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私立中高進学通信

2022年8月号

実践報告 私学の授業

上野学園中学校

独自の『フィールドワーク』
比較・分析する探究力を育む

『ひとり一つの楽器』で3年間、習得する楽器についても探究
同校の『ひとり一つの楽器』の取り組みでは、中学3年間をかけて専門の先生について、一つの楽器をマスターします。練習を積み重ね、ほかの楽器と音を合わせて演奏する経験は、人間形成にもつながります。

同校の『ひとり一つの楽器』の取り組みでは、中学3年間をかけて専門の先生について、一つの楽器をマスターします。
練習を積み重ね、ほかの楽器と音を合わせて演奏する経験は、人間形成にもつながります。

探究学習で楽器について
深く調べ、掘り下げる

 上野学園は、日本で初めて高校に音楽科を設置したことで知られています。音楽教育の伝統は現在にも継承され、音楽コースだけでなく、普通科では中学3年間にわたり、ひとつの楽器を修得する『ひとり一つの楽器』という取り組みが行われています。

 フルートやクラリネット、サクソフォン、トランペットなど多彩な楽器を選び、週1回、音楽コースの専門教員から指導を受け、中学3年間にわたり練習を重ねます。発表会も毎年行われており、粘り強く練習する習慣や協力し合って演奏を仕上げていく経験は、同校に入学した生徒だからこそできる、素晴らしい体験になっています。

 同校は、自主性や考える力を育む独自の探究学習『フィールドワーク』にも力を入れています。中1の『フィールドワーク』ではこれまで、学校近隣にある上野動物園に出向いて、動物について調べる課題解決型学習を行ってきましたが、近年はコロナ禍で施設の休園が続いたため、これに代わって先述の『ひとり一つの楽器』を活用。「楽器」をテーマにした探究活動を行いました。自分が担当する楽器について、理科の授業で音の仕組みを調べたり、楽器の歴史、有名な演奏家、演奏の上達方法などについて調べたりと、楽器を軸に探究を行いました。

「夏休みには、手作りの楽器を制作する宿題を課しました。さまざまな素材でオリジナルの楽器を作り、その演奏風景を動画で撮影して提出してもらったのです。コップに水を入れて音階を作ったり、飾りをつけて演奏したり、個性あふれるユニークな取り組みになりました」(中2学年主任/大橋恵理子先生)

地域に密着した探究
中2ではSDGsも

 中1の3学期は、『フィールドワーク』の一環として近隣地域についての探究を行います。クラスを横断して学年全体で行うため、異なるクラスの生徒間で交流が深まる効果もあります。

「本校が位置する台東区は、伝統芸能が盛んですので、台東区にまつわる音や音楽を調べてもらいました。また、探究学習には、比較検討する視点が大事です。『寛永寺の鐘と浅草寺の鐘の役割の違い』や、『江戸三味線・津軽三味線・三線の音の違い』など、音にまつわる比較研究も行いました」(大橋先生)

 中2の『フィールドワーク』では、SDGsについても学び、社会課題の解決にも目を向けていきます。中学生からしっかりと探究の芽を育てていくことは、人間教育としても大事になると同校では考えています。

「私自身は、生徒が自分の意志で『これをやりたい』と思った時点で、『探究』だと感じています。そこから学びを進めて自分の考えを具体化し、アクションを起こしていくことが、高校の探究学習や、その後の大学・社会人での活躍につながっていくと思います」(大橋先生)

FOCUS
調査した内容を着実にまとめる
ある生徒は、ハープについてまとめましたある生徒は、ハープについてまとめました

『フィールドワーク』の授業では、調べる、話し合う、発表するという一連の経験を積むことで、探究型の学びの基礎をしっかりと身につけます。2021年度はコロナ禍のため、オンライン学習を行った時期もありました。

「その期間は、グループワークや図書館での調べものなどはできませんが、自宅でじっくりと取り組める環境を契機と捉え、生徒たちには着実に調べてまとめるという基本の部分をしっかりとやってもらいました」(大橋先生)

 協働する力を育むことも狙いのひとつです。クラスの垣根を越えてグループワークを行うこともあるため、生徒間の交流が深まり、休み時間に異なるクラスへと遊びに行く生徒の姿がよく見られるようになったそうです。

楽器について探究した成果を、各々が工夫して模造紙にまとめます。普段なじみのない楽器を探究することで、さまざまな発見があります。

楽器について探究した成果を、各々が工夫して模造紙にまとめます。
普段なじみのない楽器を探究することで、さまざまな発見があります。

FOCUS
地域に密着した文化・伝統についての探究活動
2種類の和太鼓を比較してまとめた生徒も。わかりやすいようにイラストを用いるなど工夫を凝らしています。2種類の和太鼓を比較してまとめた生徒も。わかりやすいようにイラストを用いるなど工夫を凝らしています。

 同校が所在する台東区は、伝統芸能や歴史あるイベントが豊富です。『フィールドワーク』ではこの地の特性を活かして、地域の文化・伝統の研究も行っています。

「音」に関係するものとして、花火大会について調べた生徒は、同校の近隣で行われる隅田川花火大会とほかの地域の花火大会を比べ、どんな特徴があるかを調べていました。また、2種類の和太鼓を比べて研究した生徒もいます。

「比較して物事を考えることは、探究の基礎的な力となります。何を比較し、どう捉えるかを考えさせながら、取り組みを促しています」(大橋先生)

FOCUS
手作り楽器を制作、動画で発表

 夏休みには、「手作り楽器」の制作が宿題となりました。制作のルールは「音階があって演奏できるもの」。ストローやコップを使ったオリジナリティあふれる楽器が登場しました。

 楽器を演奏する様子を撮影して動画にし、楽器を作る過程や苦労した部分などをレポートにまとめます。

「作ってはみたが音が出ないなど、失敗する生徒もいましたが、試行錯誤する過程そのものが学びとなります」(大橋先生)

ストローで制作したケーナストローで制作したケーナ
自作の笛自作の笛
水を注いだグラスで音階を作った生徒も水を注いだグラスで音階を作った生徒も

家にある素材を使ってアイデアを盛り込んだ様子がうかがえます。

ココも注目!
全員が取り組める探究学習をめざす
中2学年主任/大橋恵理子先生中2学年主任/大橋恵理子先生

「全員参加」が本校の探究活動の基本です。グループで発表するほか、生徒一人ひとりの探究力を確実に伸ばすため、個人での研究・発表の機会も多く設けています。探究学習が得意ではない生徒もいますので、そうした生徒でも「これならできる」と思えるように、課題となるテーマを20以上用意するなど、できるだけ選択肢を多くするようにしています。

 生徒が自主性を大事にしながら安心感をもってのびのびと取り組めるよう、教員は積極的に声をかけるなど、常に工夫を凝らしています。

進学通信 2022年8月号
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