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私立中高進学通信

2022年8月号

みんなのSDGs

千葉明徳中学校

学びを深め、心を耕す
『土と生命の学習』

同校では2011年の開校以来「総合的な学習の時間」を用いて、中1と中2に向けて『土と生命(いのち)の学習』を実践。農作業を通し、社会問題を“自分ごと化”できるようにしています。
「米料理&夏野菜料理」をテーマにした中2のグループ。この畑で栽培したトマトや唐辛子、ズッキーニ、ゴーヤなどを使って、夏野菜カレーをつくります。

「米料理&夏野菜料理」をテーマにした中2のグループ。
この畑で栽培したトマトや唐辛子、ズッキーニ、ゴーヤなどを使って、夏野菜カレーをつくります。

SDGsを意識しながら
中1・中2で合同探究活動

 校舎の前にある田んぼや畑で、お米や野菜をつくりながら学びを深める『土と生命(いのち)の学習』。中1と中2が学年の枠を越えて探究活動に打ち込みます。

 2019年からはこの授業に新たなガイドラインが設けられました。SDGsを指標として『自分』『社会』『多様性』について考えることになったのです。この3つのジャンルのもとに探究テーマがそれぞれ2つずつ、合計6つカテゴライズされています。

『自分』は「苗作り」「田んぼ改良」、『社会』は「明徳米ブランド化・小麦栽培計画」「社会貢献&トウモロコシ栽培計画」、『多様性』は「米料理&夏野菜料理」「誰どこ農業&害虫・害鳥対策」。これらの探究テーマに、SDGsがひも付けられています。生徒はテーマごとに6グループに分かれ、SDGsを意識しつつ協働学習に励むのです。「米料理&夏野菜料理」を担当する奥村和男先生(理科)は次のように語ります。

「6つのグループは、さらに探究活動の内容ごとに分かれて学びます。内容は『トウモロコシの皮を再利用する』『10年後に求められる小麦栽培の方法を調べる』などです。生徒の声から生まれたものがほとんどで、中1生はこの中から興味のある活動内容を選びます。そして中2生とグループを組み、探究活動をスタート。中1生が中2になると新入生を指導しながら、前年の反省を活かして探究活動を発展させていきます。研究した内容は各グループがそれぞれ2枚のポスターにまとめ、プレゼンテーションに向けて準備をしていきます」

教室では「米料理&夏野菜料理」のグループがビニールハウスをつくっていました。ビニールハウスで育てた野菜と、それ以外の野菜とで味や成長の違いを比べ、太陽光の恩恵を実感するためです。教室では「米料理&夏野菜料理」のグループがビニールハウスをつくっていました。ビニールハウスで育てた野菜と、それ以外の野菜とで味や成長の違いを比べ、太陽光の恩恵を実感するためです。
「社会貢献&とうもろこし栽培」の中2グループ。ここでの活動内容は、稲わらの再利用です。お米の副産物である稲わらから、コースターや鍋敷きをつくっています。「社会貢献&とうもろこし栽培」の中2グループ。ここでの活動内容は、稲わらの再利用です。お米の副産物である稲わらから、コースターや鍋敷きをつくっています。
ポスターで探究成果を
プレゼンテーション

 ポスター完成後は、全員が一人ずつプレゼンテーション。その中から選ばれた生徒が、秋の発表会で全校生徒を前にして発表を行います。

 こうした探究活動の集大成が、課題研究論文の執筆です。中3生が興味・関心のあることを探究し、論文に仕上げます。昨年度の論文集を開くと「BGMは集中力向上をもたらすか」「千葉県の犬猫殺処分をなくすにはどうすべきか」「子ども食堂は子どもの将来にどのような影響を及ぼすか」などの秀作が並んでいます。

 千葉明徳高校の卒業生でもある渡辺哲史先生(英語科)は「本校は授業でも発表する場面が多く、生徒はプレゼンに慣れています」と顔をほころばせます。

 今春、千葉大学工学部に総合型選抜で合格した女子生徒も「プレゼンテーションの機会の多さが、入試の面接で活かされた」と振り返っています。

グループごとに探究活動の成果をまとめたポスター。中2は昨年度と今年度の活動で2枚をつくります。仮説を立て、実験によって客観的な根拠を見いだし、文章化するこの手法が、中3の論文執筆に活かされます。

グループごとに探究活動の成果をまとめたポスター。
中2は昨年度と今年度の活動で2枚をつくります。仮説を立て、実験によって客観的な根拠を見いだし、
文章化するこの手法が、中3の論文執筆に活かされます。

2.飢餓をゼロに15.陸の豊かさも守ろう
誰でも手軽に稲を育てられるように
中2 Hさん中2 Hさん

探究テーマ「苗作り」

 今、日本は農業人口が減少しています。そこで僕たちのグループでは、中1からバケツ稲の開発をめざしてきました。ベランダなどで手軽に稲を育てられるバケツです。しかし、これでは多く収穫できず、稲の成長も遅く、味も落ちることがわかりました。そのため、今年はバケツをプランターに変え、こうした問題を解決しようとしています。

3.すべての人に健康と福祉を2.飢餓をゼロに
野菜入りスイーツを高齢者や赤ちゃんへ
中2 Wさん中2 Wさん

探究テーマ「夏野菜料理」

 高齢者や赤ちゃんは栄養不足になりがちです。歯が丈夫ではなく、タンパク質が摂りにくいためです。そこで私たちは、野菜を使ったスイーツをつくることにしました。ほうれん草などの野菜を粉末にしてプリンやロールケーキに入れてみました。これなら歯が丈夫でなくても野菜が苦手でも食べられます。まずは文化祭で試食会を行う予定です。

3.すべての人に健康と福祉を17.パートナーシップで目標を達成しよう
イスラム教徒の方も食べられる料理を
中2 Iさん中2 Iさん

探究テーマ「夏野菜料理」

 日本で暮らすイスラム教徒の方々には、宗教上の理由から食べてはいけない肉があります。また「ラマダン」と呼ばれる断食の後はおなかが空いているはずです。そこで、イスラム教徒の方々でも食べられる、日本ならではの料理をつくろうとしています。今、考えている料理は、お好み焼きと牛丼です。肉の代わりに大豆ミートを使います。

12.つくる責任 つかう責任2.飢餓をゼロに
余ったお米でおいしい料理を
中2 Sさん中2 Sさん

探究テーマ「社会貢献」

 日本では今、国民一人あたりのお米の消費量が減っています。パンを食べる人が増えていることが一因です。そこで僕たちは、余ったお米でおいしい料理をつくれないかと考えました。思いついたのが、カリッと仕上げた米粉チップスと、青森の郷土料理「すしこ」です。「すしこ」はお米の漬物で、米粉チップスと同様に保存が効きます。

“小さな研究者”になってほしい
理科/奥村和男先生理科/奥村和男先生

 中学生には、自分の周辺にあるものを不思議だと思い、答えを導き出すために行動できる“小さな研究者”になってほしいと思っています。生徒が“大きな研究者”に成長できるよう、本校の教員は一人ひとりの興味や関心に寄り添い、その探究活動を成し遂げるための手法をアドバイスしています。『土と生命の学習』では心も耕されます。学びを深めていくなかで、自分が将来、何をしたいのかが明確になっていきます。その学びが、やがて豊かに実るのです。

進学通信 2022年8月号
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