私立中高進学通信
2025年7月号
未来を切り拓くグローバル教育
昌平中学校
国境・教科・学校の枠を越えた学びで
真のグローバル人材を育成
ボーダーレスプログラムの柱となるSDGsと中学IBの集大成「コミュニティプロジェクト」。
各生徒が自分の“好き”を追求し、社会貢献へとつなげる活動です。
写真はある生徒が地域創生のために作成した千葉県野田市のプロモーション動画。
「地元・野田市を得意なダンスで活性化」というアイデアが形になりました。
IB認定の中高一貫校として世界水準の革新的な教育を推進している昌平。そんな同校の次なるステージについて伺いました。
IB・SDGs・英語強化を柱に
ボーダーレスプログラム始動
副校長/前田紘平先生埼玉初の国際バカロレア(以下IB)認定校として世界水準の教育を実践している昌平。導入から8年、その効果はIB中等教育プログラム(以下MYP)1期生が卒業した2021年から大学合格実績などに顕著に現れ、毎年東大をはじめとする最難関国立大学合格者数を増やしています。
同校では中学生全員がMYPで学び、高校からは高入生を加え、IB・特別進学・選抜進学の3つのコースに分かれます。このたび、IBの学びをIBコース以外の生徒へも拡大することを目的に「ボーダーレスプログラム」が始動しました。
「IBで学んだ生徒たちは我々の想像を超える成長を見せ、深い思考力が必要な論述試験が出題される難関国立大に合格という結果を残しています。そんなIB教育と、これまで行ってきたSDGs、パワーイングリッシュプログラム(以下PEP)を3本柱に、国境、教科、コース、学校・地域の枠を越えた学びを進め、真のグローバル人材を育てたいと考えています。例えば本校の高校部活動は全国レベルの活躍をしています。これまで文武両道を掲げてきましたが、これからめざすのは文武融合です。“試合で勝つにはどうすべきか”という問いに対し、データ分析や論理的・科学的アプローチで解を導くというように、IBで身につく思考や学問の手法を広げ、応用していきます。これが昌平のIBがめざす方向性です」と前田副校長は話します。
SDGsとMYPの集大成
コミュニティプロジェクト
ボーダーレスプログラムの柱の一つ、SDGsの学びはIBの使命(※)に通じます。同校ではSDGs教育を、外部とのつながりや体験を通して世界を意識し理解する取り組みとして推進。中学では難民や貧困など世界の諸問題について学びます。JICAやTOKYO GLOBAL GATEWAYなどの体験型プログラム、校外学習、実験を通して、課題を見いだし、課題解決に向けた企画を生徒自らが考え、奉仕活動を行います。その一環として中2生全員が、ユニクロが実施する「届けよう、服のチカラ」プロジェクトに参加。中3では、MYPの奉仕活動の集大成『コミュニティプロジェクト』に取り組みます。生徒は教員のサポートのもと、個々の興味・関心に基づき、独力で奉仕活動というアクションを起こします。その内容は、“不要なメガネを途上国に寄付する” “若者世代にメディアリテラシーの知識を深めるイベントを行う”など、多岐にわたります。
「ダンスが得意で地方創生に興味がある生徒は、コミュニティプロジェクトで、ダンスと地元・野田市を掛け合わせ、野田市の魅力を発信するプロモーションビデオを作りました。市にかけ合って撮影許可を取り、さまざまな観光スポットでのダンス動画を作成する過程で、キッコーマンやメグミルクなどの企業の協力を得られることになりました。野田市出身のシンガーソングライターの楽曲も提供してもらい、プロレベルの動画が完成したのです。我々は“好きのチカラ”と呼んでいますが、コミュニティプロジェクトを通じ、好きなことを突き詰めれば想像以上の成果が得られることを体感してほしいと考えています」
※IBの使命…多様な文化の理解と尊重の精神を通じてより良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者を育成すること。
総合型選抜につながる
高校のグローバル探究
中学でのコミュニティプロジェクトを発展させたものが高校の「探究」です。「総合的な探究の時間」に全生徒が取り組む探究活動で、高3の夏にはその集大成として、学校の所在する杉戸町の街づくりプロジェクトを進めます。このプロジェクトはそのまま総合型選抜でも使えます。
5名の外国人教員のほか、イギリス滞在経験のある国語科教員やアメリカで研究を行っていた生物教員など、多様なバックグラウンドをもつ教員が揃う環境で、文武融合×グローバルを推進する同校。
「本校が進める教育は総合型選抜や思考力重視型の大学入試と非常に親和性が高いといえます。PEPとIBとSDGsを3本柱に、昌平ならではの革新的な学びを推進していきます」と前田副校長は力を込めます。
ハーバード大学の学生が同校を訪れ、英語で授業を行う「ハーバード・サマースクール」。ディスカッションやプレゼンテーションがメインのアカデミックな授業を受け、より高みをめざそうとスイッチが入る生徒も少なくありません。
2024年に始まった「マレーシア語学・文化研修ツアー」「シリコンバレー・イノベーション研修」など、PEPを実践するプログラムも充実。校内には外国人教員が常駐する「インターナショナル・アリーナ」通称「日本語禁止部屋」を設置。生徒は英語でのおしゃべりを楽しんでいます。全校生徒が英語を得意教科に!
「パワー・イングリッシュ・プロジェクト」
グローバル探究部副部長英語科教諭 田中雅巳先生
PEPは、6年間一貫教育体制で英語の4技能・5領域(聞く、読む、話す〔やり取り〕、話す〔発表〕、書く)を育成する、全校生徒が対象の英語力超強化プロジェクトです。「日本語禁止部屋」の設置や、校内英語スピーチ、レシテーションコンテストなどの取り組みで、中学卒業時に英検準2級の取得をめざします。また、「ブリティッシュヒルズ語学研修」や体験型英語学習施設「TGG訪問」など、体験学習の機会も充実。中3生は、2月に5泊7日の「ハワイ修学旅行」に参加し、ホームステイをしながら自然、文化、歴史、持続可能性を英語で探究します。また、ハーバード大学の学生を本校に招いて議論・発表をする「ハーバード・サマースクール」や、現地で活躍する日本人と交流する「シリコンバレー・イノベーション研修」、「マレーシア語学・文化研修ツアー」など、キャリア教育も組み込んだ海外プログラムを多数用意しています。
IBで培う深い思考力と表現力が
難関大学入試にも活かされる
グローバル探究部部長社会科教諭 松野岳水先生
IB教育の特徴の一つに概念学習が挙げられます。MYPでは、全教科に共通する概念や各教科に特有の概念が提示され、それら概念を中心に単元指導案が計画されます。例えば、中学1年を対象に“ものの見方”という共通概念を核に単元をデザインすると、社会科では「地図はどれだけ世界を正しくあらわしているのか」という問いを中心に授業が展開し、生徒は地図投影法の違いが世界観の形成に影響することに気づきます。一方理科では、細胞に関する学習の中で、「顕微鏡が発明されたことで人々の世界の見方が大きく変わった」ことを知ります。このように本校では、各教科特有の知識を得ながら、教科の枠を越えた概念やスキルの獲得を目指します。また、概念学習をベースに、個人調査やグループ学習、小論文や発表などアウトプットの機会も数多く設けられています。こうした多様な学習が、結果として生徒の力になり、数年後の大学入試でも発揮されているのかもしれません。
(この記事は『私立中高進学通信2025年7月号』に掲載しました。)
昌平中学校
〒345-0044 埼玉県北葛飾郡杉戸町下野851
TEL:0480-34-3381
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