私立中高進学通信
2025年9月号
私学の英語最前線
城西大学附属城西中学校
日本と海外の卒業資格が得られる
デュアルディプロマプログラムを実施

同校では初のDDP修了生であるR・Sさんを中央に、
英語科の高橋先生(左)と神杉校長(右)。
国内にいながらアメリカの高校の学びに参加し、卒業資格も得られるU.S.デュアルディプロマプログラムを導入している同校。初めての修了生が進学先でも活躍しています。
英語を使って
アカデミックな
“探究”に取り組む
昭和初期からネイティブスピーカーが英語の授業を担当するなど、伝統的に語学力の強化とグローバル教育に力を入れてきた城西大学附属城西。2022年度よりU.S.デュアルディプロマプログラム(以下、DDP)を導入しました。その1期生が今春卒業し、後に続く在校生たちも、それぞれが意欲的に取り組んでいます。DDPの特徴やねらい、成果、そして同校の英語教育がめざすものについて、神杉旨宣校長と国際交流課課長・英語科の高橋嵩先生に伺いました。
「本校では、全ての生徒が国際交流を通して異文化体験やダイバーシティの理解を促進できるように、欧米やアジアの学校との間で、留学生の受け入れと派遣を積極的に行っています。高校では全クラスに留学生が1人以上在籍しており、自然と異文化に触れられます。こうした土壌から、DDPは本校の校風とも合致し、国内にいながら国際交流を実践する一助として導入を決めました」(神杉先生)
DDPとは、国内の学校に通いながら、オンライン授業などによってアメリカの高校の授業を受けて、日本とアメリカ双方の高校を同時に卒業、2つの卒業証書が取得できる制度です。同校のDDPの卒業生は、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・アラブ首長国連邦の5カ国31大学への推薦入学(100%学部入学)が認められます。また、給付型奨学金制度(授業料最大60%免除)の参加資格が取得できるほか、国内大学にも帰国生入試で出願できるなど、進路の選択肢が増えるメリットがあります。
DDPでの学び方の例として、平日にオンラインセルフスタディー(個人で学習を進め、課題や小テストを提出)を延べ2時間、オンライン・ライブ授業(講師によるライブ授業を受講する)を1時間受け、土日はオンラインセルフスタディーとオンライン・ライブ授業を各2時間受講するというプログラム(学習時間は個人差あり)を2年間続けます。履修科目は多岐にわたり、海洋学、美術鑑賞教育、再生可能エネルギー、ビジネス学、メディアとコミュニケーション、英文学と英語表現などがあり、当然ですが全て英語でのコミュニケーションとなります。
「大学の卒業論文レベルのレポートを英語で書いて提出するなど、内容はハイレベルです。正解のないテーマをアカデミックに探究する学びが続きます。英語力の向上はもちろん、課題に自ら取り組み、乗り越えることで大きな達成感を味わい、自己肯定感が育まれます」(神杉先生)
同校で初めてDDPに参加したR・Sさんは、同校での授業と部活動に励みつつ、自宅でDDPの課題に取り組んでアメリカの高校を修了。さらに英語を活用した研究を進めるべく、法政大学グローバル教養学部に進学しています。
「現在もDDP参加者が高校の各学年におり、準備コースにチャレンジしている中学生もいます。本校ではすでに国際交流が風土として確立されており、今後はDDPが、本校のグローバル教育の核になっていくものと期待しています」(神杉先生)
生徒の英語学習への意欲を
高められる環境の中で
同校では、さまざまな面から語学力を伸ばすサポートを行っています。
「使える英語力を身につけるため、生徒全員に英検の取得を目標にしてもらい、教員も生徒からの質問に長時間対応するなど柔軟な体制を整えています。休み時間に質問に訪れる生徒が多く、教員はうれしい悲鳴をあげています。それ以外に、年間5回のオンライン英会話を必須とし、任意の10回を加え最大15回まで受講できるようにしています」(高橋先生)
受け入れた留学生が身近にいるという環境は、生徒の英語学習に取り組むモチベーションを高めています。
「留学生は中学のクラスとも交流するので、その子と会話をしたいという気持ちが、英語学習を頑張る意欲につながります。勉強して会話が可能になれば自信につながり、さらに英語力を高めようと奮起します」(高橋先生)
同校では、語学に特化した、いわゆる国際コースなどは設置していません。語学教育が充実していることで、一般より高い英語力をもつ受験生が入学してくる傾向はありますが、一律にゼロから英語力をつける授業が行われ、全員が平等の機会を得られます。
「若者の意識に関する調査結果の国際比較を見ると、日本の若者には自己肯定感の低さが顕著です。これは授業で教えて改善するものではありません。身近に留学生がいて刺激を受けたり、海外留学で現地の人と接したりするなかで育まれていくものだと思います。DDPや留学などグローバル教育が充実した本校なら、自分の力に期待できる若者へと育っていけるでしょう」(神杉先生)
DDPで時間管理・探究の力が伸び、
進路の幅が広がった

グローバル教養学部1年
R・Sさん
私は、高1の5月から2年間DDPの学びに取り組みました。中3の終わりに英検2級を取得し、それがDDPへの参加条件だったことや、大学受験で総合型選抜を考えていたことなどが理由です。
中学の頃から、家族とも「これからの時代は英語力が必要だね」と話していましたし、英語を使った仕事に就きたいという気持ちもあったので、できるだけ英語力を伸ばしたいと思っていました。中学では毎週単語テストがあり、そのおかげで単語力を伸ばせたと思います。英検に挑戦する際は、先生方にポイントを教えてもらったり、ネイティブの先生に指導してもらったりしました。
DDPを始めた当初は、それまで英語を使って学ぶ経験がなかったので、慣れなくて大変でしたが、自分で時間管理をして効率よく勉強する工夫ができるようになりました。それでも、授業のレベルも上がっていったので学習のハードさは続きました。
大学には、リベラルアーツを英語で学びたいと思い入学しました。現在は、国際関係学や社会学、文学などを幅広く勉強していて、なかでも社会学をとても面白く感じています。レポートも英語でたくさん書いています。大学の授業では「答えのない問い」を探究しディスカッションする機会が多く、常に批判的思考力を求められますが、その方針はDDPとよく似ています。アイデアを積極的に発言したり、友達の発言から新しい視点を得て多角的に思考したりする力は、城西での探究的な学びやDDPプログラムを通して身につけることができました。それが今とても活きています。大変な面はありましたが、さまざまな分野を学び、探究の力もついたことで、進路の幅が広がったと思います。
担当の先生より
探究との融合をめざす

神杉旨宣先生
DDPの実績が出てきたので、今後はこの制度に期待して本校へ入学する生徒も増えてくると思います。これを機に、海外での探究活動ができないかを模索中です。現在も高2で探究型修学旅行を実施していますが、より長期にわたる海外探究活動を、海外の大学などと連携して行うプログラムとして充実させていければと考えています。
英検取得率の伸びが顕著に

高橋嵩先生
従来から英検取得に力を入れてきた成果が顕著に現れています。2022年度には全国の私学で英検取得率が最も伸びた学校になり、翌年度には英検取得率全国私学第1位になりました。英検の各級に担当教員を割り振るなど現在も手厚い指導を継続しており、英検取得率1位を維持し、生徒全員の英検取得を新たな目標としています。
(この記事は『私立中高進学通信2025年9月号』に掲載しました。)
城西大学附属城西中学校
〒171-0044 東京都豊島区千早1-10-26
TEL:03-3973-6331
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