私立中高進学通信
2025年8月号
注目! News and Topics
文化学園大学杉並中学校
日本の教育・社会にイノベーションを!
学校併設の教育研究機関『BSICE』を設立

2025年、教育現場で培われた経験と自由な発想を基盤に、
子どもたちの未来に必要な学びを促進する教育研究機関『BSICE』を設立しました。
新教育デザインを意識した
学校改革に手応え
2015年のDD(ダブルディプロマ)コース設立を皮切りに、さまざまな学校改革を行ってきた同校。理事長補佐として、生徒主導による学習環境の構築を推進してきた染谷昌亮先生に、これまでの改革内容を聞きました。
「2015年に設立したDDコースは、本校に在籍しながらカナダのカリキュラムで学び、卒業時には日本だけでなく英語圏の卒業資格も得ることができるコース。当初は高校だけでしたが、現在は中学生も選択できるようになっており、全体の半数以上の生徒がカナダの教員による授業を受けています。卒業生の約3割が海外へ進学し、グローバル力を磨いています」
2018年には女子校から共学校となり、多様な価値観を学びながら探究活動にも力を入れています。また、2020年にはSTEAMプロジェクトを開始。教科の枠にとらわれず、生徒が自ら考え行動しながら学ぶ、課題解決型学習を実践しています。
「学びの場は学校にとどまらず、企業や大学、NPО法人といった外部と連携したプログラムを実現し、社会とのつながりを強めています。大切にしているのは、生徒主体の教育。対話と協働、講義型ではなくプロジェクト型を重視した本質的なグローバル教育が求められています」
学校併設の教育研究機関
『BSICE』を設立

10年間におよぶ改革を経て「生徒たちの学習観や教員の教育姿勢が変わっていく様子を目の当たりにしてきました」という染谷先生。学校法人として、社会的に役立つ知見を自校のなかだけでなく、もっと社会に役立てようという考えのもとに今年度、学校併設の教育研究機関『BSICE』を設立しました。
「『BSICE(Bunka Suginami Innovation Centre for Education:文化杉並教育イノベーションセンター)』は“学校から社会の明日を照らす”をキャッチフレーズに、学校教育現場そのものをフィールドとした教育研究活動を行い、教育イノベーションを推進します」
活動指針として、①教育現場に根差した研究活動 ②学校の“今”を否定しない ③オープンイノベーションを促進する、の3つを掲げます。
「私を含め、スタッフのほとんどは、教員あるいは教職経験者です。だからこそ、教育現場に根差した活動が可能ですし、学校の文化・伝統・現状を否定しません。③オープンイノベーションの推進については、すでに本校で先行して5年前から企業、大学、自治体、NPО法人等と連携してSTEAMプロジェクトを進めており、専門的な知識や技術を学校教育に取り入れています。そのノウハウをオープンにして、日本の学校教育全体に役立てたいと考えています」
具体的には、新しい授業論を提案する「プログラム開発」、教員を養成し教員の働きがいを再構築する「教員養成・支援」、学術的なアセスメントを通じて社会的な価値提案を行う「教育効果測定」の3部門を開設し、今夏から本格始動しています。
2026年度より
高校に新コースを開設
『BSICE』のさらなる発展をめざし、2026年度より高校に新コース「イノベーションリーダーズコース」の設置を構想中です。新しいアイデアを創出するだけでなく、アイデアを実現できる人、デザインや具体化をリードできる人を育てていくのが目的です。
「伸ばしたいのは、0を1にする“生み出す力”、人に伝えて仲間になってもらう“巻き込む力”、ものづくりや事業構築といった“形にする力”の3つです」
カリキュラムとしては、従来の教科授業を通して社会の“当たり前”を学ぶ「基礎科目」、学校外部のパートナーを活用して実践をもとに教養を磨く「学校設定科目」、そして生徒が自分でプロジェクトをデザインし実践する「iプロジェクト」を準備しています。
「進路イメージは、総合型選抜等の推薦による大学進学から起業などで、日本社会をリードできる人材育成をめざしています」

年間10件程度の外部連携をしながら、社会課題やロボットプログラミング、キャリア教育などさまざまなテーマで活動しています。

生徒が日本各地の有機農家を訪問し、学校給食でオーガニック給食を実現。この活動は農林水産省の補助金採択を受けました。

(株)トータルメディア開発研究所と協働で、博物館を活用した新しい学校像を追究しています。

東京学芸大学やカナダのブリティッシュコロンビア州と連携し、教職員研修や授業デザイン研究を実施しています。

『BSICE』の概要イメージ。企業などの「プログラムパートナー」と直接つながり、新しい学校像を追究。
その過程を支える資金やシステムを「リソースパートナー」から募ります。
文大杉並をはじめとする「メンバースクール」は研究フィールドとして機能するとともに、
教育イノベーションの起点となります。
新しい学校教育・人材育成を!

染谷昌亮先生
大学卒業後に教員となるも、日本の学校教育の在り方に疑問をもち香港へ渡る。海外でさまざまな教育手法を学び、帰国後は文化学園大学杉並中学・高等学校の学校改革に従事。
「香港の子どもたちは自分の人生を生きている目をしていたのが印象的。本校で行う学校の枠を越えた教育研究活動を通じて、日本の生徒や教育をより良くしていきたいです」
(この記事は『私立中高進学通信2025年8月号』に掲載しました。)
文化学園大学杉並中学校
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南3-48-16
TEL:03-3392-6636
進学通信掲載情報

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