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私立中高進学通信

2025年9月号

進化する高大連携

上野学園中学校

桜美林大学『ディスカバ!』
興味・関心の幅を広げ
多角的な視点を獲得

『ディスカバ!』では、大学生にアドバイスをもらうなど、交流する機会が豊富に用意されています。

『ディスカバ!』では、大学生にアドバイスをもらうなど、
交流する機会が豊富に用意されています。

 2023年度に桜美林大学と高大連携協定を締結した同校。教授と大学生がサポートする探究プログラムの導入で、より発展的な学びが実現しました。

高校でのゼミ・卒論に
つながる探究スキルを育成
探究科主任で社会科教諭の稲田寛二先生(右)と進路部研究開発課長で物理教諭の小林賢太先生(左)。探究科主任で社会科教諭の稲田寛二先生(右)と進路部研究開発課長で物理教諭の小林賢太先生(左)。

 2023年に桜美林大学と高大連携協定を結んだ上野学園。その中核を成すプログラムが、探究学習『ディスカバ!』です。桜美林大学が運営する、中高生のためのキャリア支援プログラムを上野学園向けにカスタマイズした内容で、そのコンセプトは『1㎝先の未体験が、未来をつくる』。桜美林大学から教授と専門の教育を受けた大学生が同校を訪れ、生徒たちの探究学習をサポートしていきます。高1の2学期に行われる『ディスカバ!』の詳細を、進路部研究開発課長の小林賢太先生と探究科主任の稲田寛二先生に伺いました。

「本校の探究のグランドデザインとして、高1で自分の興味・関心に目を向け、高2ではその興味・関心をテーマとするゼミで社会とのつながりを知り、高3の卒論執筆に発展させるとともに、進路選択にもつなげていくという枠組みがあります。『ディスカバ!』は、自身の興味・関心を知り、探究スキルを身につける導入部分。ここで視野を広げ、新たな知見を得て、高2でのゼミや高3での卒論に進んでほしいと考えています」(小林先生)

テーマ決め・調査・分析を経て
教授と大学生の前でプレゼン

 桜美林大学の教授と学生のサポートのもと、『ディスカバ!』のワークショップは2カ月間・8回にわたって開催されます。生徒は事前に「健康」「ビジネス」「テクノロジー」「マーケティング」「子ども」「教育」「ジェンダー」の7つから興味・関心のある分野を選びます。

 選んだ分野ごとにクラスが編成され、そのなかでランダムな3名のグループになってワークを進めます。初日は自己紹介、テーマ決めが主な内容。例えば「ビジネス」の分野であれば、「企業が作っている既存の商品に何かを加えて新商品を作る」と大きなテーマが与えられ、その選択肢としてユニクロ、ファミリーマート、スターバックスといった大手企業が例として提示されます。

 生徒はその選択肢にはない、別の企業の商品を選ぶことも可能。教授や学生のアドバイスを受けながら、どんな商品を取り上げ、何を付け加え、どんな層をターゲットにした商品を作るのか、リサーチを重ねながら絞り込んでいき、プレゼン資料を作成します。そして最終日には、桜美林大学の教授や学生、同校の卒業生を招いてプレゼンテーションを行い、フィードバックを受けます。

大学との連携を強化し
多くの体験と刺激を提供
自分の「好き」を中心に、さまざまな方向に派生させていく「好きポスター」。「例えば『野球』が好きな場合でも、playかwatchかによって方向性は変わり、その先にある職業も変わってきます。生徒には『動詞で考えてごらん』と伝えています」(稲田先生)自分の「好き」を中心に、さまざまな方向に派生させていく「好きポスター」。「例えば『野球』が好きな場合でも、playかwatchかによって方向性は変わり、その先にある職業も変わってきます。生徒には『動詞で考えてごらん』と伝えています」(稲田先生)

