私立中高進学通信
2024年11月号
今こそ心の教育
狭山ヶ丘高等学校付属中学校
「自己観察教育」で育む
自学自習の精神
授業を始める前に行う「黙想」。心を落ち着けることで、自分のやるべきことが見えてきます。
茶道・黙想・対話の
「自己観察教育」で成長
「中高は人生における“種まき”の時期。黙想や対話によって人間としての土台ができれば、長い人生を心豊かに生きていけると思います」と語る渡邉先生も同校のご出身。
心の教育「内観」の精神を重視し、「自己観察教育」を実践している狭山ヶ丘高等学校付属。「自己観察教育」のベースとなる「内観法」とは、宗教指導者の吉本
「本校の自己観察教育には大きく分けて3つの柱があります。まず、1つ目が茶道教育。日本の伝統文化である茶道を通して、『和敬清寂』を体得することが目的です。本校では高3で週1回茶道の授業があり、卒業時には茶道裏千家初級許状が授与されます」(保健体育科/渡邉圭輔先生)
『和敬清寂』の「和」はお互いに心を開いて仲良くする、「敬」はお互いを敬い合う、「清」は心の中を清らかにする、「寂」はどんな時にも動じない心をもつことを意味します。
2つ目は、1960年の高校開校当初から続く「黙想教育」です。
「黙想をする時は、目を閉じて深く静かに自らの内面へと思いを巡らせます。朝礼や各授業の開始前、行事の前などに自分の心を落ち着かせ、これから行うべきことに沈思黙考する時間を作っています」
黙想では教員がテーマを設けることもあります。例えば朝礼では「本日の行動予定」、体育祭や文化祭の朝には「自分に何が貢献できるか」など、各自が静かに自問自答します。
そして3つ目が「対話」です。
「対話は単なるおしゃべりではなく、他者との相互理解を深め、同時に自分自身の理解も深めていく取り組みです。教員と生徒、生徒同士、もちろん教員同士も、互いに思いやりをもって相手と接することを意識しています。生徒とていねいに向き合う教員が多いのも、『自己観察教育』で培ってきた本校の風土によるものだと思います」
「事にあたって意義を感ぜよ」
校訓が導く「自学自習」
もう一つ同校に根付いているものが、「自学自習」の精神です。
「『自学自習』は、自分自身で物事に取り組む意味や動機づけを明確にしておかなければなりません。 “自分は将来こうなりたいから、今こういうことをする”、 “こんな人をめざすから、今これを頑張る”といった目標設定や取り組みができれば、それは本人を動かす大きなパワーになります」
校訓「事にあたって意義を感ぜよ」は、物事の意味や意義を考えて取り組むという意味です。「自学自習」の習慣は、「自己観察教育」や校訓から確立できると渡邉先生は言います。
また同校の取り組みで特徴的なものに「朝ゼミ」「放課後ゼミ」があります。
「中1と中2で特に重視している『朝ゼミ』は、7時20分から8時10分まで週3日行われます。1日のリズムを整えるうえでも早起きは大切ですし、朝のフレッシュな状態で学習効果も高まります。英語・数学・国語の3教科を学年に応じてレベル別に展開し、中1と中2で基本教科の学力をじっくりと定着させることができるので、任意参加ながら、ほとんどの生徒が『朝ゼミ』に出席しています」
ほかにも、中1で「自己を知るためのマインドマップの作成」を行うなど、自分は何がしたいのか、何に興味があるのかを考える機会が豊富に用意されています。
一貫生が卒業して6年
3人に1人が国公立大学へ
中学の開校は2013年。中高6年間を同校で学んだ卒業生は、2023年度で6期目となります。
「中高一貫生はまだ6年間の教育実績しかありませんが、大学進学面では4人の東大合格者を出しています。もちろん大学進学実績が全ではありませんが、2023年度の卒業生は39人で、東大に合格した2人をはじめ国公立大学合格者が13人。小規模な中学校としては満足のいく人数だと思います」
3人に1人が国公立大学合格という結果は、「自己観察教育」の一つの成果とも言えます。開校時は高度経済成長により社会が大きく変化した時期。世の中が大きな変革を迎えている現在も「自己観察教育」が必要とされるのではないかと渡邉先生は語ります。
「時代が激変する今、心の教育の重要性は増しています。本校の『自己観察教育』を通して『自学自習』の習慣を身につけ、自分と社会への理解を深め、本人が興味・関心のあるテーマを選び中3で研究レポートを書き上げます。このレポートが、大学選びや将来の進路につながることも多いのです。中高6年間を本校で学んだ卒業生は、卒業後も母校を訪れ、学ぶことの根源的な面白さを楽しそうに語ってくれます」
にじり口を備えた本格的な茶室「悠久庵」で日本文化を学び、豊かな人間性を育みます。
中学生が高校生と一緒に活動する茶道部も人気です。
(この記事は『私立中高進学通信2024年11月号』に掲載しました。)
狭山ヶ丘高等学校付属中学校
〒358-0011 埼玉県入間市下藤沢981
TEL:04-2962-3844
進学通信掲載情報
PICK UP!!
