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私立中高進学通信

2022年8月号

実践報告 私学の授業

瀧野川女子学園中学校

中高全学年必修の「創造性教育」
創造性と起業家精神を育成

女性が自らの人生を創造する
「唯一無二の商品から自分のお気に入りを見つけるワクワク感を感じてもらいたい」。そんな気持ちを込めた「萌笑」の店内。

「唯一無二の商品から自分のお気に入りを見つけるワクワク感を感じてもらいたい」。そんな気持ちを込めた「萌笑」の店内。

集大成となる高2では
模擬会社を設立し、運営
傘ストッパーとマルチストラップを販売した「萌笑」は、「あかつき祭」で販売企画部門賞を受賞。傘ストッパーとマルチストラップを販売した「萌笑」は、「あかつき祭」で販売企画部門賞を受賞。

 1926年の創立以来、“実社会で使える学び”にこだわり続けてきた同校。現在、先端ICTの活用や創造性と起業家精神を育むプログラムで、女性が実社会で幸せになるための心と力の育成に尽力しています。

 2015年から中高の全学年で必修となる独自の「創造性教育」がスタート。学年ごとのプロジェクトを通して自分の仕事を創り、世界に貢献する力を養っています。

「昨年より大学入試の主流が企業の採用試験に近い面接や、口頭試問を中心とした選抜になったことにも表れているように、これからの社会で求められているのは自分のやりたいことを見つけ、世の中にまだないものを創り、仕事につなげられる創造性と起業家精神です。感受性豊かで、大人になるため考え方を形作っている中高生の時期こそ、この力を高める好機だと考えています」(常務理事・副校長/山口龍介先生)

 6年間の「創造性教育」の集大成といえるのが、高2で行う「事業化実習」です。ユーザーの「欲しい」を創り出すデザイン思考やプレゼンテーション・コミュニケーション能力を育むプログラムなど、それまで「創造性教育」で学んできたことすべてを活かして、生徒は仲間とともに出資し、模擬会社を設立。オリジナル商品を制作し、9月に行われる「あかつき祭」で販売します。経営、マーケティング、制作、広報、財務など、各々役割分担を決め、力を合わせて成し遂げることで「仕事とは何か」「役割をもって世の中に向き合う社会人とは何か」「資本主義とは何か」を体験のなかから学び取ります。

社会を知り、自分を知る
将来につながる貴重な経験

 昨年の「あかつき祭」で、こだわりの傘ストッパーとマルチストラップを完売させ、「販売部門賞」を受賞した「萌笑(ほほえみ)」社長のTさんは、このように話します。

「社会に出たときに必要なことが学べ、自分はどういうことが得意なのかも見えてきたので、将来につながる貴重な経験ができたと実感しています」

 中高一貫コース5名と特進選抜クラス5名の合同メンバー10名からなる「萌笑」。その企業コンセプトは、「日常に笑顔と便利さを」。4月の会社設立後、まずはみんなで意見を出し合ってこのコンセプトを決めました。それをもとに、販売商品を傘ストッパーとマルチストラップに決めたのが6月。さらにこの後、実際の商品作りが苦難の連続だったとTさんは振り返ります。

「市販されている傘ストッパーは薄いラバー状のものだったのですが、私たちはハーバリウム(植物標本)のように、透明な液体のなかにお花を入れた厚みのあるものを作りたくて、日常生活にあるいろいろなものに目を向けて素材を探し、とにかく使えそうなものを試してみました。作りたいデザインを実際に形にするにはどうしたらいいのか、試行錯誤の連続でした」

 商品化するにあたっては、かけられる経費や価格設定も難しい課題でした。

「製造担当者がこういう材料を使いたいと言うと、会計から『高すぎる』と却下されることはよくありました(笑)。試作品の段階で先生や先輩方に、いくらに見えるか、いくらなら買うかなどと相談して、みんなで検討して価格を決めました」

「あかつき祭」当日は、どのくらい売れるかわからなくてとても不安だったそうですが、広報担当者が制作したYouTubeのCMも効果を発揮し、時には行列ができるほどの人気に。製造担当のUさんのアイデアで、急遽、時間ごとに区切りを設けて個数限定販売に切り替えたほどでした。

「商品開発から販売までの厳しさ、大変さを経験することができ、街で売られている商品の裏にはいろいろな苦労があるということがわかりました。また、人に喜ばれるものや役立つものは何かについて考える力がついたことは、とても良かったと思います」(Tさん)

こだわり抜いた3種類の商品を、3日間で571個を完売!