「2020年度度から『ディスカバ!』を導入してきましたが、自分の考えを言語化する力や多角的な視点など、非認知能力の向上を感じています」と稲田先生。『ディスカバ!』で得たそれらの視点や興味・関心を、高1・3学期の「好きポスター」で表現します。

「自分の頭の中にある“好き”や“興味・関心”を可視化することで、進みたい進路、究めたいテーマが明確になり、ゼミの研究へスムーズに移行でき、最適な進路選択へとつながります。探究活動の成果を大学入試に活用する生徒も増えています」(小林先生)

 今後も『ディスカバ!』を活用して探究学習全体をさらにブラッシュアップし、効果を高めていきたいと話す両先生。

「クリティカルシンキングや全体を俯瞰して見る力だけでなく、思考の枠を広げ、課題解決に向けて創意工夫できるハック思考といった部分の育成も強化していきます」(稲田先生)

「そのためには大学からの刺激が欠かせません。高大連携をさらに深め、学内だけでは得られない体験と刺激を、数多く生徒に提供していきます」(小林先生)

生徒インタビュー
『ディスカバ!』を体験した生徒にインタビュー
「どうすれば健康的な生活を送れるか」を深掘り
Oさん(高2)Oさん(高2)

 昨年の『ディスカバ!』に参加した当時、生活習慣を見直したいと強く感じていたため、「健康」の分野を選びました。グループでは「生活習慣を改善して健康になる」というテーマで探究を進めました。

 どのように行動を変えれば健康的な生活を送ることができるのかを考え、本やインターネットで調べ、「健康」分野を担当されていた食物学科の大学生のアドバイスも参考にしながら、食事や運動計画を記した具体的な1日の生活プランを作成しました。そして、授業支援クラウドを用いて全学年に向けて紹介し、「このプランなら生活習慣が改善できると思いますか?」というアンケートも行いました。

 発表当日は大学教授や大学生が見守るなかで緊張しましたが、日頃の授業で培った発表経験のおかげで落ち着いて臨むことができました。審査員の教授から、「より客観的なデータを盛り込むと説得力が増す」とのフィードバックをいただき、今後のゼミ活動に活かしていきたいと考えています。

 初対面のメンバーと協働し、一つの成果物をつくり上げた経験は大きな財産です。自らの関心を多角的に掘り下げる探究の面白さも実感しました。将来の目標は保育士になることなので、高3のゼミ活動では『ディスカバ!』で得た知見を活かし、子どもの健康や成長過程についてさらに深く学んでいきたいと考えています。


「食」を切り口に広がる探究
視野もビジネスから哲学へ
Iさん(高2)Iさん(高2)

 大学のオープンキャンパスでビジネス学科の模擬授業を受けたことをきっかけに、「ビジネス」分野に興味をもち、去年の『ディスカバ!』ではその分野を選びました。「有名企業の商品に何かを足して新商品を作る」というテーマが出され、私たちのグループは、コンビニエンスストアのおにぎりを題材に新商品を企画することにしました。

 朝食習慣や好みの具材を調べるために、学年全体にアンケートも実施し、そこから「スマートフォンで事前注文し、店頭で受け取る朝限定のカスタムおにぎり」を提案しました。

 発表準備では、大学生や先生から「スライドは文字数を絞って視覚的に伝えたほうがいい」とアドバイスをもらい、本番ではその指摘を活かしてプレゼンテーションに臨みました。教授からは「商品化する際は、企画の背景やデータ、想いをしっかり伝えると説得力が増す」というフィードバックをいただいたほか、「食の楽しさ」という観点を「良い視点だね」と評価され、とてもうれしかったです。

 この経験を通じて、「なぜ人は“食べる”ことを楽しめるのか」という新たな問いが生まれ、ビジネスだけでなく哲学や民俗学的視点にも関心を抱くようになりました。『ディスカバ!』をきっかけに、自分の興味が想定以上に広がり、学問そのものの面白さに気づくことができました。

進学通信 2025年9月号
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