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私立中高進学通信

2025年9月号

今こそ心の教育

星野学園中学校

「人権の尊重」をベースにした
新たな「包括的性教育」を実践

「からだの発達」をテーマにした今年度最初の中1性教育の授業。実験から導き出された先生の話に、生徒たちも恥ずかしがることなく真剣に耳を傾けます。

「からだの発達」をテーマにした今年度最初の中1性教育の授業。
実験から導き出された先生の話に、生徒たちも恥ずかしがることなく真剣に耳を傾けます。

自分も相手も守る
正しい性知識を習得

 1897年の創立時から、知識偏重ではなく幅広い教養が身につけられる教育を重視してきた星野学園。2023年に全国の小・中・高等学校で「生命いのちの安全教育」がスタートするなか、同校でも昨年度より中学校での性教育の時間を拡充し、性暴力の被害者にも加害者にも傍観者にもならないよう、「人権の尊重」をベースにした「包括的性教育」に取り組んでいます。

 ユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に沿う形で、実験やグループワークなどを取り入れたオリジナルのカリキュラムを組み、思春期保健相談士の資格をもつ理科の東山渉先生と養護教諭の平川真椰先生が共同で授業を担当。今年度は中2・中3での外部講師の講義も含め、中1では年間5コマ、中2では4コマ、中3では3コマが性教育の授業に充てられています(中3は予定)。

理科 思春期保健相談士/東山渉先生理科
思春期保健相談士/東山渉先生

「カリキュラムは、学校行事や発達段階に即した内容にしています。中1では、7月の宿泊行事の前に男女の身体について学ぶ『からだの発達』から始め、文化祭を控えた9月には人との距離感を考える『境界線と同意』、11月にはLGBTQにも関連する『性の多様性』、3月にはSNSでのトラブルを考慮して『性と情報』の授業を行います。中2では『妊娠』『避妊と性感染症』『性暴力』のほか、本校OGの助産師の方に『いのちの始まり』というテーマで講義をしていただきます。また、中3は高1と一緒に毎年、性教育を専門とする産婦人科医の先生による講義も実施しています」(東山先生)

 性の多様性への一般的な理解が進む一方で、ネット空間には暴力性も含んだ性の情報が氾濫する現在、自分を守り、相手を守るためにも、中学年代から性に関する正しい知識を身につけることが必要と両先生は口を揃えます。

「法に定められた性交同意年齢は16歳です。5歳以上の年長者による13歳以上16歳未満との性交は処罰対象ですが、5歳差未満であれば罪に問われません。ですから18歳までと接する機会が多い学校生活においては、13歳から知っておかねばならないことなのです。自分のからだは自分だけのもの。決めるのは自分だけです。そのうえで相手のからだも相手のもの。だから『境界線』を越えるには、同意を得なければならない。同意がなければ、暴力=人権侵害になることを意識して伝えています」(東山先生)

 心身の成長については個々で違いがあり、デリケートな問題も含むため、男女共に抵抗感なく学べるよう、配慮している点も多いそうです。

「授業は『性を科学する』をコンセプトに、実験や話し合いを取り入れています。ショーツやナプキンの吸水率を比較する実験を通して経血について学ぶなど、座学だけに陥らないようにしています。性を科学的な視点からも見ていくことで、性の知識を身近な自分事としてポジティブに捉えられるようになります」(東山先生)

養護教諭/平川真椰先生養護教諭/平川真椰先生

「性について距離をおくことがないように、授業では抵抗感なく受け入れられる言葉を選んで伝えるようにしています。個々の成長差が激しい年代だけに、周囲より成長が遅れているという不安、逆に早すぎて不安になってしまうケースもありますので、個人差があることを毎回必ず伝えるようにしています。個人差はあって当たり前だとわかれば、他者を尊重する意識にもつながります」(平川先生)

 また、生徒各自でバックボーンは異なるため、授業内容をつらいと感じる場合は教室を出てもかまいません。アンケートも実施し、回答で気になる点が見られた生徒には、個別相談を実施するなどフォローも大切にしています。

「性に関することで問題が起きた場合、保護者や友人にも聞けず、安易にネットに頼って誤った情報をうのみにすることがないように、自身での対応方法も含めて教えることが大事だと感じています」(平川先生)

 学習は広範囲にわたりますが、生徒たちは先生方の想定以上に、興味をもって、しっかりと取り組むそうです。

「性に関する正しい知識を身につけ、生徒たちにはどのような選択肢があるかをしっかり考え、自分で決断できるようになってほしいと考えています。例えば、性交を『する・しない』、子どもを『産む・産まない』など、決める力を培うための授業にしたいと思っています」(東山先生)

「心のコントロールがまだ不安定な年代なので、自分のことを深く理解できるようになってほしいです。例えばジェンダーなど性に関する問題と直面した場合でも、自分のことを深く理解していれば、周囲が無理解だったとしても、違和感や不安を抱えることなく、心を整理して前に進んでいけると思うのです。自分のことを肯定できるきっかけとなる授業にしていきたいですね」(平川先生)

中1の性教育の授業。同校の性教育は、男女を分けることなく一緒に学びます。科学的アプローチを取り入れた実験やクイズ形式での問いかけなど、座学だけではない複合的な授業にすることで、生徒たちの理解も深まります。中1の性教育の授業。同校の性教育は、男女を分けることなく一緒に学びます。科学的アプローチを取り入れた実験やクイズ形式での問いかけなど、座学だけではない複合的な授業にすることで、生徒たちの理解も深まります。
中2を対象にした、OGの助産師の方による講義「いのちの始まり」。小さな受精卵から出産に至るまでの生命誕生の素晴らしさが、現場で体験してきた視点から語られます。赤ちゃんの成長について人形を使った解説も。中2を対象にした、OGの助産師の方による講義「いのちの始まり」。小さな受精卵から出産に至るまでの生命誕生の素晴らしさが、現場で体験してきた視点から語られます。赤ちゃんの成長について人形を使った解説も。
中3では、産婦人科医の先生による講義が実施されます。昨年度は埼玉医科大学の高橋幸子先生が登壇し、性的同意から子宮頸がんについてまでさまざまなトピックを、臨床医の立場から話していただきました。中3では、産婦人科医の先生による講義が実施されます。昨年度は埼玉医科大学の高橋幸子先生が登壇し、性的同意から子宮頸がんについてまでさまざまなトピックを、臨床医の立場から話していただきました。
「中学生への性教育は、段階を踏んで、学びを積み重ねていくことが大切」と東山先生。日常で生徒に寄り添っている教員が、学校生活に即した授業を数回にわたり展開していくことで、正しい知識が身につく、きめの細かい性教育が実現できます。「中学生への性教育は、段階を踏んで、学びを積み重ねていくことが大切」と東山先生。日常で生徒に寄り添っている教員が、学校生活に即した授業を数回にわたり展開していくことで、正しい知識が身につく、きめの細かい性教育が実現できます。
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