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私立中高進学通信

2022年8月号

実践報告 私学の授業

芝浦工業大学柏中学校

『創造性の開発と個性の発揮』に基づく、
アカデミックな探究学習

建学の精神を土台に生徒の個性を伸ばす
すべて手描きで緻密に着色された曼荼羅図。はじめは曼荼羅の配色に興味を持った生徒が、自分で描き込んでいくうちに宗教学や哲学、密教、サンスクリッド語にまで興味を広げていきました。

すべて手描きで緻密に着色された曼荼羅図。はじめは曼荼羅の配色に興味を持った生徒が、
自分で描き込んでいくうちに宗教学や哲学、密教、サンスクリッド語にまで興味を広げていきました。

生徒の興味を掘り下げ
サポートする教員
研究テーマを決める前に数学、生物、物理、化学のミニ講義を行います。アルゴリズムを体感できるパズル「ハノイの塔」をテーマに、数学のミニ講義中です。研究テーマを決める前に数学、生物、物理、化学のミニ講義を行います。アルゴリズムを体感できるパズル「ハノイの塔」をテーマに、数学のミニ講義中です。

 さまざまな教科において探究授業を行っている同校。生徒が積極的かつ主体的な活動ができるよう、あらゆる取り組みを行っています。同校の探究活動について、2022年4月に着任した中根正義校長はこう話します。

「建学の精神は、『創造性の開発と個性の発揮』です。本校は芝浦工業大学の付属校として、1980年に高校を創立しました。当時は全国的に校内暴力が社会問題化しているような時代でした」

 そんななか、同校の自由闊達な校風に憧れて生徒が集まってきました。今も探究学習に力を入れているのは、この建学の精神の延長線上にあると中根校長は話します。

「今も全く理念が古びていないでしょう。創立の時点で創造性や個性と謳っているだけに、本校の探究学習には実績・指導ノウハウがあります。活動の際には『そこに興味があるなら、こうしたほうがいい』と教員が生徒へ具体的にアドバイスして、サポートしていきます。生徒たちはどんどん自分の興味を掘り下げていき、『じゃあこんな本を読んでみよう』『あの大学の先生に話を聞いてみよう』と、興味・関心が深まっていきます」(中根校長)

中学で土台を作り、高校で将来につなげていく

 同校では生徒が主体的に取り組めるよう、中1から準備を始めています。日頃の授業でもレポートを書き、実験の機会を多く設け、文化祭では中学生全員がテーマごとにプレゼンテーションを行います。中2からは探究学習の一環として、生徒全員が「全国中学高校Webコンテスト」に参加し、Web制作のノウハウや情報活用力、仲間と協働して一つのものを作り上げる経験を積みます。

 高校に進むと、探究活動はより本格的になります。生徒それぞれが自分で決めたテーマを研究し、ポスターセッションやプレゼンテーションとして発表します。

「理系のテーマでは、福島第一原発で聞き取り調査を行ったり、東京湾のマイクロプラスチック問題を取り上げたりと多種多様です。理系のイメージが強い本校ですが、文系でも興味深い活動をしている生徒がいます。たとえば、曼荼羅の配色に興味を持って1年間かけて自分で描き上げ、同時に宗教学と哲学に興味を持ち、その延長で密教に関心を持った生徒がいます。その生徒は今、大学でサンスクリット語を学ぶために頑張っています」

 そうしたなか、『第7回高校生国際シンポジウム』最優秀賞を受賞したFさん(高2)の研究は特筆すべきものだと話します。

「彼はドイツの作家、オイレンベルクが書いた『女の決闘』という小説を研究しました。日本では森鷗外がドイツに留学していた際にこの小説を翻訳し、その後、太宰治が鷗外版の『女の決闘』をパロディ小説にしました。中2で太宰治の『女の決闘』を読んだFさんは、その原点である森鷗外の作品を読み、さらにドイツ語を勉強して原書を読み、その上でユング心理学などの概念を用いて3作品を比較研究しました。大学生どころか大学院生の研究と言ってもいいレベルの内容です」

