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私立中高進学通信

2023年12月号

実践報告 私学の授業

狭山ヶ丘高等学校付属中学校

思考力や表現力を伸ばす
中3の研究論文

中1・中2の課題研究の集大成
真剣な面持ちで論文執筆に取り組む生徒たちの写真です

自ら学ぶ力を養うため、中1から探究活動をしっかりと実践する同校。その総仕上げとして中3で行う研究論文への取り組みを取材しました。

興味・関心を分析し
社会にどのように関わるか

 自学自習を重視する狭山ヶ丘高等学校付属では、自律的に学び、自己を省みて分析する力や論理的な思考力の習得を重視しています。そうした力を育成するために実践しているのが、中1からの探究学習と中3の研究論文です。

「本校では探究学習を通じて、自己分析や思考力、発想力の向上に取り組んでいます。中1から調べ学習や自分の興味・関心のある分野について理解や考察を深め、中2では本校伝統の農業体験などを通して、徐々に他者や社会へ視点を広げる訓練を行っています」(教頭・国語科/北谷高志先生)

 中1・中2で探究活動を積み重ね、中3では課題研究として全員がおよそ1年間かけて、自身でテーマを設定し、一から調査して4000字以上の研究論文を執筆します。

「中2の3学期から論文のテーマ決めが始まります。マインドマップを活用して自分の興味・関心を可視化するところからスタートし、中3からは先行研究を調べたり、グループワークや担当教員との対話を重ねたりして、どんな内容にしていきたいのかを明確にしていきます。
 論文作成のプロセスは、社会とどう関わっていきたいのか、どういった進路へ進みたいのかを生徒自身がじっくりと考える契機ともなります。中3でこうした経験をすることが、高校からの学びへのモチベーションにもつながっていくと思います」

 ひとつのテーマについて深く探究していけるように、研究論文の作成には週2時間の『総合的な学習の時間』を使い、1学年50名ほどに対して10名の教員がつき、テーマに合わせて少人数のゼミ形式で進めていきます。

「論文の骨組みがしっかりしていないと、執筆の途中で行き詰まってしまいます。そのため、執筆に入る前に生徒各自がキーワードを書いた紙を黒板に貼りながらプレゼンテーションする『KP法』を用いて、論文のアウトラインを担当教員に示す手順を踏んでいます。
 その際に修正すべき点や注意点についてアドバイスをするなど、一人ひとりじっくりと時間をかけて指導しています」

自ら考え続け
納得できる論文を
北谷高志先生の写真です教頭・国語科
北谷高志先生

 教員のサポートを得て、生徒たちは中3の1学期で論文の骨組みを決定。2学期から執筆に取り組み、12月までに各自で4000字以上の研究論文を完成させます。

 論文を完成させた後は、内容を模造紙にまとめて中1・中2の生徒や教員の前で発表する『研究発表』(ポスターセッション)の機会も設けています。この際にもポスターの作成やプレゼンテーションの方法についてもしっかりと指導し、発信するスキルも磨いていきます。後輩たちは先輩たちの発表を聴き、自身の論文作成に役立てているそうです。

「『研究発表』は論文執筆を含めた中学3年間の集大成となるもので、どのように学びと向き合ってきたのかが問われます。単に体裁の良い論文を完成させるだけではなく、自分なりにテーマを深掘りし、ときには悩んだり苦しんだりしながら自ら考え続け、納得のいく論文を完成させてほしいと思っています。そうできた生徒ほど、素晴らしい研究発表をし、達成感も大きいようです」

 中3の研究論文をスタートさせてから、今年で5年目となりました。

「今後はこれまでの積み重ねを活かしつつ、さらに発展的に取り組んでいきたい」と、北谷先生は話します。

「現在の論文は主に文献調査に基づいて行っているため、文系のテーマに偏りがちです。本校ではたくさんの理科実験や研究を行っているので、そうした取り組みを活かし、今後は文理横断の自由な発想でテーマ設定できるよう、導いていきたいです。
 素晴らしい論文が増えてきているので、ゆくゆくは受験生や保護者の皆さんなど外部の方にもご覧いただける機会をつくりたいと考えています」

真剣な面持ちで論文執筆に取り組む生徒たちの写真です授業シーン1
真剣な面持ちで論文執筆に取り組む生徒たち。事前に練り上げたアウトラインに沿って集中して文章をキーボード入力したり、資料を検討したりしています。
プレゼンする生徒の様子の写真です授業シーン2
論文のアウトラインを、KP法で担当教員にプレゼンする生徒の様子。この際に論文の構成は的確か、参考文献や先行研究など事前調査を十分に行っているかなどを担当教員が確認し、アドバイスをします。
論文作成はオンラインで共有できる『Google Document』を使用しています授業シーン3
論文作成はオンラインで共有できる『Google Document』を使用。「教員は生徒の進捗を確認したり、コメント機能でやりとりをしたりして、授業時間以外にも執筆をサポートしています」(北谷先生)
複数教員と生徒が簡単なディスカッションをしている様子の写真です授業シーン4
生徒たちが集中して執筆する教室には、常時3~4名の教員が見守り、手が止まってしまっている生徒には声がけをして、励ましたり、アドバイスをしたり。複数教員と生徒が簡単なディスカッションをして、疑問を解決することも。
生徒に聞きました
執筆前に複数回発表の機会があり
客観的な視点がもてるように
Hさんの写真ですHさん(中3)

 観光地としての『沖縄』に着目した研究論文に取り組んでいます。以前から沖縄に興味がありました。伝統・文化、グルメなど沖縄固有の魅力を探り、観光地としてのさらなる魅力を研究しています。

 論文を執筆する前にKP法を用いた発表やグループ・ディスカッションなど、先生やグループのメンバーに自分のテーマを発表する機会が多くあったことで、物事を客観的に捉える視点が身につきました。自分ひとりでは気づけなかったたくさんの学びがあり、とても役立ちました。

 執筆活動では悩んだり立ち止まったりすることも多く、決して簡単ではありませんが、好きなことに精いっぱい取り組んでいる実感があって、とても楽しいです。論文執筆後のポスター発表では先輩たちのように、説得力のある発表ができるように頑張りたいです。


“好き”から始めたテーマと
社会課題を結び付けて考える
Mさんの写真ですMさん(中3)

 鉄道が大好きなので、赤字を抱える秘境路線の魅力を伝え、復活させる方法をテーマに選びました。このテーマにたどり着くまでには、「鉄道や電車が大好きという気持ちを、社会課題とどう結び付けるか」を考える過程が難しく主観的になりがちでしたが、先生や友だちからアドバイスをもらうことで客観的に考える姿勢が身についていきました。

 論文は書き始めたばかりで不安もありますが、先生のサポートや励まし合える友だちがいるので、心強く感じています。

 中1から社会課題について自分の意見をもつことを意識させる活動が多く、中2の文化祭でもSDGsについてグループ発表を行いました。こうした経験も論文執筆に役立っていると感じます。しっかりと論文を書き上げて、その後のポスターセッションでは自分の言葉でしっかりと発表をしたいと思っています。

進学通信 2023年12月号
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