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私立中高進学通信

2025年8月号

実践報告 私学の授業

東洋大学京北中学校

東洋大学と連携した理数探究
『未来の科学者育成プロジェクト』

「なぜ?」を問い続けていく探究力を育てる

探究シーン1
『未来の科学者育成プロジェクト』でのクマムシの実験。
中学生のうちから、大学の先生とテーマについて直接話し合えるのはこのプロジェクトならではのメリットです。

 中3生の希望者が、東洋大学との長期連携プロジェクト活動を体験。たくさんの疑問をもち、実験を繰り返しながら知見を深めます。

「なぜ?」を深掘りし
失敗から学びを得る経験を
理科教諭・理数教育推進委員会 委員長/齋藤楓大先生理科教諭・理数教育推進委員会 委員長/齋藤楓大先生

『本当の教養を身に付けた国際人の育成』をめざし、哲学教育(生き方教育)を基盤に、国際教育、キャリア教育、学習指導を展開する東洋大学京北。理数教育にも力を入れており、中3の希望者を対象に、東洋大学理系学部と連携して研究に取り組む『未来の科学者育成プロジェクト』を実施しています。

「2019年にスタートし、今年で7年目を迎えました。定員は40名前後ですが人気が高く、毎年定員を超える希望者が集まるため、面接などで選考を行っています。
 6月から翌年の1月頃まで、大学の先生に相談したり、フォローをいただいたりしながら、月に1回程度、校内の理科室や大学の研究室を利用して実験を重ね、3月には全校生徒の前で研究成果を発表するスケジュールです。2024年度は、食環境科学部・生命科学部・健康スポーツ科学部の教授陣から指導を仰ぎ、理系のさまざまなテーマを探究しました」(理科教諭・理数教育推進委員会 委員長/齋藤楓大先生)

 プロジェクトでは高度な実験も行うため、研究の過程で失敗することもあると齋藤先生は言います。

「生徒たちには、挑戦しトライ&エラーを繰り返すなかで、『失敗』からも学びが得られることを経験をしてほしいですね。プロジェクトを通じて、生徒たちは粘り強く物事に取り組む力やプレゼン力、成果をわかりやすく表現する力を身につけ、成長していきます」

 中高大連携のこのプロジェクトに端を発し、校内での理系プロジェクトもスタート。2020年度からは高1・高2を対象とする『KSST(KEIHOKUスーパーサイエンスチーム)』、2022年度からは中学生を対象とする『KSST Jr』も始動しています。

「KSST Jrでは、観音崎臨海実習(中1)や勝浦臨海実習(中2)、伊豆大島フィールドワーク(中3)を行います。生徒の意欲は高く、7~8割の生徒がいずれかに参加しています」

実験やフィールドワークで
「理科好き」を育てる
探究シーン2 研究成果を発表する「未来の科学者育成プロジェクト報告会」の様子探究シーン2
研究成果を発表する「未来の科学者育成プロジェクト報告会」の様子。「チームによって寸劇を取り入れるなど、発表方法にいろいろな工夫をしていました」(KO・Yさん)

「中学で実験中心の授業やフィールドワークを体験したことで、入学時に「理系科目が苦手」と言っていた生徒の多くが「理科好き」になると齋藤先生。さらに、理科の授業やプロジェクトを通して、考察力や探究力を培うことも目的だと言います。

「普段の授業でも、これらの力を高めることを意識しています。理科の授業は実験中心で行い、結果をレポートにまとめてもらい、教員は『文章のつながりがわからない』『この記述の根拠は?』など、細かいところまでチェックを入れてフィードバックしています。こうして鍛えた考察力や表現力、記述力は、他教科にも活きてきます。
 本学の建学の精神は、『諸学の基礎は哲学にあり』です。哲学とは、物事の根拠を突き詰めて考え、より良い社会やより良い生き方を探究し、問い続けていくことです。生徒たちには、学びの基礎となる物事の本質を見つめ、深く考え続ける力を身につけてほしいと期待しています」

生徒インタビュー
研究の楽しさ、面白さに目覚めた学習体験 『未来の科学者育成プロジェクト』に参加した生徒に聞きました!

