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私立中高進学通信

2022年8月号

実践報告 私学の授業

成城中学校

図書館との連携で
思考力・表現力を育む

独自科目『国語表現』で論文作成やプレゼンテーションスキルの土台をつくる
中3は分類番号を手がかりに本探しゲームを行います。「分類番号で場所がわかるなんて知らなかった」「新書はここにあるんだ」など、新たな発見があります。

中3は分類番号を手がかりに本探しゲームを行います。
「分類番号で場所がわかるなんて知らなかった」「新書はここにあるんだ」など、新たな発見があります。

年間約100冊の本に触れ
幅広い表現力を育む

 生徒の自主性を育むため、探究的な学習に力を入れてきた成城は、2021年度から、文章力や思考力、プレゼンテーションスキルなど、生徒の包括的な表現力を養う独自のカリキュラム『国語表現』を本格始動しました。図書館と連携し、グループワークや発表をメインとするユニークな授業です。

「グローバル社会において、他者に自分の考えを論理的にわかりやすく伝える力は必須となります。その土台となる知識や表現方法を身につけるため、本に触れる機会を増やしたいと考えました」と、中1~中3の『国語表現』を担当する国語科の吉光樹先生は言います。

「授業は、国語の教科書の教材文と関連する本の点検読書(※)から始まります。各班5冊の本を点検した後、“発表する1冊”を話し合って選定します。そして選んだ本の内容について『他のグループの人にもどんな本なのかわかるように』発表するというのが一連の流れです。
 このような授業を年に数回行うことで、アウトプット時における対象意識を育むとともに、生徒は1年間に100冊近い本に触れ、知見を広げることができます」

 生徒が興味をもって取り組めるよう、図書館司書の先生方が、大いに力を発揮しています。

「読書をあまりしない生徒は、目次などから内容をつかみきれない場合もあります。そこで、生徒が内容に興味をもて、理解しやすいレベルの本の選書に力を入れたところ、発表の質が向上しました。ほかの班の発表を聞いて、その本を借りる生徒もいます」(図書館司書/三野紗矢香先生)

※点検読書…タイトルや目次などをもとに本の内容を予測する読書方法。1940年にアメリカで刊行され、世界中でベストセラーとなった読書の入門書『本を読む本』が提唱したスキル。

図書館に足を運ぶ
仕掛けづくりで読書率アップ
1学期初頭に行われる図書館のオリエンテーション。学年ごとに内容をバージョンアップして行っています。1学期初頭に行われる図書館のオリエンテーション。学年ごとに内容をバージョンアップして行っています。

 発表準備のため、放課後などに生徒はおのずと図書館に足を運ぶ機会が多くなります。その際、展示の本や、趣味の本にも手を伸ばすので、図書館では常に多様なテーマの展示やイベントを行うことにも注力していると三野先生は話します。

「授業での図書館活用や、本を探すゲームなどを通して図書館の利用方法や魅力を伝える『図書館のオリエンテーション』を今年度から始めたことで、これまで本に興味のなかった生徒も本を借りるようになり、貸出数が飛躍的に増加しました。昨年の貸出数は前年の2倍以上です」

 こうした取り組みを通して、生徒の表現力・プレゼンテーションスキルが大きく向上しました。

「中1の各クラス代表班が全クラスに向けて行事発表を行った時には、工夫を凝らし、堂々と話す様子を見て、ほかの先生方が驚いていました。今後はさらにカリキュラムを充実させ、高校での学びにつなげていきたいですね」(吉光先生)

思考力・表現力を高める『国語表現』の授業
生徒同士で話し合い、質問し合い、アウトプットする対話型授業
『国語表現』担当・国語科/吉光樹先生『国語表現』担当・国語科/吉光樹先生

 同校の探究学習を推し進めている国語科の吉光先生による、中1『国語表現』の授業を取材しました。中1の授業では、図書館に飾られている8冊の本のポップを教材に、他者に対して何かをアピールする場合、どのような見せ方が効果的なのかを話し合いました。教材となったポップは、上級生の図書委員が手作りしたものです。ポップを見比べ、読みたいと思わせるポップと、その理由などをグループで考えていきます。

 生徒たちは早速意見を出し合い、活発に議論をしていきます。次に2つの評価の観点から、ポップを比較します。吉光先生は「何を観点とするか」を指示せず、その段階から生徒に任せています。「文字の大きさ?」「絵を使っているかどうかは?」と議論が熱を帯びます。

