私立中高進学通信
2023年9月号
実験大好き!
千葉明徳中学校
自然に囲まれた環境で、科学的な思考力を伸ばす
先生の「この世のものは全て、何で構成されている?」との問いに、「ツブツブ!」と元気に返す生徒たち。
終始楽しそうな様子が印象的でした。
同校が育成する「行動する哲人」には、インプット・アウトプットの双方に卓越した力が必要です。そんな力を養ううえで最適なものが理科実験。中1生が行う「物質の密度」の実験を取材しました。
豊かな緑に囲まれ、生徒たちがのびのびと学んでいる同校。中学の校舎前には、田んぼと畑からなる「自然フィールド」、屋上には天体望遠鏡を備えた「天文台」、校舎裏には広大な「明徳の森」といった、自然や生物に対する好奇心を喚起する環境が整っています。その豊かな自然に引かれて、同校を志す生徒も多いそうです。
日頃の授業のほか、校外理科研修として学校の外に出て理科を学ぶ機会もあります。館山の海でビーチコーミングをして海洋生物への理解を深めたり、銚子・屏風ヶ浦で地層を観察して地球の大きさを実感したりと、自然を肌で感じ、楽しみながら学習します。また、中3の総合的な学習では、一人ひとりが課題研究論文を執筆し、冊子としてまとめられています。
「この時のテーマを高校でも追究し、さらには大学まで研究を続けていく生徒もいます。本校では中1から、毎月『1分間スピーチ』を行っており、この蓄積が研究発表の際にも役立っています。生徒には、考えること、さらにそれを他者へ伝える力をつけてもらいたいのです。理科好きはもちろん、理科にはあまり興味がないという受験生も、ぜひ一度本校に足を運んでみてください。理科の面白さに気づき、科学的なものの見方・考え方を身につけられる学校です」(理科/髙岡健太郎先生)
物質の密度(中1・理科1分野)
1
導入として、演示実験を披露。先生のハンドパワーでポップコーンが加熱なしではじけます! もちろん種も仕掛けもある実験です。
2
ポップコーンができあがる様子を見て、「なんで?」「おいしそう!」と盛り上がる生徒たち。一気に授業に引き込まれていきました。
3
ポップコーンがはじけたように見える理由は物質の密度の違い。氷分子と水分子の模型を使って、先ほどのからくりを説明します。
4
説明が終わり、実験開始! ペットボトルのボトル・キャップ・ラベルを小さくカットしたものを使って、それぞれの密度の違いを調べます。
5
まずは水の中に入れてみます。浮くのか? 沈むのか? その特徴を調べます。
6
次は火の中に入れて、変化を観察します。
7
「臭いは?」「燃える? 溶ける?」。火に入れた後の変化を予測しながら実験。タブレット端末で変化の様子を映像や写真に収めます。
8
班のメンバーで協力しながら実験を進めます。最後に結果をまとめて授業は終了です。
予想外の結果こそ、実験の面白さ!
水に入れる実験では、沈むと思っていたキャップが浮いたので驚きました。火に入れる実験も予想とは異なる結果で、燃えないだろうと思っていたキャップが、燃えてドロドロに溶けたことにびっくりしました。千葉明徳は自然環境に恵まれているのが特徴で、季節ごとにいろいろな植物が見られるので楽しいです。生き物も多く、私はもともと虫が苦手でしたが、入学して身近な存在になったことで苦手意識が和らぎました。毎年行われる校外理科研修も楽しいです。中1では木更津のクルックフィールズに行きました。中2、中3の研修も楽しみです。
科学的なものの見方を伝え、生徒の「なぜ?」をフォロー
私は化学的な現象を理解するには量子論が大切だと考え、見えない粒をイメージしてもらうために、いつもポケットに水分子の模型を入れています。私が「この世のものは全て?」と聞けば、生徒たちは「ツブツブ!」と返してくれます。私と生徒の間での、お約束のやり取りです。生徒たちには「なぜ? どうして?」を入り口に「どうやって調べよう」というところまでつなげていってほしいと願っています。それが一番の勉強になりますし、そうなるように生徒をフォローすることが教員の役目だと思っています。生徒が理科の楽しさを知るには、教員が楽しむ姿を見せるのが大切。これからも理科を楽しんでいきたいです。
(この記事は『私立中高進学通信2023年9月号』に掲載しました。)
千葉明徳中学校
〒260-8685 千葉県千葉市中央区南生実町1412
TEL:043-265-1612
進学通信掲載情報
PICK UP!!
