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私立中高進学通信

2022年11月号

私たち、僕たちが大好きな先生

女子聖学院中学校

「もの教材」を通じ
歴史への共感力を高める授業を実践

高橋 伸周(たかはし のぶちか)早稲田大学第一文学部卒業。大学在学時にアルバイトで家庭教師を経験。「どうしたら生徒が学習に興味を持ってくれるか」を考えることにやりがいを覚え、教師を目指し、女子聖学院中学校高等学校に社会科教諭として着任。現在は高2学年主任。

社会科(歴史担当)
高橋 伸周(たかはし のぶちか)先生
早稲田大学第一文学部卒業。大学在学時にアルバイトで家庭教師を経験。
「どうしたら生徒が学習に興味を持ってくれるか」を考えることにやりがいを覚え、教師を目指し、
女子聖学院中学校高等学校に社会科教諭として着任。現在は高2学年主任。

「生徒が歴史の一場面に居合わせているように感じられること」を大切にする高橋伸周先生。数多くの日本史の「もの教材」を活用して、生徒の時代や出来事へのイメージを膨らませる授業を実践しています。

生徒の歴史への興味を深める
見て触れる「もの教材」とは
製糸業についての授業で、蚕の代わりに蚕形のチョコレートを回覧しました。製糸業についての授業で、蚕の代わりに蚕形のチョコレートを回覧しました。

――「もの教材」を授業にどのように取り入れていますか?

 教員になったのは、生徒に歴史のおもしろさを伝えたいと思ったことがきっかけです。歴史は人間が必死になって時間をかけてつくってきたものです。歴史を学ぶことで、未来を予想したり、よりよい未来をつくるために必要なことを考えたりできます。

 生徒が歴史に興味をもち、その時代・場面に居合わせているような気持ちになれる授業がしたいと思い、教科書や資料集だけではなく、実際に見て触れる「もの教材」を活用しています。

「もの教材」を手にした生徒たちが楽しそうで、授業も活気づくので、あれもこれも見せたいと30年近く前から集め始めました。実物・レプリカなど、正確には把握できていませんが、おそらく1000点ほどになるのではないかと思います。

「もの教材」があると、授業の進め方のバリエーションが増えます。例えば、ただナウマンゾウを資料集で見て説明しても、それほど生徒は関心を持たないかもしれませんが、化石を回覧して「これはなんだと思う?」というところから授業をスタートすれば、生徒は形や重さから想像を広げて、興味を持ってくれます。

――ほかにはどんな授業の工夫をしていますか?

 学んだ知識を定着させるため、授業の最初に「口答テスト」を行います。前回の授業の内容を中心に、直近の2週間に学んだ重要事項を口頭でテストします。生徒の名前を書いた指名カードを使います。誰が当たるかわからないので、みんな緊張していますよ。よい復習になるので、生徒は新しく学ぶ内容の理解度も上がることに気づいて、自主的に学習に取り組んでいます。

平和な世界をつくる人になってほしいという願いを込めて

――「歴史総合」の授業では、どんなことを目指していますか?

 本校の社会科の教科目標は「平和をつくりだす将来の主権者を育てる」ことです。生徒一人ひとりが平和な社会をつくる人になってほしいと願って、日々の授業を行っています。

 日本史と世界史を合わせた高1の「歴史総合」では、1年間、20世紀の戦争に焦点を当てて授業を展開します。

 生徒はまず最初に、国家社会主義ドイツ労働者党の支配下にあったドイツのことを学びます。『アンネの日記』や『シンドラーのリスト』などの映画も重要場面を見せ、生徒に、その時代の人々がどのような状況下にあったかを伝えます。強制収容所で行われていたことを知ると、生徒の多くは悲しみ、怒りを覚えるようです。そして、そのドイツの味方だったのが他ならない日本だったということに驚くのです。

