私立中高進学通信
2025年9月号
注目! News and Topics
跡見学園中学校
新たな価値を生み出す新教育ビジョン
「将来構想プロジェクト」による新しい“伝統”

「何を学びたいか」を考え、それに合わせて生徒が自らプランを立てる高2の「セルフプロデュース旅行」。
旅行後にはそれぞれが学んだことについての発表が行われます。
引き継いだ伝統に
新たな価値を加える試み

英語科/鈴木真人先生
1875(明治8)年に創立された跡見学園。日本が誇る伝統や文化に根ざす上品な美徳を持った女性を育てることを目的に設立された伝統校です。
同校では5年前から 「自らの美意識のもとに新たな価値を生み出し、周りを幸せにする女性」の育成をめざす新たな教育ビジョンを掲げ、創立150周年という節目を迎える今年に向けて「将来構想プロジェクト」を始動。これまでの伝統がもつ良い部分はより強化しつつ、新たな時代に向けた教育を行うための改革を進めてきました。
「2018年のプロジェクトチーム発足時に、まずチーム内で本校がめざすべき教育ビジョンを話し合い、そこで出てきたのが“美意識”という言葉でした」
そう話すのは、「将来構想プロジェクト」のプロジェクト・リーダーを務めた鈴木真人先生です。
こうして生まれた新たな教育ビジョンを念頭に、同校がもつ良さを残しつつ、新たな教育プログラムが策定されていきました。
「具体的には、それまで単発で行ってきた各種宿泊行事の見直しを行い、中高の6年間をかけて行う探究学習の中に組み入れていきました。例えば中1、中2で行っていた『自然教室』を『サイエンス探究教室』と改め、事前・事後学習や現地でのフィールドワークを、より探究的な内容にブラッシュアップしました」(鈴木先生)
宿泊行事や三者面談の
意義と価値を再定義

保健体育科
杉本くらこ先生
こうした変更は、宿泊行事以外でも行われています。中3で実施される「保護者面談」は、「プレゼン三者面談」として形式が変更されました。これは予想以上に良い効果があったと、プロジェクトメンバーの杉本くらこ先生は解説します。
「従来の面談では、生徒の希望と保護者の考えが一致せず、進路決定がスムーズにいかないことがありました。そこで自身の考えを保護者に伝えると同時に、論理的に説明する力も伸ばせるよう、生徒によるプレゼン形式を導入したのです。わが子のプレゼンを見聞きして、その成長ぶりに感激する保護者の方が何人もおられました」(杉本先生)
将来構想プロジェクトの活動は、教員にも波及効果を生み出しています。
「生徒たちがもっと主体的な学びに取り組める環境をつくるために、各教科の先生方が授業内で探究の力を伸ばすためどのような工夫をしているかについてアンケート調査を行い、その結果を共有しました。例えば『問いを立てる力』をつけるために体育の授業で工夫していることや、『答えを導き出す力』を伸ばすために社会科の授業で行っていることなど、各教科の取り組みを“見える化”したんです。それまでは他教科で行われている内容を知る機会はあまりなかったのですが、この“見える化”によって、日頃の授業の参考にすることが可能になりました。教員間での意見交換がより活発になっており、結果として生徒たちの主体的な学習環境の充実につながっていると思います」(鈴木先生)
主体性と積極性を伸ばす
新時代の伝統を築く
宿泊行事と探究活動の融合を中心に、さまざまな活動を続けてきた将来構想プロジェクト。学校創立150周年を迎え、現メンバーでの活動は一区切りになると鈴木先生は言います。
「ですが、来年度以降もメンバーを変更するなどして継続の予定です。これから本校を支えていく若い世代の教員にも加わってもらい、新しい視点による議論の活性化を期待しています。この5年間を振り返ると、生徒たちの主体的に動く力は確実に上がっていると感じます。学校のめざす方向性に生徒がしっかり応えてくれているので、今後もさらなる改善を加えて、より良い方向に進んでほしいですね」(鈴木先生)
「新行事が続きましたが、生徒は初めての挑戦にも抵抗なく取り組んでくれています。主体性や積極性は確実に伸びてきたと思うので、そうした部分をさらに育てながら、教員と生徒の距離の近さなど本校が150年間継続してきた良い点は維持しつつ、新しい時代に即した伝統を築き上げてもらいたいですね」(杉本先生)






(この記事は『私立中高進学通信2025年9月号』に掲載しました。)
跡見学園中学校
〒112-8629 東京都文京区大塚1-5-9
TEL:03-3941-8167
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