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私立中高進学通信

2022年8月号

実践報告 私学の授業

城西大学附属城西中学校

中学3年間で探究スキルを身につける
独自のJFGLP

探究学習と発表を繰り返し“英語”でもプレゼンテーション
中3の『比較文化研究発表会』の様子。1年間をかけて生徒一人ひとりが個別のテーマについて探究し、まとめた成果をスライドにしてプレゼンテーションを行います。

中3の『比較文化研究発表会』の様子。1年間をかけて生徒一人ひとりが個別のテーマについて探究し、
まとめた成果をスライドにしてプレゼンテーションを行います。

体験活動をベースに調べ
発表の経験を蓄積
入試広報部・国語科/佐藤菜々美先生入試広報部・国語科/
佐藤菜々美先生

『天分の伸長・個性の尊重・自発活動の尊重』の3つの建学の精神と『報恩感謝』の理念を掲げる城西大学附属城西。これからの国際社会を生き抜き、グローバルリーダーとして活躍できる力を身につけるため、2018年度から、中高一貫の体験型教育プログラム『JOSAI Future Global Leader Program』(以下JFGLP)をスタートしました。

 さまざまな体験学習を通して基礎学力の土台を培い、協働する力や問題解決力、国際感覚を磨いて、世界の社会課題を自分ごととして捉え、その解決に向けた提案を考える素地を養っていきます。

 中1・中2では、田植えから米の販売まで行う稲作体験や理科の探究学習などを通して、レポートにまとめたり、プレゼンテーションを行ったりする経験を積み重ねていきます。そして中3では、生徒それぞれの興味・関心からテーマを設定し、1年間をかけて探究する『比較文化研究』を行います。

「生徒一人ひとりが個別のテーマを探究します。1学期の間、探究の方向性が固まるまで、生徒同士で意見を交流し合い、考えを深めます。
 9月に行われる文化祭『しいの木祭』では中間発表を行い、3学期には中3生全員が探究の成果を、『比較文化研究発表会』にて日本語だけでなく英語でもプレゼンテーションを行います。聞き手に伝わるようスライドに工夫を凝らし、言葉の伝え方や表現方法について、教員からアドバイスをもらいながらプレゼンをつくり上げていきます。中1から調べる・まとめる・発表する、を繰り返し行ってきた成果が発揮され、皆、堂々と発表しています」(入試広報部/佐藤菜々美先生)

高校では企業とのコラボで
より社会とつながる探究へ

 高校生になると、希望者が集まる『αゼミ』を中心に、JFGLPの取り組みを継続し、地方都市の地域創生や、企業とコラボレーションした社会課題の解決など、より実社会に結び付いた探究活動を行っていきます。

「中学3年間のJFGLPは、そうした高度な課題解決型学習を実践するための土台つくりと位置付けています。自分の生活と社会課題を結び付けて主体的に調べたり、まとめたうえで自分の考えを述べることができる力を身につけてほしいと考えています。
 自分のテーマに関する現状を知ったときに“難しい問題だ”と認識するだけにとどまらず、“自分たちに何ができるか”まで考えた結論を出すように促しています」(佐藤先生)

生徒インタビュー
中学3年間のJFGLP
中3で取り組んだ『比較文化研究』について聞きました
趣味の筋トレと「相対的貧困」を関連付けて探究

Oさん(高1)

Oさんは中3『比較文化研究発表会』で最優秀を受賞しました。Oさんは中3『比較文化研究発表会』で最優秀を受賞しました。

 趣味の筋トレをきっかけに、「食事」と「飢餓」に興味を持ちました。調べていくうちに、今の日本では、周りの人たちの生活水準に見合わない「相対的貧困」の課題があることがわかりました。そこで、栄養バランスの大切さと、「相対的貧困」の現状を多くの人に知ってもらえる発表にしたいと思い、テーマに設定しました。

『比較文化研究発表会』では、「相対的貧困」や栄養関係の専門用語を、できるだけわかりやすい表現にして伝え、皆に理解してもらうことを心がけました。中学3年間発表でプレゼンする機会をたくさんもてたので、緊張せず、わかりやすく話す力がついたと思います。

「教育」をテーマに世界と比較

Yさん(高1)

「体験活動や授業で発表の経験を積んだことが、プレゼン力につながっています」とYさん。「体験活動や授業で発表の経験を積んだことが、プレゼン力につながっています」とYさん。

「質の高い教育をみんなに」をテーマに世界の教育費について調べました。学び続けたい人のために「奨学金」という制度があるのは知っていましたが、社会人になってから借りた奨学金を返済ができず破産する例があるとニュースで知り、これは社会の課題ではないかと感じたからです。

 世界の教育とお金の事情を調べてみると、フィンランドは教育費や給食費の無償化を進めているなど、国によって対応はさまざまだとわかりました。そこで、各国の教育にかかる費用や支援策を比較し、今の日本で行われている政府や企業、NPOの教育支援や政策を紹介し、考えをまとめました。

インプットとアウトプットの繰り返しで
探究力とプレゼン力が向上する
身近な課題から世界の諸問題へと興味・関心を広げる
サマースクールで蚕の世話を体験したYさん。「本物」に触れることで、知的好奇心が刺激されます。サマースクールで蚕の世話を体験したYさん。「本物」に触れることで、知的好奇心が刺激されます。

 中学3年間のJFGLPの取り組みでは、身近な課題から世界の課題へとテーマとなる対象を徐々に拡げていくことで、生徒が自ずと世界の諸問題に興味をもち、グローバルな探究力を得られるよう促しています。また、中1・中2ではグループワークで探究学習を行うため、協働する力も身につきます。

「さまざまなことを体験するだけではなく、事前の調べ学習や事後のレポート作成などもきめ細かく行い、“体験”というインプットと、“調査・分析・発表”というアウトプットを繰り返し行っていきます。
 その反復によって、レポート作成力やプレゼンテーション力が上達し、中3で生徒が個人で自分のテーマを探究し、発表する『比較文化研究』で役立っています」

 と入試広報部の佐藤先生は言います。

 今回、インタビューに答えてくれたYさん(高1)も、「中1のサマースクールで養蚕のお手伝いをしたのですが、その体験から、なぜシルクが高いのかなどの疑問を実感をもって理解することができました。学校の行事や授業でスライドをまとめて発表する機会がとても多いので、考える力や発表する力がついたと思います」と、JFGLPで得た力を実感していると話してくれました。

「自分の興味関心に基づいたテーマを探究し、自国や自身について理解を深めることは、アイデンティティ形成やキャリア形成にも役立ちます。グローバル社会に貢献できる人材になるために、常に自己を更新し続けてほしいと思います」と佐藤先生は語ってくれました。

JFGLPの一環として行われる中2の鎌倉校外学習。現地で集めた情報をグループでまとめて発表します。クラウド上で画像を共有したり、スライドを全員で編集したりするなど、生徒たちは高度なICTを使いこなせるようになっていきます。

(この記事は『私立中高進学通信2022年8月号』に掲載しました。)

進学通信 2022年8月号
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