 Fさんはさらに研究を進め、国境を越えて太宰文学の魅力を伝えるべく、今夏実施予定のアジア地域の中高生が集う国際コンテスト『Global Link Singapore』で国際発表に臨む予定です。

「本校の建学の精神は、創立から40年以上たって、時代がやっと追いついたと言ってもいいくらいです。探究活動に実績がある本校では、正解がないと言われるこれからの時代に、自分には何ができるか、何をすべきなのかを考えて動くことができる能動的な人間を育みます。生徒たちが生涯にわたり輝いて社会で活躍できるようにしたいですね」(中根校長)

貴重な文献も展示
図書室で知的好奇心を刺激
自ら学ぶためのヒントを
展示は不定期に変わります。貴重な古書や文献が登場することもあります。展示は不定期に変わります。貴重な古書や文献が登場することもあります。

 美術科の教員が担当している図書室の展示は、探究学習のヒントになるような、生徒の知的好奇心を刺激する書物や展示品が置かれています。この日は近代日本の博物学者・生物学者として知られる 南方熊楠 みなかたくまぐす がテーマ。粘菌の大判カラー図鑑や、熊楠が描いた粘菌の細密画などがたくさん並べられていました。同校には大学院で修士や博士を取得している教員も多く、生徒から相談された際はたくさんの文献を読み、研究のサポートをしています。そんな教員たちも、図書室の展示に注目しています。

探究学習が進路選択のきっかけに
小学生時代から鉱物に興味があり、実験が好きだったというMさんがまとめたポスター。中学からは同校の科学部に入部し、担当の先生によるサポートのもと探究活動に勤しみました。小学生時代から鉱物に興味があり、実験が好きだったというMさんがまとめたポスター。中学からは同校の科学部に入部し、担当の先生によるサポートのもと探究活動に勤しみました。

 校舎内には生徒たちによる探究学習の成果がたくさん貼り出されています。そのなかの一つ、2019年度の日本学生科学賞(ISEF)で科学未来館賞を受賞したMさんは、「大粒アラゴナイトの生成条件」をテーマに研究。貝殻の主成分であるアラゴナイトはプラスチック補強用の充填材などに使われる工業用原料ですが、これまでは顕微鏡でないと見えない小さな結晶しか人工的に作れませんでした。しかしMさんは肉眼でも見える1〜4ミリの大粒結晶を作ることに成功。Mさんは卒業後、筑波大学に進学し、研究者への道を歩んでいます。

ココも注目!
生徒たちが毎日校長室に
「彼らが笑顔になる瞬間は何ものにも代え難いです」
中根正義校長 1987年毎日新聞社入社。仙台、静岡支局を経て『サンデー毎日』編集次長、大学センター長などを歴任。2022年3月に法政大学大学院政策創造研究科修士課程修了。中根正義校長
1987年毎日新聞社入社。仙台、静岡支局を経て『サンデー毎日』編集次長、大学センター長などを歴任。2022年3月に法政大学大学院政策創造研究科修士課程修了。

 私は2022年3月まで毎日新聞社に在籍し、そのうち約20年間は主に教育関係の仕事をしていました。教育現場での指導経験はありませんが、もともと教員志望だったこともあり、今、毎朝校門に立って生徒たちの笑顔を見ることができて、本当にうれしく感じます。

 校長室のドアは基本的に開け放しにしていて、私と話したい生徒は自由に入って来られるようにしています。先日もある生徒に受験のアドバイスをしたところ、その目が一瞬でキラキラと輝いて、これは何ものにも代え難い喜びだと感じました。

 保護者の方にお伝えしたいのは、今はご自分自身が受験された偏差値至上主義の頃とは違い、生徒本人が大学を選ぶ時代だということです。子どもが本当にやりたいことを見つけ、それを学ぶことができる大学を本人が選ぶ、そんな観点から、学校選びを考えていただければと思います。

(この記事は『私立中高進学通信2022年8月号』に掲載しました。)

進学通信 2022年8月号
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