紹介する学校
- 新設された「国際コース」で21世紀に必要な力を身につける上野学園中学校
- 開設20周年に「NEXT20プロジェクト」始動今までの取り組みを発展させ、次の20年へ大宮開成中学校
- 使う人の創造力と活用法によって形作られていく新しい芸術教室棟『BLOOM』かえつ有明中学校
- NCL(ニコル)プロジェクトが高大連携でパワーアップ!高校では新科目『探究科』へ発展神田女学園中学校
- カリキュラム改訂で授業時間が増加!医療への道も強力支援関東学院中学校
- 高大連携による7年間一貫教育で自分らしい学びを継続する共立女子第二中学校
- 2025年度からの学び方改革!自学自習の習慣を確立し、一歩先の進路実現啓明学園中学校
- グローバルコース1期生が世界の名門大学へ!進化を続ける伝統男子校佼成学園中学校
- チャレンジ精神を育てたい!中学では新たに2コース制も導入佼成学園女子中学校
- 理科好きとなる第一歩に最適な『理科巡検プログラム』国学院大学久我山中学校
- アクティブな学びを促す可変でオープンな新校舎品川翔英中学校
- 他校生を招いて探究活動を発表する第1回「SJ OPEN DAY」を開催品川女子学院中等部
- 中高合同の新校舎が2025年3月に完成予定!秀明中学校
- ユネスコスクール認定校に『キャリアプログラム』も充実秀明大学学校教師学部附属秀明八千代中学校
- 社会に貢献する“実学の精神”が一致し北里研究所(北里大学)の付属校へ順天中学校
- 世界の最先端を肌で感じる新しい体験型プログラムが続々登場!昌平中学校
- 『スタディフェスタ』に向け3学年合同で思考力、問題解決能力を磨く西武台新座中学校
- スチューデントベースで果敢に挑戦を続ける青稜中学校
- スポーツプラザにあふれる熱気校訓「自主堅正」を体現する体育祭高輪中学校
- 9カ国で海外研修のチャンスグローバルな問題を自分の目で多摩大学目黒中学校
- 「まとめて・書いて・発表する」で国公立大学合格者が5倍以上に増加千葉明徳中学校
- 生徒が未来をつくる『研究コース』『開発コース』千代田中学校(現 千代田国際中学校)
- 高大連携を強化し、進路につながる探究学習をよりアカデミックな学びへ田園調布学園中等部
- 115年の歴史を誇る工業科が終了!新教育構想を続々と実施中日本工業大学駒場中学校
- 新たに生まれ変わる校舎で0から1を生み出す力を育む日本大学豊山女子中学校
- 学校選びに新しい選択肢圧倒的基礎学力を高める最適な教育環境松本秀峰中等教育学校
- 2つの施設が新たに加わりより豊かな教育環境へ武蔵野大学中学校
- 大学の資格センター・卒業生を活かしさらに充実したキャリアクエスト講座明治大学付属明治中学校
- 2024年度より中学にも「IGS(6カ年特進)コース」が誕生八千代松陰中学校
- 『グローバルコース』の新設で2コース制をアップデート横浜創英中学校
- 男子の部活動も充実させつつ海外大学も視野に入れた教育を実践横浜富士見丘学園中学校
- 柏髙島屋と新たにコラボ!進化するSDGs研究会「EARTH」麗澤中学校
- ゲームを通じて、社会課題に向き合う高1生の『SDGsすごろく』和洋九段女子中学校
- 来年度から英語入試が、新方式の“英語アドバンスト入試”としてリスタート目白研心中学校
- 「自己観察教育」で育む自学自習の精神狭山ヶ丘高等学校付属中学校
- 自分が世界から必要とされていることに気づく玉川聖学院中等部
- 食育と伝統教育で心を養い国際社会に生きる人材を育成文京学院大学女子中学校
- 家庭と連携しながら学習姿勢や生活習慣を育む日本大学第一中学校
- 仲間との絆を育み自己管理を習慣化日本大学豊山中学校
- 生徒会活動を通して感じる成長とやりがい共栄学園中学校
- 自分のやりたいことに取り組める学校日本大学第二中学校
- 子どもの成長を見守りながら広報活動で学校に貢献しています共立女子中学校
- 教員が自分の子どもに入学を勧めたくなる学校です聖徳学園中学校
- 哲学教育を軸に楽しく学んで成長しています東洋大学京北中学校
- PTA活動や保護者向けの行事で情報交換ができます立正大学付属立正中学校
- 達成感を大事にして自信をもてるような授業を光英VERITAS中学校
- 夢の実現に向かって進む生徒をしっかりサポートしたい埼玉栄中学校
- 一人ひとりの自発的な目標設定を重視する進路指導で多様な進路希望を実現宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校