囲なだけに誤解もありますが、みんなはその姿勢をたたえます。

予習の『Research note』
復習の『Review note』

 IB(国際バカロレア)中等教育プログラム(МYP)認定校として、グローバル基準の人材育成プログラムを実践している同校。“全校生徒が英語を得意教科に”を合言葉に、知識と実践を組み合わせた英語力超強化プログラム『PEP』(Power English Project)にも力を入れています。同校の英語教育のキーパーソンであり、中学英語科主任の戸恒和香子先生にお話を伺っていきます。

「私が担当する『グラマー』の授業では、文法力と語彙力を日々の授業で鍛えていきます。予習のための『Research note』を生徒が作成し、それを基に授業を進めています。例えば、『動詞の使い方を調べてきてください』と伝えると、次の授業では各自がそれぞれの動詞についての予備知識を『Research note』上にまとめ、授業に参加してもらうイメージです」

 ただし、予備知識は必ずしも正解とは限りません。毎回の授業で生徒2~3名が前に出て予備知識を披露しますが、理解不足や解釈の違いなどがあれば指摘されます。時には難しい文法用語を使うことで注意をされることもあります(時と場合による)。

「だからといってそのやり方自体が間違いなのではなく、仮にインターネットからの引用であっても、どれだけ主体性をもって取捨選択し、発表の場に臨むかという姿勢を大事にしています。その後、私からの補足説明が入り、改めて理解を深めてもらったら、その結果を記してもらうのが復習のための『Review note』です。『Research note』の作成から『Review note』の作成へと、一連の流れは中学生にとって負担となるかもしれませんが、入学直後からこれを実践し続けると、それが普通になり、『グラマー』の授業にありがちな“受け身の姿勢”からの脱却につながっていきます」

アタマの中を言語化する力を
つける英語の授業へ
中1の『グラマー』の様子。始まりは毎回『ユメタン』から。中学修了から高校基礎レベルまでの800語を中1のうちにマスターしていきます。中1の『グラマー』の様子。始まりは毎回『ユメタン』から。中学修了から高校基礎レベルまでの800語を中1のうちにマスターしていきます。

「受け身の姿勢からは何も生まれない」と戸恒先生は改めて強調します。

「受け身にならず主体的に学んでいく姿勢は、自分のために英語力をつけるということにもつながるからです。間違えることを気にせず、堂々と学んでいけばいいのです。ちなみに『Research note』も『Review note』も、授業の中でクラス全員にあえて公開するようにしています。だからといって恥ずかしがることはありません。『ここはちょっと違うよ』と指摘を受けることもあれば、『こういうのを入れたらもっとわかりやすい』などと、アドバイスをもらうこともあります。肝心な点は、人に見られても恥ずかしくないノートを作ることであり、みんなの目に触れると思えば、一生懸命に書いてきます」

 予習の内容をみんなの前で発表するのも、学習の成果をノートにまとめるのも、全ては自分のためにあるのです。

「例えば、中学生に『わかりましたか?』と聞くと、だいたい『わかりました』と答えます。それはウソではありませんが、わかったつもりになっていることが心配なのです。肝心なのは、わかったつもりではなく、わかったことを今度は自分の言葉で言語化し、ほかの人に伝えられるかどうかです。これは英語だけではなく全ての教科に通じることです。また、大人になってからアタマの中を言語化することはとても重要になってきます。特に多感な時期である中高生にとって、考えていることを的確に人に伝えられないのはもどかしいものです。そうした指導は、たとえ『グラマー』がIBの授業でなくても、しっかり取り組んでいきたいと考えています」

みんなの授業なのだから
みんなで決めるという発想

 高校に進学すれば、大学受験を意識した学習が始まります。だからこそ中学時代の『グラマー』で、しっかりとした英文法の基礎をつけてあげたいと戸恒先生は話します。

「例えば、『成績を上げたい』という欲求と『英語力を上げたい』という欲求は、意外と両立するものではありません。ましてや中学生にとって勉学に励むことは多分、楽しいことではないと私は思っています。そこで、楽しく英語力が身につき、しかも成績が上がる方法を模索するなかで導入を決めたのが、今回の『Research note』と『Review note』でした。
 このようにいろいろと実験のような試みができるのも、何ごとにも主体的に取り組んでくれる生徒たちがいるからこそです。ちなみに私の授業では宿題が選択制になることもあり、自分の現状の課題に適した宿題を自由に選んでもらっています。また、宿題の提出期限も生徒自身に決めてもらっています。『何曜日までに提出してください』と言うのは簡単ですが、時間がないなかで雑に宿題と向き合っても逆効果だからです。『何日間必要?』『4日ぐらいかな』『じゃあ4日後にしましょう』という具合に決めていきます。大事なことは“自分の授業”と思ってもらえるかどうかです。そのため『みんなの授業なのだから、みんなで決めて』とよく言っています。面白いのは、そう伝えると楽なほうを選ばず、あえて難しいほうを選ぶ傾向にあることです。自分のことは自分で考える、自分で決めていくという主体的な姿勢を応援しています」

POINT
見られることを前提に仕上げる
『Research note』のココがスゴイ!

 本文で紹介した『Research note』も『Review note』も、同級生に見られることを前提に仕上げることが決まりです。

「みんなが見ることを前提にすると、誰もが張り切って書いてきます。間違った解釈も多々ありますが、それを見た友達が『これ違うんじゃない?』と指摘してくれるので、正しい理解にもつながります」

 昨年度、初めて『Research note』と『Review note』の導入を試みた戸恒先生は、年度終わりに生徒へアンケートをとりました。

「圧倒的に多かった回答は、『理解度が深まるのであったほうがいい』というものでした。私はこの結果に大きな手応えを感じ、その概要を私も参加している英語教員が集うネットワーク『英語授業研究学会』(※)に応募しました」

 その結果、図らずも同会の審査を通過、この夏の全国大会で一連の取り組み成果を発表することになっている戸恒先生です。

※英語授業研究学会:英語の授業の改善を目的に、志の高い英語教師が任意で参加するネットワーク。1990年よりほぼ定期的にさまざまな形態での研究会を行っている。

入学から間もない4月中旬の『Research note』。すでに学びの深さが伝わってくる仕上がりです。入学から間もない4月中旬の『Research note』。すでに学びの深さが伝わってくる仕上がりです。
クラスメートの『Research note』を確認。この後、指名された生徒が前に出て予習した内容を発表していきます。クラスメートの『Research note』を確認。この後、指名された生徒が前に出て予習した内容を発表していきます。
担当の先生より
高1を見据えて3年間しっかり学ぶ
という視点で基礎固めに取り組む
中学英語科主任 戸恒和香子先生中学英語科主任
戸恒和香子先生

「高校生になると想像以上に勉強が忙しくなります。そのためにも中学で積み重ねる経験は大事で、とりわけ英語教育における『グラマー』の重要性が、3年間に凝縮されていると言っても過言ではありません。一貫校における中学の存在は、ごくシンプルに言えば、『足場固めのためにある』ということでしょう。ですから中学で身につけたことを、どうやって高校からの勉強に活かしていくかは、常に最重要テーマと捉えて考えています。要は“高1を見据えて3年間しっかり学ぶ”ということです。中学3年間の土台をしっかり固めておけば、後はそれぞれの課題を積み重ねていくだけです。一貫校における中学の重要性を日々認識しながら、私自身も教師力のアップデートに努めています」

(この記事は『私立中高進学通信2023年9月号』に掲載しました。)

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