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私立中高進学通信

2025年9月号

キャリア教育の現場から

明治大学付属明治中学校

自ら情報を収集・判断して
行動できる人材を育てる探究授業

高1の企業探究の授業風景。4人1組のグループに分かれて、企業へのアプローチの仕方を考えます。

高1の企業探究の授業風景。4人1組のグループに分かれて、企業へのアプローチの仕方を考えます。

 大塚製薬やKDDIといった大手企業の協力を得て行う企業探究のほか、社会問題解決ビジネスの起業・経営シミュレーションなど、明治大学付属明治では情報科を中心に将来のキャリアにつながるレベルの高い探究授業を展開しています。

グループで取り組む
企業探究でキャリア教育
学年主任・情報科主任/小岩孝一先生学年主任・情報科主任/小岩孝一先生

 1911(明治44)年に明治大学の学長である岸本辰雄によって創設され、翌1912年に開校した同校。2008(平成20)年の共学化以降、高校の情報科の授業で企業とコラボレートするなどしてキャリア教育にも積極的に取り組んでいます。

「情報科では班分けして授業を行いますが、高校入学生と内部進学生を一緒にしてグループを組むようにしています。さまざまな背景を持つ生徒が協働することに主眼を置いており、それが本校の基本になると考えています」

 そう話すのは、情報科主任の小岩孝一先生です。

「グループで行う企業探究は、本校が16年前からいち早く導入している課題解決型の学習です。生徒たちは同じ動画ファイルやプレゼン資料をグループ全員で編集するなどしてお互いを知る機会をもつと同時に、コミュニケーションスキルも向上させていきます。チームを組んだばかりの頃はメンバーも遠慮しがちですが、授業が進むなかで緊張がとけ、互いに個々の得意分野や個性を認め合い、高め合っていきます」

 高1では、大塚製薬やシチズン、明治、KDDIといった企業の協力のもと、企業から提示された課題に対する解決方法を、生徒たちは科目横断的に知識を駆使して見いだします。

「例えばKDDIからの『サステナブルな時代に必要な教育とは何か』という課題に取り組み、『ジュニアニア』という、キッズではなく自分たちの年代が遊びながら学べる施設を提案したグループがいました。築地市場の跡地を利用したもので、その中には水素自動車やEVそれぞれの利点や欠点を学びながら自動車レースが楽しめる施設、世界の自然と自然破壊について学べる施設の提案が盛り込まれており、KDDIからベストプログレス賞を受賞しました」

 高1では企業から課題が提示される企業探究ですが、高3選択科目では課題自体を生徒たちが考えることになります。起業を念頭に、社会問題を解決するためのアイデアを考えていきます。

「それまでは提示されていた問いから自分たちで考えることになり、難易度が上がります。本校の情報科では、さまざまなデータを自ら判断して加工できる人材育成をめざしています。ですから高1の企業探究から始まって、最終的には公開されているオープンデータを利用して得た情報を論文にまとめることができるスキル、つまり大学や大学院、社会人になっても必要になるスキルを身につけてほしいのです。目先のことにとらわれず、将来のキャリアに対するきっかけをより多く作っていける授業をめざしています」

授業では活発な意見交換やアイデアの発表が行われ、それらがグループワークに生かされます。授業では活発な意見交換やアイデアの発表が行われ、それらがグループワークに生かされます。
チームではメンバーそれぞれがリーダー、副リーダー、書記、ICTマネージャーの役割を担います。チームではメンバーそれぞれがリーダー、副リーダー、書記、ICTマネージャーの役割を担います。
チームで撮影・編集した協力企業への自己紹介動画を確認中。チームの個性が光ります。チームで撮影・編集した協力企業への自己紹介動画を確認中。チームの個性が光ります。
社会課題の解決を考えるなかで
自分にはない発想が出てきて驚きました
K・Rさん(高3)K・Rさん(高3)

 高2の社会探究(公民)の授業でアプリ作りに挑戦したのが印象に残っています。ノーコードで作れるアプリをウェブサイトで探して作ったのですが、すごく難しくて、そのときに「このサイトをもっと使いこなせるようになりたい」と強く思いました。実はアプリ制作が終わったあとも、ときどきそのサイトを開いて思いついたことを試しています。

 同じ授業の中で社会問題を解決する企業を考えたときは、僕自身は高齢化などの大きな社会問題ばかりを考えていたのですが、「雨の日に前髪が崩れるのが嫌だ」といった身近な問題を出した人もいて驚きました。自分にない視点だったので、とても刺激になったことを覚えています。

 僕は会社経営をするのが夢です。高1~高3の情報や探究の授業によって、例えばソーシャルビジネスで世界を良くしていきたいという形で、夢が具体的になったように思います。


話し合いが二転三転するなかで
解決策を探る楽しさを知りました
M・Rさん(高3)M・Rさん(高3)

 起業の課題に取り組んだとき、私たちのグループはまず身近な問題を集めることから始めました。みんなで持ち寄った問題の中から私たちが最初に選んだのは、靴下に付いている左右を一足にまとめるタグを失くすことでした。必ず捨てるし、プラスチック製も多いのでゴミの削減にもつながります。それに、切った際にうっかり見失ってしまうとペットが誤飲してあぶないという意見も出ました。

 ただし靴下だけだとうまくいかない部分が出てきたので、衣類に付いているタグすべてをなくす話になり、必要な情報はスマホでその衣類の写真を撮ると表示されるアプリを開発・運用するアイデアが出てきました。実際にアプリの試作もしたのですが、ほかの班からはまったく違った解決策が提案されていて、同じ問題でも解決策はいくつもあって、そのなかから最も優れたアイデアを考えていくのが楽しかったです。


自分が思う通りの結果が出せたときの
達成感は格別!
F・Iさん(高3)F・Iさん(高3)

 社会問題を解決するビジネスを考える探究では、やはりボランティアではなく会社としてしっかり利益を上げていかなければならないという点がすごく難しかったです。授業の中でソーシャルビジネスについて学んだのですが、今ある製品やサービスの多くが、そうした身近な困りごとを解決するアイデアから生まれてきたことを知り、起業やビジネスを考える際には、身近なところに着目して自分なりにその解決策を考えるのが重要だと学びました。問題解決のためのアプリをウェブ上で作り、自分が思い描いていたものができたときは、ものすごく達成感があったのも印象に残っています。

 私たちが作ったビジネス案やアプリには、改良しなければならない点もあると思います。企業経営や社会問題を解決するための活動に興味があるので、今後もそうした機会にぜひ挑戦していきたいです。

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