私立中高進学通信
2025年8月号
基礎学力の育て方~こんなに成長しました!~
江戸川女子中学校
やるべきことを明確に伝え
家庭学習の習慣化を促進
中1・英語の授業風景。プロジェクター型の大きな電子黒板を活用して、わかりやすく解説。
板書の時間を省き、説明を増やすなど工夫を凝らしています。
生徒に寄り添い、可能性を最大限に引き出し、「さらに上へ、さらに伸ばす」教育に注力する同校。中学入学と同時に、ていねいで細やかな学習指導が始まります。
予習・復習を習慣づけ
自分で解く力を培う
中2までに中学3年間の学習を終わらせる先取り教育を採り入れ、中高6年間で生徒一人ひとりの学力を最大限に伸ばす指導を続けている江戸川女子。学力伸長の実現には、中1段階から家庭での学習を徹底することで基礎固めを行う、細やかな導きがあります。
「中学でつまずきがちな数学では、『今日の授業ではここまで学んだから、問題集の何番から何番までは解けるようになりましょう』というように、各教科で復習範囲を具体的に提示しています。『毎日、○時間勉強しましょう』という指導では意欲が続かない生徒も、やるべきことが明確になり、時間をかけた家庭学習が必然的に習慣化していきます」(中学教頭・中学入試対策委員/熊谷和也先生)
「中学の学びで大切にしているのは、基本的な部分をしっかり理解したうえで、解く力を身につけることです。副教材には、基本問題と解説が豊富なものを各教科で選んでいます。自分で採点をして解説を読んで理解する。その流れを習慣化することで、家庭学習に向かう意欲を高めています」(中1学年主任・中学入試対策委員/水嶋瞳先生)
また、授業に集中し、自宅でその内容を振り変えることができるよう、入学当初からノートの使い方も指導します。
「ノートは余白を贅沢に使い、数学では計算を間違えてもそれを消さず、どんどん書き足すように指導します。授業中は説明を理解できたと思っていても、いざ家に帰って問題集を解くと、『あれ? 今日習ったはずなのに解けない』ということがよくあります。生徒自身が弱点や理解度を把握するためにも、授業ノートは大切なツールとなるのです。そこで、ノートを教員が月に一度定期的にチェックし、学習指導にフィードバックしています」(熊谷先生)
学んだことを各種テストで
しっかりと定着させる
朝のホームルームの5分程度を利用した『朝テスト』も積極的に行っています。中1は週1回の漢字テストが中心。中2・中3は週2回で漢字テストと英検対策。高校では、各学年で週1~3回、評論文などの頻出重要語句や英単語、古文単語、大学入学共通テスト対策の数学テストを実施しています。
「基礎学力の定着を促し、応用力へとつなげていくのが小テストの目的です。小テストを定期的に行うことで、それに備える家庭学習もより習慣化されていきます」(水嶋先生)
「中学の朝テストは漢字と英語がメインなのですが、2024年度は試験的に、中2生にも数学の朝テストを実施しました。
随時受けている外部実力テストの試験範囲と朝テストの内容をリンクさせ、授業で教わってから半年以上経った単元を選んで出題しました。過去の単元を時間差で振り返ることにより、生徒にもいい刺激となったようで、実力テストの点数アップにつながりました」(熊谷先生)
朝テストのほか、単元ごとに『まとめテスト』も実施。さらなる学力定着を図ります。
「まとめテストでは主に英語文法や英単語を出題し、合格基準点を設けて、届かなかった生徒には補習でフォローアップを行っています。
学校で過ごす時間には限りがありますが、そのなかで生徒に前を向いてもらうための努力を、教員が一丸となって創意工夫しています」(水嶋先生)
学習の習慣化に加え、中学の定期試験前には自ら学習計画を立て、実行できるよう『学習計画表』を配布。試験後にも成果を振り返るプリントが用意され、達成度を確認します。
「学習計画表と振り返りを通じて、生徒はコツコツと勉強することの大切さや、試験勉強に早めに取り組む意味、復習の大切さに気づきやすくなります。こうして培った学習への意欲を、高校での学習やその後の大学受験にも大いに役立ててほしいです」(水嶋先生)
中1『一般コース』の英会話の授業。グループワークにも積極的で、活発なコミュニケーションを重視。英検2級以上の取得者を対象とする『国際コース』では、中1からネイティブ教員とオールイングリッシュの授業を行っています。
中1『一般コース』の英文法の授業。講義をしっかり聞き、教科書に書き込みをする生徒たち。
中1・社会科の授業。半分は板書、半分は資料を映すなど、電子黒板の利便性を有効に使った授業が行われています。育成のポイント①
『学習計画表』と『振り返り』が
学習の習慣化と意欲向上につながる

中間試験、期末試験ごとに配布される『学習計画表』には、各教科の目標点数、試験前2週間毎日の各教科に向けた学習内容と勉強予定時間数、実際に勉強した時間数などを記入。1週ごとに担任が内容をチェックし、アドバイスを送ります。
試験後には振り返りとして、試験の点数と、各教科の勉強で「やってよかったこと」「反省点」「次回に向けて」を記入。保護者からもコメントをもらいます。目標と計画立案→勉強→結果→振り返り・反省というルーティンを作ることで、生徒自身が成長を自覚。学習の習慣化につなげています。
育成のポイント②
漢検基準の「漢字テスト」など
『朝テスト』で基礎学力を定着

中高ともに基礎学力の積み上げに各種「小テスト」を重視。なかでも、全ての教科に通じる国語力、語彙力・読解力・表現力のレベルアップに向け、中1では週1回、朝のホームルームの約5分間を用いた『朝テスト』の時間に「漢字テスト」を実施。漢検問題集から読み・書きの両方が出題され、中3になると漢検準2級相当の難問が出題されます。合格点が設けられ、不合格者には追試を行い、長期休み期間には補習も実施します。
育成のポイント③
英語の基礎固めに効果的な
『オンライン英会話』の活用

4技能の力をバランスよく伸ばす同校の英語教育。中学では月1回、高校では週1回、フィリピンの語学学校講師とのマンツーマンによる『オンライン英会話』を実施しています。「中1では、英語の発話に苦手意識をもつ生徒も少なくありません。オンライン英会話では必然的に基礎英語を駆使した会話が必要ですし、マンツーマンなので恥ずかしさを気にせずレッスンが受けられます。英語の基礎力アップには最適な取り組みです」(水嶋先生)
発展力を育む
基礎学力の積み上げが
大学入試で“頑張れる”力に!
中学教頭・中学入試対策委員/熊谷和也先生(右)と中1学年主任・中学入試対策委員/水嶋瞳先生(左)「基礎学力は単に目の前の問題を解く力だけでなく、生徒が今後直面する大学入試、特に総合型選抜で必要とされる探究力や表現力の向上にも、しっかりと結びついている実感があります」(熊谷先生)
「本校でも総合型選抜で受験する生徒は増えています。基礎学力がしっかり身についた生徒は、総合型で残念な結果になったとしても、一般入試に意欲的に取り組み、合格を勝ち取っています。中学での積み上げが、学力をさらに伸ばす強固な土台になっています」(水嶋先生)
(この記事は『私立中高進学通信2025年8月号』に掲載しました。)
江戸川女子中学校
〒133-8552 東京都江戸川区東小岩5-22-1
TEL:03-3659-1241
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