私立中高進学通信
2025年9月号
卒業生が語る私の成長Story
日出学園中学校
遠泳がつなぐ先輩と後輩の絆
伝統の行事で、心身を鍛える

日出学園 学校運営管理本部
企画部・業務部
児玉 孝喜さん
「困難に耐えて頑張るという意味です。
若乃花関が横綱になった時の口上なんですよ」と児玉さん。
30年以上にわたって遠泳の指導を続けた、児玉さんらしい言葉をあげてくださいました。
日出学園を卒業後、大学進学、銀行への就職を経て母校へと戻り、事務方として母校を支え続けている児玉さん。日出学園と児玉さんをつなぐカギは、伝統行事の遠泳です。遠泳にかける思い、中高時代の思い出などを聞きました。
長い歴史を誇る日出学園の夏の行事『臨海学校』がスタートしたのは戦後まもなくのこと。夏の太陽が照りつける南房総の岩井海水浴場で、修練を積んだ生徒が遠泳に臨みます。参加するのは併設小学校の5・6年希望者と中2の生徒たち。開始以来多くの生徒が参加してきましたが、今まで大きな事故が起こったことはありません。なぜなら、同校のOB・OGによる水泳指導のボランティア組織「瑞穂会」がしっかりとサポートしているからです。同校OBかつ母校で働く児玉孝喜さんは、卒業後に瑞穂会へ参加し、30年にわたり後輩の遠泳を見守り続けてきました。
親の勧めで中学受験
アットホームな雰囲気

児玉さんが同校に入学したのは1988年、ご両親の勧めからでした。
「当時地元の公立中学校が荒れていたため、親が心配して私立の学校を探してくれたのです。通っていた公立小学校は8クラスの大規模校でしたが、そのなかで受験するのは1人か2人という時代でしたね。日出学園は“知る人ぞ知る良い学校”として地元で知名度があり、親の勧めもあり入学しました」
当時の日出学園中学校は1学年2クラス。少人数でアットホームな雰囲気が合っていたようで、児玉さんはすぐ学校に馴染みました。
「自分のクラスだけでなく、隣のクラスとも交流があり、学年全員の名前を覚えました。先生方が親身で、よく話を聞いてくれましたね。家庭的な雰囲気で、先生のお宅を訪れ、カレーライスをごちそうになったこともありました」
勉強面ではこまめに漢字や計算の小テストが出され、基礎を徹底的に鍛えられたといいます。児玉さんが中3の時、別々だった中高の交流が始まり、高校の先生が中学の授業も受け持つようになりました。
「それをきっかけに授業の難易度も上がり、特に英語が劇的に面白くなりました。当時からネイティブの先生もいて、自分の意思を伝える楽しさも味わいました」
同校は軽井沢に山荘があり、夏休みにはそこで勉強合宿を実施。その合間を縫って、山登りにもチャレンジします。クラブ活動は中学ではバスケットボール部に、高校では友人と一緒に吹奏楽部を立ち上げました。その時の顧問の先生から誘われ、部員と一緒に登山へ出かけたことも。行事では、中学で体育祭の実行委員として活躍しました。
高校卒業後に瑞穂会へ参加
週2回練習し泳力を鍛える
児玉さんにとって母校とのつながりは、やはり臨海学校の遠泳です。
「臨海学校は全員参加ですが、遠泳は事前の練習状況を見て、指導者が参加の可否を判断します。浜辺からスタートし約2kmの距離を2時間ほどかけて泳ぐので、安全上それなりの力がないと許可が下りないのです」
児玉さんは中2の時に遠泳に参加し、見事泳ぎ切りました。
「その時の指導員の姿に憧れて、自分もやってみたいと思うようになり、卒業後は瑞穂会に参加しました。生徒の命を守る責任がありますから、泳力を鍛えるため週に2回集まってプールで練習します。大学時代はみんなが集まりやすい場所ということで、千駄ヶ谷の東京体育館・屋内プールを利用していましたね」
児玉さんは指導員のやりがいについて、次のように話します。
「全然泳げなかった子が指導を経て、突然平泳ぎの形ができる瞬間があるんです。本人もうれしいでしょうが、こちらにも指導者冥利に尽きる喜びがありましたね。遠泳時には3列の隊列を組むのですが、一番上手な生徒が最前列のセンターを務めます。先頭役として名前を呼ばれた生徒のうれしそうな顔は、いつ見てもいいものです」
大学は得意の英語を活かして、外国語学部に進学。卒業後は地元の銀行に就職しました。転職のきっかけを作ったのも、やはり瑞穂会です。練習時に先輩から、日出学園が経理担当者を探していると声をかけられ、「母校で働けるなら」と迷わず転職を決意しました。
新校舎の設立に尽力
新たなチャレンジを
児玉さんが母校に就職してから、今年で30年を迎えます。
「30年は長く、振り返るといろいろなことがありましたね。現在の校舎が建ったのは15年ほど前で、私が学んだ当時は古い校舎でした。昨年は創立90周年の式典にも携わり、少しは母校に恩返しできたかな、と感じています」
一番大きな仕事は、2008年の移転に伴う新築校舎の建設です。
「その2年前から、移転に関するプロジェクトを立ち上げて活動を開始しました。通常業務もこなしつつの活動だったので大変でしたが、新しい校舎を建てるという気概に満ちていました」
児玉さんの提案も採用され、校内全てにインターネットの回線が通り、ICT環境が整えられました。
在学時代から母校の変遷を見続けてきた児玉さんにとって、日出学園とはどんな存在でしょうか。
「アットホームな居心地のいい学校です。また、瑞穂会には自分の行動に責任をもって、努力を続けている人が多かったですね。そういう人格を形成する土壌を、本校がつくっているのだと思います。自分たちの頃に比べて、今の生徒のほうが明らかに努力しています。伝統の良さはそのままに、新しいことにもチャレンジしてほしいですね」
在校生から感謝のメッセージ
厳しさを教えてくれた優しい先輩
意志を引き継ぎ指導者へ

臨海学校には小5から参加しました。先生や先輩、指導員の方の声の出し方や行動が、学校にいる時と違ってとても厳しく感じました。海というひとつ間違えれば命の危険もある場所で、生半可な気持ちで臨んではいけないと態度で示してくれていたのだと思います。その時は残念ながら遠泳に選ばれず、悔しい思いをしましたが、練習を重ね、リベンジで臨んだ小6時には参加が叶いました。中学校の時はコロナで中止になりましたが、高校では指導補助として参加しました。泳いだことも、指導補助として活動したことも、とてもいい経験ができたと思っています。児玉さんは学校ではいつもにこやかですが、指導員の時は厳しい表情になります。指導の技術だけでなく、命を預かる心構えや姿勢も教えてもらいました。(高3/N・Mさん)
(この記事は『私立中高進学通信2025年9月号』に掲載しました。)
日出学園中学校
〒272-0824 千葉県市川市菅野3-23-1
TEL:047-324-0071
進学通信掲載情報

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