「ヒントは出しますが、何を評価の基準とするかを考えるところから始めてもらいます。本校の生徒は授業での話し合いを楽しんでいて、とても積極的です。『絵や色を使えばよかった』『長い説明より、簡潔な短文のほうが伝わる』など、さまざまな気づきがあったようです。
 今回の授業では、どんな状況で誰に対してアピールするかによって、表現の仕方は異なるということを学びました。話し合い、学び合うことで思考力・表現力を高め、論文作成やプレゼンテーションスキルの土台をつくる。これが『国語表現』の目的です。それらを発展させ、高校での『探究活動』や『小論文対策』につなげていきたいと考えています。
 また、プレゼンや論文の上達はもちろんですが、その過程も大切です。繰り返し本を読み、思考し、探究を深めることは人間形成であり、本校がめざすグローバルリーダーの育成にもつながります」(吉光先生)

ポップの評価に際し、どのような観点で評価を考えるかをまず生徒に問いかけていました。ポップの評価に際し、どのような観点で評価を考えるかをまず生徒に問いかけていました。
授業の最後には、自分たちが書いた詩に関するプリントを読み比べ、“図書館に飾る”という想定で読んだ場合、どれが一番訴求力があるかを選別しました。授業の最後には、自分たちが書いた詩に関するプリントを読み比べ、“図書館に飾る”という想定で読んだ場合、どれが一番訴求力があるかを選別しました。
独自科目『国語表現』中学3年間の学びの流れ

中1<基礎>

発表することに慣れ、その過程で、本や詩に親しんでいく。声を大きく、誰に向けて伝えるのかなど、発表時の基本や対象意識を身につける。

中2<応用>

スライドを用いて体系的に発表する。スライドの枚数を決め、思考を整理しストーリーをつくることで、論文のアウトラインをつくる練習にもつながる。自分でテーマに即した本を探す。

中3<発展>

伝わりやすさ・切り口などを考慮し、内容に工夫を凝らした発表をする。さらにテーマを派生させた本・課題を見つけ、思考を深める。

授業の狙い

思考力・表現力を高め、論文作成やプレゼンテーションスキルの土台をつくる。それらを発展させ、高校での『探究活動』『小論文対策』につなげる。

本への関心の扉を開く
図書館のオリエンテーション
図書館司書/三野紗矢香先生図書館司書/三野紗矢香先生

 本に親しませ興味を喚起すること、そして図書館に足を運んでもらうことを目的に、年度初めの4月、本の分類方法や探し方を学年ごとに説明するオリエンテーションを実施しています。オリエンテーションでの体験が、教科と図書館利用の架け橋になると図書館司書の三野紗矢香先生は話します。

「オリエンテーションでは、図書館利用のレクチャーのほかに、『本は先人が残した知の宝庫。先人達の考えを知ったうえで、自分の考えを深められるツール』といった本そのものの魅力や、『私たちは、人類史上、最も情報を手に入れやすい時代に生きている。だからこそ、インターネットの情報だけでなく、本の情報も上手に探せるようになってほしい』ということも伝えています。
 レクチャー後は、生徒に本の表紙の写真が付いたミニカードを渡し、タイトルから分類を予想したうえで、その本を探しだしてもらいます。レクチャーの後にゲーム感覚で本探しをすることで、教わった知識が楽しみながら頭に入るようです」

生徒インタビュー
本好きが激増中! 80名の図書委員が活動中
左から、中3図書委員のWさんとSさん。左から、中3図書委員のWさんとSさん。

 図書館には図書委員が手作りした本のポップがズラリ。本好きの生徒たちが図書館をより魅力的な場所にしています。図書委員を希望者制に変えたことも図書館利用が増えた理由のひとつです。

「本好きな生徒たちが楽しそうに活動していると、ほかの生徒が興味をもって集まってきます。そこで本好きの輪が広がるのでしょう。今年は、図書委員の希望者が80名にのぼりました」(三野先生)

 日々、本の貸し出しやポップ作りに携わる中3生の図書委員2名に話を聞きました。

「ページを開けばすぐにほしい情報にたどり着けるのが本の魅力です。図書館のオリエンテーションのおかげで、これまで手に取らなかった本も読むようになり、興味の幅が広がりました」(Wさん)

「好きな本を繰り返し読んでいると、自分の思いが本の中に入り込むような気分になります。インターネットとは異なり、紙には愛着がわきますね」(Sさん)

(この記事は『私立中高進学通信2022年8月号』に掲載しました。)

進学通信 2022年8月号
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