私立中高進学通信
2021年1月号
中1の始め方
成城中学校
中学は土台を作る時
学校生活で大きく成長
90年以上続く伝統行事『臨海学校』。高2生が補助指導員として参加し、中1生の命を守ります。
憧れの先輩の姿を間近で見ることがリーダー教育にもつながります。
6年後の成長を見据えた伝統ある男子教育が特徴である同校。
行事や学習を通して6年間の土台となる自立する力を育てていきます。
協力し合うことの大切さを知る
校内行事やクラス活動
来年度より完全中高一貫校となる同校は、文武両道主義など伝統に則った、こだわりある男子教育を行っています。入学したばかりの中1生が最初に体験する大きな行事は、山梨県など、自然豊かな地域で一泊する『春季校外課業』です。協働する力を育むアドベンチャープログラムにチームで挑戦するなど、班単位で課題解決型のフィールドワークに取り組みます。
「まず、保護者の皆さんには、荷造りを手伝わないでくださいとお願いしています。全員が自分の荷物を自分で作り、集合場所まで1人で来るのが基本です」
と、2019年度に中1を担任した熊代翔先生は話します。同じく、2019年度に中1を担任した古川詞惟先生は、
「生徒同士の小さな衝突はありますが、それも大事な体験です。春季校外課業は、そこを乗り越えて、打ち解けていける大切な行事です」
とその重要性を強調します。
宿泊行事でチームワークを高めた後は、校外学習『中学行事』を行います。この行事では、生徒が主体となって、校外学習を企画することに挑戦します。テーマや行き先への下見も、教員も同行はしますが、基本的にはすべて生徒が主導で行います。行事のしおりも生徒たちの手で作成します。
そして、「これを経験して初めて成城生」といわれる『臨海学校』が、7月に千葉県南房総市の岩井海岸にて3泊4日で行われます。生徒を十数段階(初級~上級)の泳力別のグループに分け、初級は海に親しむことから始めるなど、無理なく安全に泳げるように配慮しています。また、上級は海で隊列を組んで泳ぐ「遠泳」に挑戦します。この行事の最大の特徴は、約50人の高校2年生が補助員として付き添うところにあります。
参加する高2生は、学年の教員により選抜された、人間性・リーダーシップともに優れた先輩たち。水泳だけでなく生活面でも中1生を支え、指導します。夜はクラス単位で地元の複数の民宿に分宿しますが、食事の準備や細かなスケジュール管理も生徒たちに任され、協働して生活する楽しさも厳しさも味わえる、またとない機会となっています。
「共同生活なので、1人がミスをするとみんなに迷惑がかかります。中1生は周りを見ることができず、自己中心的になりがちです。『自分一人だけで生きているわけではない』ことを学ぶのが、臨海学校の一番大きな目的です。また、水泳指導をしてくれる高2生の姿を間近で見ることで、リーダーの役割について深く考えるようになります」(熊代先生)
臨海学校の後には、文化祭や運動会が控えています。これらの行事でも生徒の主体性を大事にしています。先輩たちがどんどんアイデアを出し、積極的に行動する姿に刺激を受け、「自分たちの手でチャレンジしよう!」と、中1から前向きに取り組むようになるのが同校の校風です。
学習の方法論や考え方の定着が
6年間の学びを充実させる
学習面では、中学は「土台を作る時期」だと、先生方は語ります。
「中学ではできるだけ視野を広げてほしいので、社会科の授業ではニュースを題材にして調べ学習などを行っています」と、古川先生。
熊代先生も「英語の授業も同じです。さまざまなことにトライして、考え方や勉強方法の引き出しを1つでも多く作っておくことが、中学の勉強で一番大事だと思います」と話します。
生徒たちにとって中高の6年間は、生活面、学習面で大きく成長する時期となります。
「中1の最初の保護者会では『この6年間で波風が立たないことは、まずありえません』と申し上げています。男子同士で意見のぶつかり合いはありますが、それがあってこその思春期の成長です。
中高生になると、小学生の時とは異なり、保護者がコントロールできないことも出てくるでしょう。そうした行動は成長の一過程であり、心配はありません。本校に入ったからには、生徒には自分を出し切ってもらいたい。そして、中高6年間で泥臭く、人間力をしっかりと育てていきたいと考えています」(熊代先生)
6年間を見据えての男子教育
「中1は習慣や考え方を培う時期だと思います。6年先を見据えてどっしり構えられるのが一貫校の良い点です。のびのびと過ごしながらも、目先のことだけにとらわれず、好きなこと、やりたいことを見つけてほしいと思っています」(地歴公民科/古川詞惟先生)
人間力を磨く6年間に
「クラスのために貢献できた、得意なこと、好きなことが見つかったという体験が、思春期には大切だと思います。本校は教員と生徒の距離が近く、信頼関係の中で心をぶつけ合って6年間を過ごせます。そうした環境下で、人間力を磨いてほしいと思います」(英語科/熊代翔先生)
(この記事は『私立中高進学通信2021年1月号』に掲載しました。)
成城中学校
〒162-8670 東京都新宿区原町3-87
TEL:03-3341-6141
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