Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

X フェイスブック

私立中高進学通信

2025年8月号

実践報告 私学の授業

女子美術大学付属中学校

独自の美術教育と
『デザイン思考』で育む創造力

アートの力を社会貢献に活かす

探究シーン1
チームでの話し合い中心になる高3『デザイン思考』の授業。
ときには先生も交え、アイデアを膨らませていきます。

 美術教育を軸に知性と感性を磨き、創造性豊かな人材を育成している同校。デザインコースでは高3で、デザインを社会に役立てる方法を模索する「デザイン思考」に取り組みます。

基礎から専門的な学びまで
独自の美術教育を展開

 女子美術学校(現女子美術大学の前身)の付属校として、1915年に設立された女子美術大学付属。日本で唯一の美術大学付属となる中高一貫校として、「智の美」「芸の美」「心の美」という3つの美を重視した教育を展開しています。

「本校では、中1から高校・大学まで一貫した、段階的な美術教育を行っています。中学では美術の授業を週4時間実施。中1・中2では、絵を描くことやものづくりを通して美術の基礎を楽しく学び、中3では、絵画とデザイン両方の基礎を身につけます。
 高1では、週6時間の美術の授業で『絵画』『デザイン』『工芸・立体』の基礎を学び、コース選択の準備を行います。また、週1時間の美術史の授業も設けています。高2からは、絵画、デザイン、工芸・立体の3コースに分かれ、週10時間の専門的な授業を通じて各分野の基礎力を高め、専門性を深めていきます」

 独創的なアイデアや創造力を活かしてグローバルに活躍できる人材を育成するため、「英語で表現する力」「自分らしく伝える力」「論理的に思考する力」を重視し、美術をはじめ各教科で多様な教育活動を展開しています。

チームでの制作を体験する
『デザイン思考』の授業

 今回取材したのは、高3・デザインコースの『デザイン思考』の授業です。

「高2までは個人による制作が多いのですが、高3ではチームによる活動を増やし、互いの意見を認め合う過程を経験します。仕上がった作品も大切ですが、そこに至るまでの『考えるプロセス』も大事になるということを、生徒に体験してほしいと思います」

 この授業を担当する藤原先生は同校の卒業生であり、設計事務所での勤務経験を経て母校の教員となりました。在学中に培った力が、仕事をするうえで大いに役立ったと語ります。

「デザインや建築など多くのビジネスの現場では、チームで仕事を進めることが求められます。発想力や創造力を鍛えるだけでなく、協調性やリーダーシップ、相手に伝える表現力なども重要になってきます。プロのデザイナーとして活躍する卒業生からも、チームで行うデザイン授業の経験が仕事に役立っているという声をよく聞きます。
 本校には、デザイン力や発想力、技術力などに優れた生徒が多く在籍しています。『デザイン思考』の授業を通じて、こうした力を実際に形として創造し、社会や課題解決に活かせる力を身につけてほしいと期待しています」

授業レポート
デザインを社会とつなげるプロセスを学ぶ
デザイン思考で身近な課題を解決する力を育む

 デザイン思考は、スタンフォード大学のデザイン教育を支えたハッソ・プラットナー氏が広めた課題解決のための考え方です。デザイン分野にとどまらず、多様な分野での問題解決に活用できることから、近年ますます注目を集めています。

 同校のデザイン思考の授業では、身近な課題をデザインの力で解決する作品づくりに取り組み、制作した作品をプロも参加するデザインとアートのコンペティション「TOKYO MIDTOWN AWARD」に応募します。

 デザイン思考は、「共感」「定義」「概念化」「試作(プロトタイプ)」「テスト」という5つのプロセスで構成されます。同校の授業もこれらに沿って全6回で進行します。

 今回取材したのは2回目の授業。1回目では、日常で感じる課題を付せんに書き出し、解決策をグループで考えました。2回目となる今回は、アイデアをイラストにして発表。3回目以降は、発表されたアイデアをもとにデザイン案を作成して意見を出し合う「テスト」を行い、コンペ応募用のA3ボードを仕上げていきます。多彩なアイデアが作品として形になっています。

探究シーン2
1回目の授業で生徒たちが「日常のなかで気になる(課題となる)ヒト・モノ・コト」を書いた付せん。「遠くを見る機会が少ない」「迷惑行為」「満員電車ストレス」「物価高」など、さまざまな意見が出ています。
探究シーン3
自分たちが書いた付せんを見ながら、解決策になりそうな方法をチームで話し合います。
探究シーン4
解決策として出てきた具体的なアイデアを、課題の付せんとセットで貼ります。例えば、「選挙行こうぜ!」の課題には、「グッズをつくる」「推し活と組み合わせる」などをマッチング。
探究シーン5
出てきたアイデアを、具体化してイラストに描きます。
探究シーン6
アイデアをグループ内で発表します。「お菓子が小さくなっている!」という課題に対して、「内容量の見えるクリアパッケージ」を提案する生徒。
ココも注目!
デッサンなどの基礎を固め、ビジネスの現場でも生きる力を
美術科/藤原典子先生美術科/藤原典子先生

 本校ではデッサンを中心に、基礎を重視した美術教育で、ビジネスの現場で活躍するための基盤となる力を養成しています。ビジネスの現場でデジタルワークが増えている現状を鑑みて、2024年度から1人1台が使用する各タブレット端末にAdobe Creative Cloud(※)を導入しています。

 鉛筆でのデッサンも大切にしながら、デジタルでのアウトプット力向上にも力を入れています。

※ Adobe Creative Cloud…フォトショップやイラストレーターなど、アドビが提供するソフトのサブスクリプションサービス。

2024年
2023年

「女子美祭」のポスターは、毎年全コースの高2生が制作しており、使用するポスターは投票で決定されます。
写真は、2023年と2024年の最終選考で選ばれたポスター。

高2のデザインの授業では、オリジナルデザインのシューズを制作。外部コンペの「ファッションシューズコンテスト」に応募しました。

進学通信 2025年8月号
紹介する学校
共学校 共学校   女子校 女子校   男子校 男子校
この号のトップに戻る 進学通信一覧を見る
ページトップ