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私立中高進学通信

2021年8月号

THE VOICE 新校長インタビュー

成城中学校

伝統と校風を守りながら
変化に対応した教育を推進

岩本 正 (いわもと・ただし)校長先生
1970年生まれ。神奈川県出身。1993年筑波大学第一学群自然学類物理学専攻卒業。
1995年筑波大学大学院教育研究科修了。
埼玉県の私立男子校で教鞭を執った後、1997年成城中学校・高等学校に理科教諭として着任。
教務主任、副教頭、教頭を歴任し、2021年4月より現職。

吹奏楽部での経験も
教員をめざした理由に
めざす生徒像

校章「三光星」が表す「知・仁・勇」は、儒教における基本的な3つの徳。同校がめざす生徒像は、この「知・仁・勇」を備えた男子リーダーです。

知(深い読みのできる能力)
仁(思いやり)
勇(勇気・決断力)

 大学時代は物理学を専攻し、研究者になる道を模索しながら、大学4年時に教員になることを決意しました。理由はいくつかありますが、その一つとしてあげられるのは、吹奏楽部での活動経験です。

 中学時代から始めた吹奏楽部の活動では、ユーフォニアムを担当しました。高校時代からは指揮者となり、部員を引っ張っていく立場になりました。部活動は大学時代まで続け、何度か関東大会に出場したこともあります。

 そんな私に「教員になって顧問として吹奏楽部にかかわりたい」という夢が生まれたのです。生徒たちに部活動に打ち込む楽しさや素晴らしさを伝え、勉学と部活動を両立させてバランスのとれた人間に成長してほしいとも考えました。

 教員になると決めた私は大学院に進学して、理科の勉強をさらに深め、教育についても専門的に学びました。

「実物」を見せて
生徒の興味をひく授業を

 教員になって成城に着任した際、非常に「自由な雰囲気の学校」という印象をもちました。先生方も生徒たちものびのびとしているのです。

 そんな学校で理科を教えるにあたって、「実物を見せる」ことを私は重視しました。「ばね」や「音叉」など、単元に関するものを授業に持っていくのです。実物や実験を見ることで、生徒は現象をイメージしやすくなり、理解も深まります。さらに、理科への興味もわいてくるでしょう。

 また私は生徒に、「型にとらわれず、自由な発想でものごとに挑戦してほしい」と願っています。そうしたチャレンジ精神を育むために、生徒の発想を否定せず、実現するためのサポート方法を考えます。以前、「先生、明日実験させてください」と、翌日が日曜日でも平気で頼みに来る実験好きな生徒がいました。私はとことんつき合ったものです。

 希望通り吹奏楽部の顧問にもなりました。ただ、すでに楽器の指導をする先生はいたので、私は生徒に混ざって演奏することにし、演奏会にも参加しました。生徒たちは、自然に受け入れてくれました。当時はそんな教員はいませんでしたから、演奏会を見に来た人は驚いたでしょうね(笑)。

独自授業で
「表現力」を伸ばす

 本校は、2021年度から中高完全一貫校となりました。カリキュラムはスリムになり、大学入試改革や時代に合わせたプログラムの充実化を進めています。

「ICT化」もその一つ。全教室にプロジェクターを設置するなど取り組みを推進しています。「グローバル化」では、留学プログラムの充実を図るとともに、他校に先駆けて実施してきた「エンパワーメント・プログラム(※)」も継続していきます。

 そして、私が生徒たちに今後より身につけてほしいと思っているものは、「表現力」です。表現力は、社会に出てさまざまな人とかかわり、協力しながらものごとを進めていくために大切な力です。本校の校章「三光星」が表す「知・仁・勇」の中で思いやりを表す「仁」は、“対話”のことだと考えられます。その大切さを生徒に伝えていきたいですね。

 本校が、新学習指導要領に合わせて導入した独自授業の一つである「国語表現」(中3対象)は、話し合いや発表などを実践し、表現する力を強化する授業となっています。表現力、つまり論理立てて話す力を培うことは、自分でテーマを設定し、調べ、結果を考察する「探究的な活動」にもつながるものと考えています。

※エンパワーメント・プログラム……海外の学生を招き、生徒とのチームで英語のみを用いてさまざまな体験を行う5日間の研修。自らの課題を発見し、表現する力を養います(中3~高2の希望者対象)。

生徒に愛される
伝統と校風

 本校は130年以上の歴史をもつ学校であり、伝統を守ることも大切にしています。

 大正時代から続く臨海学校は伝統行事の一つで、中1生の上級者は海で遠泳を体験します。その際、安全面を考慮して、教員のほかに泳力の高い高2生が指導の補助に入ります。この高2生と中1生の縦のつながりが、とても良い効果をもたらします。中1生にとって高2の先輩は憧れの存在となり、目標ができることで、自分の力を伸ばす動機づけになっていくのです。

 本校の生徒たちは、中高時代にできた友達と、卒業後も付き合いを続けていることが多いようです。自由でのびのびとした校風が、一生の友情を育む環境としてふさわしいのでしょう。生徒たちから愛されている伝統と校風を、大切に守っていきたいと思います。

[沿革]
1885年、文武講習館として創立。1886年、成城学校と改称。1899年、成城学校中学科と改称。1917年、成城中学校と改称。1925年、日本で初めての臨海学校を開設。学制改革に伴い、1947年新制成城中学校、1948年新制成城高等学校発足。2015年、創立130年を迎える。

(この記事は『私立中高進学通信2021年8月号』に掲載しました。)

成城中学校  

〒162-8670 東京都新宿区原町3-87
TEL:03-3341-6141

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