「萌笑」の出資金は1人6000円。メイン商品となる傘ストッパー機能のついたチャームのレイティは、ワンコインで買えるよう500円に設定。棒状のマイティ400円とともに、原価が高めになってしまったため、利益率が高くなるものを一つ追加しようというアイデアから、クラフトテープを材料とした目印ストラップを作成しました。3日間でレイティ135個、マイティ270個、目印ストラップ166個を完売し、総売上22万5947円。現金成長率254.9%でした。

「花を使いたい」というアイデアと企業コンセプトに掲げた「笑」を合わせて、社名は社員全員で決めました。「花を使いたい」というアイデアと企業コンセプトに掲げた「笑」を合わせて、社名は社員全員で決めました。
右からマイティ400円、レイティ500円、目印ストラップ300円。右からマイティ400円、レイティ500円、目印ストラップ300円。
マイティは、非接触棒としても使用できるマルチストラップとして考案されました。マイティは、非接触棒としても使用できるマルチストラップとして考案されました。
傘ストッパーになるストラップのレイティ。厚みと透明感あるデザインを実現するため、素材選びに苦心しました。傘ストッパーになるストラップのレイティ。厚みと透明感あるデザインを実現するため、素材選びに苦心しました。
自分の持ち物の目印になるようデザインはひとつずつ変えて、オリジナルのオンリーワンであることにこだわりました。自分の持ち物の目印になるようデザインはひとつずつ変えて、オリジナルのオンリーワンであることにこだわりました。
将来の夢に近づく一歩となりました
写真左から副社長・Kさん、社長・Tさん、製造担当・Uさん。写真左から副社長・Kさん、社長・Tさん、製造担当・Uさん。

「将来、薬剤師を目指しているのですが、社会に出たとき、ディスカッションはとても必要なことだと認識しています。この授業を通して、みんなと一緒に、我慢せず、怖がらず、自分の考えを発言し、検討し合うという体験ができたので、夢に一歩近づけたかなと思っています」(副社長・Kさん)

「今回、自分たちが作りたいものというだけでなく、たくさんの人が便利だなと思うものという視点で商品を考えました。将来は医療関係に進みたいのですが、この経験を通して、こうしてあげたら患者さんの助けになるというように、相手の立場に立って考えられる力がついたことは、とても役立つ経験になったと思います」(社長・Tさん)

「小学校の教諭に憧れていたのですが、自分に自信がなくて、これまで誰かを教え育てるのは自分には無理なのではないかと思っていました。でも、今回の経験を通して、誰かと話し合い、学びを深めることがすごく楽しいと実感しました。そして、自分でこんなにできたという結果も自信になって、小学校教諭を目指して頑張ろうと一歩を踏み出せるようになりました」(製造担当・Uさん)

ココも注目!
事業化実習は
将来を切り拓く大きな力に
生徒指導副主任・学年主任/芝辻憲子先生生徒指導副主任・学年主任/芝辻憲子先生

「創造性教育」に正解はありません。その授業において、思い描いたアイデアを実現するために考え続けた生徒たちの頭の柔らかさ、クリエイティビティには本当に驚かされています。中高生のこの時期、やらされるのではなく、自ら考えて取り組む経験は、その後の人生の大きな財産となります。生徒たちはこの授業を通じて視野が広がるだけでなく、自分の考えで、オリジナリティを磨き、社会へ貢献できる力を培っていると実感しています。

進学通信 2022年8月号
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