 中3時に『未来の科学者育成プロジェクト』に参加した現高1のKO・Yさん(Bチーム)、KA・Yさん(Cチーム)、O・Kさん(Fチーム)。チームで取り組んだ研究内容や成長を感じたこと、普段の授業で役立ったことなどについて語っていただきました。

KO・Yさん(高1)食事環境と摂食量の関係を研究したKO・Yさん(高1)
KA・Yさん(高1)グルテンフリーの麺づくりを研究したKA・Yさん(高1)
O・Kさん(高1)クマムシの研究をしたO・Kさん(高1)

――参加したきっかけや理由は?

KO・Yさん
理科に苦手意識があり、少しでも好きになれればと思って参加しました。

KA・Yさん
私は、先輩のチームが「知育菓子を再現する」研究を発表会で披露したのを見て興味をもちました。調理と科学のつながりが興味深かったので、食環境科学部のテーマを選びました。

O・Kさん
理科が好きで、KSST Jrの活動にも参加していました。大学と連携した本格的な研究が楽しそうだったのでやってみたいと思いました。

――どんな研究をしましたか?

O・Kさん
私は、先輩の研究を引き継いで、『クマムシの復活条件の検討』を行いました。クマムシは、過酷な環境下では全ての代謝を停止する「乾眠状態」になるのですが、どのような液体を与えれば「復活」するのかを実験しました。ジュースなどの身近な液体を使ったり、砂糖水の濃度を変えたりして実験を重ね、復活には「浸透圧」が関係しているのではと考察しました。

O・Kさんのチームが作成したスライドの一部

O・Kさんのチームが作成したスライドの一部。研究したクマムシはコケから採取し、スマホ顕微鏡を使って観察しました。

KO・Yさん
僕のチームは、『食事環境の整備で摂食量をコントロールできるのか』を研究しました。食事環境の色や音を変えることで、「摂食量」が変わるのかを調べました。お皿の色を赤や青にした際に摂食量がどう変化するのかなどを、友人にも協力してもらって実験しました。

O・Yさんが所属したチームでは、皿の色で感じるおいしさが異なることを実験しました

KO・Yさんが所属したチームでは、皿の色で感じるおいしさが異なることを実験しました。

KA・Yさん
私のチームでは、『食物繊維が豊富なグルテンフリーの麺をつくることはできるか?』をテーマに研究しました。小麦粉の代用品として米粉や大麦粉を使うなどして試行錯誤を重ね、おいしく食べられるオリジナルのグルテンフリー麺をつくることができました。

O・Kさんのチームが作成したスライドの一部

アレルギー対策で求められるグルテンフリーの麺を、おいしさも追求しつつ研究しました。

――プロジェクトを通して身についた力や成長したと感じる部分は?

KO・Yさん
理科は難しい科目だと思っていましたが、実験を繰り返すことで複雑な内容が理解できたと実感しました。「もっと深く知りたい」と勉強に前向きな気持ちがもてるようになりました。

KA・Yさん
実験で失敗しても、ただの失敗と捉えるのではなく、「次に成功するためにはどうすればいいんだろう?」と前向きに考える力がついたと感じます。

O・Kさんのチームによる校内研究発表会の様子O・Kさんのチームによる校内研究発表会の様子。クマムシの特殊な性質をわかりやすく解説。

O・Kさん
研究や考察がとても楽しく、もっといろいろ挑戦してみたいです。中1から授業でたくさん実験に取り組み、実験の手順や取り組み方、レポートの書き方などを普段から習っていたので、プロジェクトも手際よく進められたかなと思います。

――将来なりたい職業や今後の目標は?

O・Kさん
もっと実験や研究に取り組めるような大学に進みたいです。

KA・Yさん
夢は警察官です。大学は法学部に進学して、将来に備えておきたいです。

KO・Yさん
僕は英語が好きなので、英語を活かせる仕事に就きたいです。

――受験生へのメッセージをお願いします。

O・Kさん
研究活動や課外活動、フィールドワークなど、理数系のチャレンジの機会がたくさんあるので、理科に興味がある人は、ぜひ来てください!

KA・Yさん
理数以外にも哲学や国際など、自分で選んで挑戦できる活動があるのも魅力です。何かに挑戦してみたいと考えている人に、おすすめの環境です。

(この記事は『私立中高進学通信2025年8月号』に掲載しました。)

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