 そして次に、日本で軍国主義が高まり、戦争へと進む過程を学びます。山本五十六についての映画も見せます。中には、日本に恐ろしい独裁者がいて、人々を煽って戦争へ向かわせたという感覚でいる生徒もいますが、戦争を止めようとしていた軍人もいて、むしろ自分たちのような国民の中に戦争を望む声が多かったのではないかということに気づきます。

「もの教材」のひとつに『ファッシズム批判』があります。平和について書くと、その部分を伏せ字にしなくては出版できなかった時代が日本にあったということがよくわかります。生徒は、昭和というそんなに時が経っていない時代に、出版や言論の自由がなかったことに衝撃を受けるようです。

 歴史を学べば、戦争が起きた原因や大きな流れがわかります。戦争は遠くで起こるものではなく、自分たちも気をつけなければ戦争に向かってしまうという怖さを高1で実感して、戦争を防ぐ人に成長してほしいと思います。

“もの教材”コレクション

授業でよく使う「もの教材」は、数多く収集したものの中から300〜400点だそうです。コレクションの一部を紹介していただきました。

ナウマンゾウの歯の化石 ナウマンゾウは氷河時代の日本に生息していました。高橋先生は、瀬戸内海で漁の網にかかった化石を入手しました。ナウマンゾウの歯の化石
ナウマンゾウは氷河時代の日本に生息していました。高橋先生は、瀬戸内海で漁の網にかかった化石を入手しました。
須恵器 5世紀以降、朝鮮半島から日本にやってきた渡来人がもたらした須恵器は、縄文土器や弥生土器よりかたいのが特徴です。須恵器
5世紀以降、朝鮮半島から日本にやってきた渡来人がもたらした須恵器は、縄文土器や弥生土器よりかたいのが特徴です。

オリザニンの看板 脚気はビタミンB1が不足して起こる、手足のしびれや心不全などをきたす病気で、江戸時代から明治時代にかけて蔓延していました。特効薬の「オリザニン」は、明治時代の終わりころに発売されました。オリザニンの看板
脚気はビタミンB1が不足して起こる、手足のしびれや心不全などをきたす病気で、江戸時代から明治時代にかけて蔓延していました。特効薬の「オリザニン」は、明治時代の終わりころに発売されました。
『日本改造法案大網』写真上は1923年に発売禁止処分を受けた『日本改造法案大網』で、写真下は1926年の伏せ字版です。『日本改造法案大網』
写真上は1923年に発売禁止処分を受けた『日本改造法案大網』で、写真下は1926年の伏せ字版です。
生徒の声

 高橋先生の授業を受けていると、まるでその時代にタイムスリップしたかのように引き込まれます。細かい所まで丁寧に教えてくださるので、更に歴史が好きになりました。(高2 H・Oさん)

 私はもともと日本史にあまり詳しくなかったのですが、高橋先生は口答テストなどを用いて細かく教えてくださるので、日本史の授業を受けるのが毎回楽しくなりました!(高2 M・Sさん)

 高橋先生は、歴史上の人物になりきって、仮装をされたりして時代背景や流れを教えてくださるので、『もっと詳しく知りたい』と楽しみながら授業に参加できます。今では日本史が大好きな科目です。(高2 M・Hさん)

 私は高橋先生が話してくださる、人物についてのエピソードがクスッと笑えて大好きです。
 また解説付きで歴史ドラマを紹介してくださるので、物事の流れを知ることができ、楽に覚えられます。(高2 N.Kさん)

 私は高橋先生の授業で『歴史を学ぶことは未来を知ることだ』と聞いてから、暗記するだけではない歴史のおもしろさを知り、歴史の授業を一層楽しく感じるようになりました。(高2 M・Hさん)

 高橋先生の授業は、巧みな話術のおかげで眠くなりませんし、歴史の裏にある様々な人間ドラマを学ぶことができ、まるで紙芝居を見ているかのようで、とてもおもしろいです。(高2 K・Hさん)

(この記事は『私立中高進学通信2022年11月号』に掲載しました。)

進学通信 2022年11月号
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