私立中高進学通信
2022年8月号
注目! News and Topics
春日部共栄中学校
学びの意欲を育むプログラムを盛り込んだ
2つの新しいコースを導入

『プログレッシブ政経』、『IT医学サイエンス』の両コースとも金融の講座は共通して学びます。
金融の知識はすべての人材に必要不可欠という考えからです。
新コース『プログレッシブ政経』
『IT医学サイエンス』が始動
2022年度から教育制度の大変革を行った同校。変革は「3学期制から2学期制への移行」、「45分7限授業」、「完全週5日制」など多数ありますが、なかでも注目したいのが中1に導入された2つの新コース、『プログレッシブ政経』と『IT医学サイエンス』。それぞれの方向性に応じた特別講座のプログラムが組まれ、通常の授業にはない学びや本物との出会いと体験、チャレンジなどの機会が得られます。
「コース別の特別講座は毎週火曜、水曜、木曜の7限目に行われます。プログラムの主な内容は『プログレッシブ政経』では、金融の講座や銀行訪問、国際政治の講習とディベート、ビブリオバトル、模擬国連、大使館訪問など。『IT医学サイエンス』では、プログラミング教育や特徴ある理科の実験・研究、メディカル論文講習などを用意しています」と中1担当の淡川直樹先生は説明します。
「『プログレッシブ政経』では金融の講座の一環として、埼玉りそな銀行さんの協力を得て講習会や銀行見学を行います。特別に金庫の内部まで見学させていただく企画もあります。行員の方々の仕事を見て、金融機関の役割を知ってもらおうというわけです。また、国際政治の講座では東京大学の大学院生を講師に招き、国際問題についてディベートしました」
『IT医学サイエンス』では、iU(情報経営イノベーション専門職大学)(※)の学生が講師となり、プログラミングを実践的に学びます。
「プログラミングによって動きや発光の色を制御できるSpheroというボール型ロボットを教材にしています。まずは遊び感覚でプログラミングの楽しさを知ってもらい、次第に内容を高度化して、Pythonという本格的なプログラミング言語を使えるところまで進めたいと考えています」
※iU(情報経営イノベーション専門職大学)…2020年4月に開校した専門職大学。墨田区押上にキャンパスを構え、産業界や地域社会と連携を強く持ち、「ICT」「ビジネス」「グローバルコミュニケーション」を柱に、世の中にイノベーションを起こす人材を育成する。
特別講座を継続することで
生徒の能力をブラッシュアップ

同校では以前から、このような外部講師を招いた講座や体験学習を行っており好評を得ていました。ただ、そのほとんどが単発であり、たとえ生徒がその分野に興味を持ったとしても継続して学べなかったことが課題でした。
「コース制を敷いたのはすべての活動に継続性を持たせるためです。たとえば国際政治のディベート。中1では、問題を自分の頭で考え、それを言葉にして相手を説得する語彙力がまだ発達途中です。しかし、繰り返して行うことで、さまざまな能力がブラッシュアップされていき、自らの主張を相手に伝えることができる人材に成長していくことを期待しています」
淡川先生によれば、継続的に講座を行うことで、自ら積極的に学ぶ生徒が増えたとのこと。講座の後、30分以上講師を引き留め、質問攻めにする生徒も少なくないそうです。
取材に伺った日は、両コース共通の金融の講座が行われていました。『金融クエスト』というICT教材を使い体験的に金融の仕組みを学ぶ内容です。貿易商になる夢を持つ人物が船に荷物を積んで出かけるストーリーで、生徒たちは貸与されたノートパソコン“Chromebook”の画面を見ながら事業資金をどう調達し運用するか、リスクとリターンなども考え成功と失敗を繰り返しながら金融やビジネスの仕組みを学んでいきます。生徒は先生と活発に会話を交わしながらChromebookでの仮想ビジネスに熱心に取り組んでいました。
教頭の星善博先生はこう話します。
「生徒たちが社会人になってビジネスを行う際、金融の知識は必要不可欠。中学生年代からそのベースづくりはしておくべきだと考えています。本校では大学進学に力を入れていますが、大学合格で燃え尽きるのではなく、“大学卒業後に活躍する人”を育てることをめざしています。金融教育はもとより導入した2つのコース制で行う実践的講座は、生徒をそうした人材に育てるための施策なのです」





カブトムシ研究の第一人者の指導で、本格的な実験・研究を体験

『IT医学サイエンス』コースの特別講座には、さまざまな理科の実験があります。なかでも生徒が興味津々で取り組んでいるのがカブトムシの研究です。
指導を担当する市石航先生は、カブトムシの顎の研究の第一人者で、NHKの科学番組『ダーウィンが来た!』に出演したこともある名物先生。この講座では生徒がカブトムシを育成し、交配などの実験も行います。
「育成するカブトムシには種の異なる個体があって、たとえば赤みを帯びた個体と黒い個体と交配させるとどんな変化があるのか、といった実験も行います。日本のトップレベルの研究者と長期間観察し、データを取り、試行錯誤を繰り返して、どのような結果が導き出せるかを体験することは研究の面白さを知ることにつながりますし、科学全般に対する興味も広がっていくはずです」(淡川先生)
(この記事は『私立中高進学通信2022年8月号』に掲載しました。)
春日部共栄中学校
〒344-0037 埼玉県春日部市上大増新田213
TEL:048-737-7611
進学通信掲載情報

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