紹介する学校
- 世界で通用する研究に挑戦する『SAコース』昭和学院中学校
- ダイズ栽培とヒラメ養殖で『自ら学ぶ力』を培う東京農業大学第三高等学校附属中学校
- 有志の生徒が大活躍 主体性で動く『チームICT』麗澤中学校
- 未知の課題に論理的に取り組む『理数探究』和洋九段女子中学校
- 校長先生による実験授業!「なぜ」の答えが得られる方法を考えよう麴町学園女子(麹町学園女子)中学校
- 3年間で100あまりの実験を実施!「自由研究」で知的好奇心も育む国学院大学久我山中学校
- 確かな「世界市民力」とサイエンス・リテラシーを培うサレジアン国際学園世田谷中学校
- 動画だけではわからない、五感に響く体験が興味を育む成城中学校
- 自然に囲まれた環境で、科学的な思考力を伸ばす千葉明徳中学校
- 実験を五感で捉え、理解と興味を深めていく東邦大学付属東邦中学校
- 「探究女子」を育てる体験重視の理科教育トキワ松学園中学校
- 生徒が主体的にデザインする、一人ひとりの実験ドルトン東京学園中等部
- “挑戦”をサポートする校風 やりたいことを追求することで学びへの探究心が育つ埼玉平成中学校
- 生徒主体で作り上げた体育祭がかけがえのない思い出に十文字中学校
- アドミッションスタッフの活動を通し 自分で考え、行動する力を育む東京家政大学附属女子中学校
- 100周年に向け、「伝統に更なる輝きを!」生徒が手がけた新制服が後輩の明日を担う日本大学第二中学校
- 英語の楽しさを味わいながら国際社会で使える語学力を身につける恵泉女学園中学校
- 生徒全員を国際生と位置づけ 日常的にグローバルな環境を整える啓明学園中学校
- 「わかったつもり」は一切なし!“見られて”身につく英語力昌平中学校
- 「オンライン英会話」で実践的に英語を使う機会を増やす聖望学園中学校
- 創立以来続く伝統 全人教育としての『園芸』鴎友学園女子中学校
- 手帳メーカーとコラボ 生徒考案の『SDGs手帳』聖徳学園中学校
- 全教科の土台となる論理的読解力を育成佐野日本大学中等教育学校
- 生徒主体の行事を重ね成功体験を味わう実践女子学園中学校
- 全寮制学校で磨く 学力と思いやりの心秀明中学校
- 建学の精神を基盤にグローバル人材を育成淑徳中学校
- 入学前から在校生がサポート 生徒主体で誰もがリーダーに女子聖学院中学校
- 安心して勉強と部活動に打ち込める温かな校風共栄学園中学校
- 明るく広々とした図書館が自慢です!国府台女子学院中学部
- 姉弟で、姉妹で、同じ学校に通っています!専修大学松戸中学校
- 学校の魅力を思う存分に伝えます文教大学付属中学校
- 葛藤しながらも神に導かれた人生 聖書に促されて学院長へ玉川聖学院中等部
- 直系の付属校だからこそもてる力を大切に健やかな精神を育みたい明治大学付属明治中学校
- 『志』の種を見つけると人は本気になれる 紆余曲折を経て、教育者の道へ山脇学園中学校
- 今年度から中1のクラス担任になったお2人の先生です。その意気込みを伺いました。国士舘中学校
- 自分で考え、発信することを重視した授業を青稜中学校
- 好奇心旺盛に生徒とともに新しい挑戦を続けます!帝京大学系属帝京中学校
- 2024年度入試から「英語1科入試」を新設日本大学豊山女子中学校