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私立中高進学通信

2025年8月号

実践報告 私学の授業

田園調布学園中等部

多角的・複眼的な視点を養う
分野の垣根を越えた『教科横断型授業』

知識や技能を総合的に活用する力を育成

探究シーン1
「家紋」をテーマに、その歴史的背景を知り、数学の作図法で家紋の作図にも挑戦した中1の「数学×歴史」教科横断型授業。
数学科と社会科の教員がタッグを組んで授業を展開します。数学科の細野先生が作図を指導。

 知識や技能を総合的に活用する力を伸ばすため、全ての学年で『教科横断型授業』を実践。多角的なものの見方を学び、創造的な思考力・探究力を磨きます。

教科横断型の学びで
苦手科目の克服にも効果
授業の後半は、実際に「家紋」を作図。正三角形、垂直二等分線、垂線、円の接線など、使っている作図方法は数学で学習した基礎的なものばかりです。探究シーン2
授業の後半は、実際に「家紋」を作図。正三角形、垂直二等分線、垂線、円の接線など、使っている作図方法は数学で学習した基礎的なものばかりです。

 1926年の創立以降、人生を切り拓くための力を育てる教育活動を展開し、ディプロマ・ポリシーの一つとして『広い視野を持ち、よりよい社会の実現に向けて常に探求し実践できる人』の育成を掲げる田園調布学園。探究学習に力を入れ、高2までの学年で週1コマ、課題解決学習や個人探究の授業を実践し、教科横断型授業も積極的に行っています。

「『広い視野』を育てるためにできることを具体的に考え、教科横断型授業を試みて好評だったことが導入のきっかけです。本格的なスタートから今年で8年目を迎えます。これまでに全ての教科で実施しており、約50の実践例があります。年によって実施回数にばらつきがあるものの、全学年の生徒が年に数回は受講することになります」(副教頭・理科主任/入英樹先生)

 教科横断型授業では、各教科の教員が指導にあたり、チームティーチングで授業を進めます。

「生徒たちは教科横断で学ぶことにより、さまざまな事柄の意外なつながりを知り、ワクワクして授業に臨んでいます。深い知識に基づくわかりやすい解説は、当該教科の先生だからこそ。生徒に専門分野への深い学びをもたらすうえで、チームティーチング体制は効果的です」(入試広報部長・数学科/細野智之先生)

 この下で紹介する授業のほかにも、「物理×数学(高2)」「保健体育×生物×養護(高2)」など、さまざまな科目で教科横断型授業を実施しています。

「音楽×数学(中3)」では、モーツァルトが実際にやっていたという「音楽のサイコロ遊び」を実践。サイコロの出た目に従って楽譜をつくり、できあがった曲を聴き比べながら、数学の確率や統計の観点で分析しました。

 こうした教科の組み合わせや題材に関しては、先生方の雑談のなかから生まれることも多いといいます。

「ふとした瞬間にアイデアが生まれたり、教員同士が相談して構想がスタートしたりすることもあります。すぐに実現は難しくても、時間をおくことで具体的な授業展開が見えてきて、形になるケースもあります」(細野先生)

 教科横断型授業は生徒にとって印象深く、苦手科目の克服や教科のレベルアップにもつながると入先生。

「歴史は得意なものの数学は苦手な生徒が、教科横断型授業をきっかけに、『数学も意外に面白い!』と興味をもてるようになるなど、ポジティブな変化が見られています。
 今後も、教科の学びが深まるテーマを意識し、目的を明確にした教科横断型授業を増やしていきたいと考えています」(入先生)

授業レポート
中1から高3まで、多彩な組み合わせで授業を展開
田園調布学園オリジナルの『教科横断型授業』実践例
実践例 1
「家紋」を知り作図する
数学×歴史(中1)
夏休みの課題で生徒が作図したオリジナル家紋1
夏休みの課題で生徒が作図したオリジナル家紋2

夏休みの課題で生徒が作図したオリジナル家紋。

 数学科と社会科の先生による「家紋」についての授業。日本に古くからある「家紋」の文化や歴史的背景について、さまざまな種類の家紋を見ながら学びます。また、家紋が数学的な作図方法と密接につながっていることを学び、数学の授業で学習した基礎的な作図方法を活用して実際に家紋を描き、夏休みにはオリジナルの家紋を作る課題に取り組みます。

「実際に手を動かし、楽しみながら家紋づくりに挑戦することで、数学の作図に対する苦手意識をなくしています」(細野先生)


実践例 2
名画を読み解き再現する
国語×美術(中2)
生徒が再現したレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』。 生徒が再現したレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』。

 中2の国語で扱う『君は「最後の晩餐」を知っているか』(布施英利/光村図書)という美術作品の評論文を教材にした授業。この評論は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作『最後の晩餐』は、なぜ「かっこいい」のか、「遠近法」「明暗法」などの言葉を用いて科学的に説明しています。

 授業では、読解を深めるため、美術の教員が本文内の「美術の絵画技法」について専門的に説明。文章で表現されている絵画を実際に「演じる」ことも体験し、イメージを具体的に捉えます。


実践例 3
ICカードの仕組みを体感する
情報×物理(高3)
ICカードと同じ仕組みのコイルを自動販売機のICカードリーダーに近づけ、LEDが点灯するかを実験します。 ICカードと同じ仕組みのコイルを自動販売機のICカードリーダーに近づけ、LEDが点灯するかを実験します。

 高3では、「情報」と「物理」の科目を横断する授業を実践。電磁誘導を利用して情報がやりとりされる、SuicaやPASMOといったICカードの原理をはじめとした自動認識技術について、その仕組みを体感的に学びます。

 LED付きのコイルを自動販売機のリーダにかざして、LEDがどのような条件で点灯するかを検証するなど、今当たり前に使っている仕組みがどのような技術的背景で運用されているのかを、実験や体験を通して学びます。

ココも注目!①
大学や社会で役立つ
多角的に物事を見る姿勢を養う
副教頭・教務部長・理科主任/入英樹先生

 ある年に、「物理×数学」の教科横断型授業で取り組んだ内容が、そのまま大学入学共通テストで出題されたこともありました。そもそも多くの社会課題は、さまざまな問題が複雑に絡み合って存在しています。教科横断型授業を通して、社会課題解決のために必要な、多角的に物事を見る姿勢を養ってほしいと期待しています。

 今後は、教科横断型授業の実施で生徒にどのような変化があったのかを、目に見える形で検証していきたいと考えています。(副教頭・教務部長・理科主任/入英樹先生)


ココも注目!②
生徒の心に残る
「楽しい」教科横断型授業
入試広報部長・数学科/細野智之先生

 どの教科横断型授業も、生徒の楽しんでいる姿が印象的です。実は授業を考える時は、教員もワクワクしながら取り組んでいます。このような授業のため生徒の心には強く残るようで、卒業生に話を聞くと、「あの授業をよく覚えています」と教科横断型授業の思い出を挙げてくれることが多いんです。これほど多くの教科横断型授業を実践している学校は、なかなかありません。苦手科目に興味をもつきっかけにもなりますので、ぜひ体験してみていただきたいですね。(入試広報部長・数学科/細野智之先生)

進学通信 2025年8月号
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