私立中高進学通信
2022年8月号
私学だからできるオリジナル教育
狭山ヶ丘高等学校付属中学校
自ら進んで勉学に取り組む
人間形成の3年間
中1は自分自身、中2は他者や社会に視野を広げ、中3では自分で課題を設定し、1年間かけて研究レポートをまとめます。興味あるテーマを掘り下げることで向学心を養います。
研究レポートのテーマを設定する授業の様子。生徒が相談しやすいよう、5名の教員がバックアップしています。
中1のうちに自学自習の姿勢を確立
“勉強って面白いものなんだ”生徒にそう実感させ、自ら進んで勉学に取り組む生徒を育む同校。
中1でまず行うのはその土台づくり。自学自習の姿勢を確立させることです。そのための取り組みの一つが7時20分から始まる朝ゼミで、英語、数学、国語の3教科が週1回ずつ行われています。通常の始業時間は8時30分なので、週3日は1時間以上早く登校することになります。
「強制ではありませんが、基本的に生徒全員が参加しています。最初は大変だと思いますが、早寝早起きの規則正しい生活習慣がつきます。朝のフレッシュな状態で学ぶほうが理解度は高くなると思います。その効果を実感し朝ゼミのない日でも早く登校する生徒は多くいます」(教頭・国語科/北谷高志先生)
「総合的な学習の時間」では、『マインドマップ』の作成にも取り組みます。マインドマップとは、キーワードを中心に置き、そこから連想する言葉やイメージを放射状につなげて広げ、思考を整理して発想を豊かにする思考術。ビジネスをはじめ、さまざまな分野で活用されています。
「最初は自分を中心に置き、自分自身についてじっくりと考えます。ここから発展させて、さまざまなテーマに取り組んでいきます」
中3で生徒全員が研究レポートを作成
中1で自分自身について知ると、中2では他者や社会へ視野を広げる学びに取り組みます。そして中3になると、1年間かけて一つのテーマを研究し、3学期にレポートにまとめます。
「『研究レポート』で、中3生に与えられる課題のテーマ設定は自由。社会問題でも、自分の趣味でもいいし、授業のなかで興味を持ったことでもいいのです。各自が深く掘り下げたら面白いと思ったことをテーマにします」
これまで発表されたテーマを例としてお聞きしたところ、“新しいお金の形”“現代娯楽に対しての問題提起と改善案”“色を表す日本語が多い背景”などといったものがあったそうです。
「なかでも“色を表す日本語が多い背景”のレポートは印象に残っています。日本では虹は7色と表現しますが、アメリカでは6色、アフリカでは2色と表します。この研究をした生徒は感性や文化の違いによるものだとする仮説を立て、立論しました。私自身、興味深くレポートを読みました」
研究レポートの作成が始まるのは4月。マインドマップを作りながらテーマを決め、探究が始まります。関連する文献を読み込み、さまざまな論文に接したうえで自分なりの結論をレポートにします。ただ、経験の乏しい中学生では発想の広げ方や文献の探し方も手探り状態。そこをサポートするのが担当教員で、生徒10人に対して1人の教員がつき、アドバイスをしながら進めます。生徒と教員が一対一で語り合い、レポートの方向性を模索する様子は、大学で行うゼミさながらです。
この日の授業は、レポートのテーマ設定。ある生徒が設定したテーマは“埼玉県と神奈川県の観光での魅力度比較”。この生徒は地元の埼玉県が観光という点で他県より見劣りすると感じていたようです。それを近県の神奈川県と比較することで、研究が深まると考えました。下調べではネットを活用し、両県の主な観光地をあげて年間訪問者数などを調べていましたが、担当教員が「アクセスの利便性や県民性などを加えては?」といったアドバイスをしました。生徒はさまざまなアプローチをすることで、レポートの説得力を増すことができると実感したようでした。
レポートの字数は4000字以上ですが、なかには1万字を超える大作を書く生徒もいるそうです。
「内容が伴ってこそのレポート字数だと思いますが、学びの面白さを知ってくれた証拠です。こうした感性が身につけば勉強することが苦ではなくなり、その後の学力の伸びも違ってくるはずです。中3のこの時期に学ぶ楽しさを知るこうした経験ができるのは、本校の大きな強みといえるのではないでしょうか」
軽登山や農作業を体験
自然のなかで集団行動を学びます
興味のあるテーマを掘り下げる研究レポート
「自ら学ぶ」感性が養われます
スピーチコンテストでレベルアップする英語力
「本校では英語教育の一環として、3学期にスピーチコンテストを行っています。中1は英語教材の音読、中2は英文を暗唱、中3は自分で書いた英文をスピーチします。生きた英語力を身につけるには、発音を含めたスピーキングと、自分の主張を英語で作文できる能力が必要です。加えて、大勢の教員や生徒の前でスピーチをして採点されることは大きなチャレンジであり、それをやり遂げた時は本人の自信につながります。実際にスピーチするのはクラスの代表2名ずつですが、全員がその座を目指して努力を重ねますから、生徒一人ひとりの英語力アップに役立っています」(北谷先生)
(この記事は『私立中高進学通信2022年8月号』に掲載しました。)
狭山ヶ丘高等学校付属中学校
〒358-0011 埼玉県入間市下藤沢981
TEL:04-2962-3844
進学通信掲載情報
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