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私立中高進学通信

2025年8月号

私学の先生だから数学・理科・情報が面白い!

獨協中学校

数学史を絡めた導入タイムで
生徒たちの好奇心を刺激

中1の幾何の授業風景。この日のテーマは「円と扇形の計量」。

あるゲームをきっかけに
数学に目覚める
数学科主任 香山淳 先生数学科主任 香山淳 先生
実は漢検1級を勉強中。
数学史の著書も数冊出版している。

 140年以上にわたり男子のみを育ててきた獨協は、理系分野の道に進む卒業生を数多く輩出してきました。そんな“リケダン(理系男子)”の興味をそそる数学の授業を展開しているのが、数学科主任の香山淳先生です。

「数学の面白さに気づいたのは、少年時代に楽しんだゲームがきっかけでした。限定で使えるブーストがあって、それを使うと230点が253点に、270点が297点に変化しました。ブーストを使った点数は、もとの数の一の位を取った数を、もとの数に足せばいいと気づけた時のうれしさが、数学を好きになった原点だと思います。高校時代は数学の問題も難しくなってきて、何度も途中式を書き直して正解にたどり着いた時の快感に取りつかれていました。大学に入ってから今に至るまでは、数学史をひもといています。古代のメソポタミアやエジプト、中国の人々が編み出した解法からどうやって現代の数学に到達したのか、先人たちがたどってきた道を自分も追体験していくところに面白みを見いだしています」

数学を通して知ってほしい
人生に必要なこと

 数学の授業を通して、生徒たちには自分の意見を理論立てて説明できるようになってほしいと香山先生は期待しています。

「証明問題は、自分の考えを論理的に説明して答えを導き出します。これは実社会でも役に立つと思うんです。例えば、海か山に行こうという話が出た際、『海に行きたい、海に行きたい、海に行きたい』と3回唱えたところで主張は通らないですよね。でも、『なぜ海が好きなのか、なぜみんなで海に行きたいのか』とポイントを整理して説明すれば、その主張が通る可能性は高くなるわけです」

 また数学は、注意深さも身につけることができると香山先生は話します。

「例えば、扇形の弧の長さを出す小問1があって、小問2で扇型の面積を求める時、小問1の答えを使って小問2の答えを導き出すこともできます。しかし、小問1で間違えた答えを出していたら、小問2も連動して間違えてしまいますよね。いつでも慎重に物事を進めるべきだという教訓を、数学を通じて学ぶことができると思います」

こだわり その1
楽しい導入タイムで生徒の関心を集める

 新しい単元に入る際、香山先生が授業の冒頭に必ず設けているのが導入タイムです。楽しいイントロダクションで生徒たちの好奇心を刺激することが、スムーズに学習へ入るための第一歩になると語ります。

「導入タイムで、いかに生徒たちの興味を引きつけられるかがポイントだと重要視しています。中1は素直で、小学生時代に算数が得意だった生徒も多く、積極的に授業に取り組んでくれるので、こちらが投げた球にしっかりとリアクションを返してくれます。ただ、導入でしくじった時はその後の授業展開や生徒たちの習得度にも響いてしまう感覚があります。どうすれば彼らの興味を引けるかという点にかなりの知恵を絞っています」

 導入タイムで香山先生がしばしば取り上げるのは、数学史の分野です。

「私が数学史を研究していることもあって、数学史を絡めたクイズ形式で導入授業を行うことが多いですね。今日も、『12月21日は何の日?』と生徒たちに尋ねて、『1月1日から355日目』と答えた生徒がいたので、そこから話を派生させ、355を113で割ったら3.141592……と円周率πの近似値を発見した中国の数学者・祖沖之そちゅうしについて触れたり、πというのはギリシア語でいずれも周辺・円周・周を意味する ϖ μ (ペリメトロス)の頭文字だと話したりしました。数学は現代になって生まれた学問ではなく、紀元前からさまざまな数学者たちが連綿と成長させてきた知のバトンです。その歴史を経た上で、今、彼らが勉強できるということも知ってほしいと思っています」

導入タイムでは、数学史を絡めたクイズを出題。円周率の近似値が3.14であるため、3月14日は円周率の日に制定されています。
手に持った「プラトン立体」と呼ばれる正多面体は、香山先生が敬愛するピタゴラスとテアイテトスが発見しました。
こだわり その2
授業では、教科書ではなくプリントを使用

 この日の授業は、「円と扇形の計量」がテーマ。導入部分を経て生徒がひと通り円周率に関心をもったところでプリントが1枚配られました。

「教科書には答えが載っているので、教科書は用いずにプリントを使って授業を進めていきます。導入の時間もこちらに意識を集中してほしいので、プリントを配布するタイミングはイントロダクションが終わった後。プリントは、5年前に作られたものをもとに、各数学教員が受けもつ学年に合わせて少しずつ改良しています。だいたい50分の授業で1枚のプリントが終えられるように配分して作っています」

 プリントをもとに授業を進めながら、生徒が疑問に思うところはもらさずフォローします。

「例えば、『半径r、中心角a°のおうぎ形の弧の長さℓを出す』という今日の問題ではℓ=2πr×a/360という答えになりましたが、『2と360を約分できるよね?』『×はなんで省略されていないのかな?』といった発問をして、より印象づけるような形で生徒にアプローチします。今日の授業も『小学校で習った円周率3.14は、中学校からはπに置き換えるだけだよ』と教えたら20分で終わってしまうテーマです。でも、それでは受け流されて頭に残らないかもしれない。もし、楽しい授業で興味を引けたら印象に残りますよね。そんな授業を重ねることでどんどん数学が面白くなっていくと思うんです。わかりやすく面白い授業を展開すること、これが私のモットーですね」

香山先生の授業をイキイキとした表情で積極的に受ける中1の生徒たち。
この日授業で配布されたプリントは、香山先生が作成したオリジナル。

(この記事は『私立中高進学通信2025年8月号』に掲載しました。)

獨協中学校  

〒112-0014 東京都文京区関口3-8-1
TEL:03-3943-3651

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