私立中高進学通信
2025年9月号
進化する高大連携
北里大学附属順天中学校(現 順天中学校)
2026年度から北里大学の附属校に!
中高大連携もさらに進化

理数選抜類型(サイエンスクラス)の生徒が、
北里大学相模原キャンパスの海洋生命科学部・研究室で環境DNAの実験技術を体験。
以前から連携教育は多彩に行われています。
生命科学・医療科学系の多彩な学部を擁する北里大学の附属校となる同校。中高大連携による高度な教育が実現し、同校ならではの探究教育がさらに強化されます。
探究を研究へとつなぐ
中高大一貫教育が実現

1834(天保5)年に大阪の南本町に創立された「順天堂塾」を始まりとし、日本の近代化とともに歴史を紡いできた順天。「英知をもって国際社会で活躍する人物の育成」を教育理念に、少人数制の習熟度別授業や課題研究に力を入れ、スーパーグローバルハイスクール(SGH)ネットワーク参加校(※)として探究活動や国際交流、社会貢献も盛んに行っています。
同校は2025年3⽉、北⾥研究所・北⾥⼤学の系列校となる協定を締結し、2026年4⽉より北⾥⼤学附属順天中学校・⾼等学校へと校名を変更することになりました。北里大学の附属校となる意義を、教育支援センター長の片倉敦先生は次のように話します。
「本校はもともと探究教育に力を入れています。中学では理科・社会科を中心にフィールドワークを取り入れた探究型授業を実践し、高校では将来の進路を見据えた探究活動に生徒一人ひとりが取り組むカリキュラムを組んでいます。
北里大学の附属校となることで、中高の段階から大学の学びに触れる機会を大幅に増やすことができます。これにより本校が掲げるスローガン『探究から研究へ、そして未来を創る人となる』に向けた教育が、さらに進化・深化すると考えています」
※スーパーグローバルハイスクール(SGH)ネットワーク参加校…順天中学・高等学校は2014年~2018年、SGH指定校として先進的なグローバル教育を実践。2021年に文部科学省がSGH事業の終了後に組織したSGHネットワークにも参加し、グローバルリーダー育成に向けた教育活動を継続。他校との連携事業などにも積極的に参加しています。
進路を見据えた探究学習に
『北里探究系』が登場

高校では現在、『理数研究系』『英語探究系』『総合探究系』という3系統の探究活動を推進しており、生徒たちは「総合的な探究の時間」と放課後を使って、興味のあるテーマについて探究活動を行っています。2026年度からは、北里大学への内部進学や医療・生命系学部をめざす『北里探究系』が加わり4系統に。これまでも北里大学の教授によるワークショップは行われてきましたが、今後はさらに多くの教授が探究学習の指導にあたる予定です。
同校ではかねてより、外部の専門家や大学の教授と連携した高度な探究活動を実践しており、その成果を外部コンテストなどで発表することも奨励。国際的な賞を受賞したり、世界規模の素粒子実験の高校生メンバーに選ばれたりと、高い評価を得てきました。
「今後の探究活動では大学レベルの学びが可能となり、より高度な研究に着手できると考えています。その成果は大学進学において、総合型選抜や学校推薦型選抜、また課外活動が重要となる海外大学進学においても活かせるはずです」
基準点を満たせば
北里大学へ内部進学可能
附属校となることで、生命・医療科学系の総合大学である北里大学への内部進学の道も開けます。
「学業成績基準や定員などは今後決定しますが、希望進路と合致し、学業成績が基準に到達していれば、全ての学部・学科へ内部進学することができます。
附属校となる利点は、受験勉強に時間を割くことなく、自分の興味・関心を突き詰めながら、希望する学部・学科に進学し、さらに研究を発展させていけるという点です。
本校は国際系、文系進路にも同様に力を入れており、国公立や難関私立、海外大学と、生徒の進む道はさまざまです。他大学への進学を希望する場合でも、従来どおり手厚いサポートを行います」
こうした環境で育てたいのは、より良い社会をつくるために新しい価値を創造できる“イノベーションマインド”だと片倉先生は語ります。
「大学進学後、そして社会に出た後も、自ら課題を見つけて解決に導き、新たな価値を創造できる人材に育ってほしい──それが本校の願いです。中高大一貫教育の実現により、高度な探究活動をはじめ、生徒の将来につながる力をより育んでいける環境となります。今後も生徒一人ひとりが希望する進路を切り拓けるよう、万全のサポート体制を整えていきます」
連携①
多くの研究成果が国際コンテストで入賞

探究活動を活発に行う同校では、その成果を外部コンテストで発表することを推奨。生徒のテーマに応じて外部の専門家や大学教授を招くなどサポート態勢も万全で、生徒たちは毎年ハイレベルな探究に取り組み、これまで、さまざまな賞を受賞しています。
高3の跡部蒼さんは、他校との高校生とともに結成した女子高生のチーム「Sakura Particles」に所属しており、チームは欧州合同原子核研究機関(CERN)が主催する国際素粒子実験コンテストで最優秀賞を受賞。2024年にスイスにあるCERNの実験施設で素粒子実験を行いました。跡部さんはその取り組みと並行して雷に関連するガンマ線の発生を研究しており、アメリカ・ニューメキシコ州にあるラングミュア気象研究所に招待を受け、約2週間、研究留学をして、現地でのガンマ線観測の研究に参加する機会に恵まれました。
また、高3の内藤醍希さんは、ミドリムシを使って日焼け止めの成分ベンゾフェノンが淡水域生態系に及ぼす影響を研究。「Global Link Queensland2024」で銀賞を受賞したほか、「筑波大学論文コンテスト」で最高賞の「科学の芽賞」も受賞しました。
連携②
大学教授や卒業生などを招いて学ぶ
『グローバルウィーク』

SGHネットワーク参加校活動の一環として「立場を超えて互いに学びあう1週間」をスローガンに、大学教授やNPO、社会で活躍する卒業生などを招き、文系・理系の幅広い分野についてのワークショップを行う『グローバルウィーク』。トピックはジェンダー、環境問題、世界経済など多岐にわたり、中3生は1つ以上、高1・高2生は2つ以上のトピックへの参加が必修です。2024年度は北里大学の教授11名が話題提供者として登壇しました。今年度は同大からさらに多くの教授が登壇予定です。
内部進学者は高3から大学の一部単位を取得

北里大学は、「生命科学の総合大学」として、医学・薬学・獣医学・海洋生命科学・未来工学など9学部を擁し、感染制御・農医連携・チーム医療教育など学際領域にも注力。附属3病院と連携した実践型教育と高度研究を展開しています(写真は北里大学相模原キャンパス/https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/campus-guide/index.html)。附属校となることで内部進学が可能となり、内部進学者には大学の一部単位が高3から取得できるAPプログラムを導入予定です。
(この記事は『私立中高進学通信2025年9月号』に掲載しました。)
北里大学附属順天中学校(現 順天中学校)
〒114-0022 東京都北区王子本町1-17-13
TEL:03-3908-2966
進学通信掲載情報

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