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私立中高進学通信

2025年8月号

実践報告 私学の授業

芝浦工業大学柏中学校

探究テーマの宝庫で学ぶ体験
『アイスランド探究ツアー』

深い学びと自立、実践的英語力の向上もめざす海外研修

探究シーン1
数時間待ち、諦めかけた頃にオーロラが現れ、全員が感動に包まれたそうです。
オーロラを見て地学分野に興味を抱いた生徒も。

 高い幸福度、再生可能エネルギーなど、探究テーマにあふれた国アイスランドへの探究ツアーがスタート。高1・高2の希望者計18名が参加して学びを深め、多様な刺激を受けました。

現地高校生との街歩きや
企業訪問など体験が盛りだくさん
国際部部長/安江慶二先生国際部部長/安江慶二先生

 スーパーサイエンスハイスクールとして先進的なサイエンス教育を行うとともに、グローバル教育と探究学習に注力している芝浦工業大学柏。その一環として2025年3月に、希望制の『アイスランド探究ツアー』がスタートし、高1と高2の計18名が参加しました。探究・自立をテーマとする同ツアーについて、国際部部長の安江慶二先生は次のように話します。

「アイスランドは、地震と火山が多い島国という点で日本と似ており、火山の地熱を利用した地熱発電が盛んです。また、幸福度が高く、自由、平和、男女平等といった分野で先進的な取り組みを行っているほか、芸術も盛んな国で、文理両面で幅広い学びがあると感じました。生徒には現地を自由に歩き、たくさんのことを見聞きしてほしかったので、治安の良さも重要視しました」

 その学びの機会を最大限に活かすため、生徒たちは1年間をかけて「オーロラ」「地質」「海外で働くこと」などをテーマに、アイスランド大使館や現地ガイドの方、地学の教員から講義を受けました。その過程で興味のあるテーマをリサーチして、万全の事前学習を経て現地へと飛び立ちました。

 初日に訪れたのは、日本のスタートアップ企業が地熱を利用して栽培を行っているイチゴ農園です。

「甘くておいしいと世界的評価を得ている日本のイチゴを、ヨーロッパで生産・流通させるというビジネス的な視点、地熱と水力から生み出される環境負荷の少ないエネルギーが豊富なアイスランドを生産地に選んだという環境的な視点、そしてLEDなど最先端技術を使った持続可能な農業という観点からも学びがありました。
『将来、アイスランドで起業したい』と言い出す生徒もいて、さまざまな面でインスパイアされたようです」

 翌日はアイスランド大学と現地の高校を訪れ、学生にキャンパスを案内してもらいました。

「生徒たちは英語に苦戦しながらも、あっという間に現地の学生と仲良くなり、当日の夜には全員が彼らと街に繰り出し、街でホットドッグを食べたり買い物をしたりしていました。そうした体験ができるのも、治安の良いアイスランドならではですが、生徒たちの順応性と自主性、成長ぶりにも驚かされました」

 3日目は地熱発電所の見学、地熱による温泉「シークレットラグーン」の入浴体験、地熱を利用したトマト農家を見学し、そのトマトを使った昼食を楽しみました。このほか広大なグトルフォスの滝や、一定の周期で熱湯や水蒸気を噴出するゲイシール間欠泉、世界遺産「シンクヴェトリル」のギャウ(地球の割れ目)を訪れ、生徒たちは自然の不思議と雄大さに圧倒されていたと安江先生は振り返ります。

探究シーン2
アイスランドの高校前で。現地校の生徒に学校を案内してもらいました。「校内にはソファやラグが置かれた交流スペースが多くあり、壁にもアートがたくさん描かれていました」(Sさん)
探究シーン3
現地の大学にて。それぞれ自国の紹介などをして親交を深めました。帰国した後、ツアーでの体験を後輩たちに伝える報告会を実施。「次年度こそは参加したい」と希望者が倍増したそう。
探究シーン4
現地の高校生と街歩き。日本語を学んでいる現地生もいて、英語と日本語でコミュニケーション。「言葉が流暢じゃなくても伝わるんだ、友達になれるんだと実感しました」(Oさん)
探究シーン5
再生可能エネルギー100%のヘトリスヘイジ地熱発電所を訪問。「施設で使用しているタービンが日本製だと知りました」(Sさん)
探究シーン6
帰国後に開催されたツアー報告会の様子。ツアー参加者は5つのチームに分かれ、保護者や生徒約150名を前にアイスランドの魅力を伝えました。
「首都のレイキャビクは大都市なのに、すぐ近くに山が見渡せます。日本では見られない風景に感動しました」(Sさん)
今後はアイスランド以外の国で
『探究ツアー』も

 安江先生は探究ツアーに臨む生徒たちに、『これを見つけなさい』という指示はしなかったと言います。また、帰国後の4月には、ツアー報告会が開かれ、参加者たちは地熱発電やオーロラ、火山・地震などをテーマに、アイスランドでの調査・研究の成果をプレゼンテーションしました。

「自然豊かなアイスランドで、自分が何を捉えるか、何をフィードバックできるか、自由に感じてほしいと考えました。報告会でのプレゼンからは、各自がたくさんのことを感じ、学んでくれたことがよくわかりました。
 今回の成果を受け、2026年度以降は、アイスランド以外の国での探究ツアーも検討しています」

生徒に聞きました
都市開発に興味があり参加
世界が広がる探究体験
Oさん(高2)Oさん(高2)

 将来は都市開発に携わりたいと思っていて、再生可能エネルギー100%で自然豊かと聞き、日本と違う形の都市を見てみたいと参加しました。

 一番の思い出は現地の学生との交流です。皆で一緒に夕食を食べたり街を案内してもらったり。同じYouTuberが好きなど共通点もあって話題は尽きず、今もInstagramで連絡を取り合っています。

 この探究ツアーは、事前リサーチを経て現地で見て感じ、今まで見えなかったものが見えて世界が広がる体験でした。必要に迫られて英語を話す場面が多く、英語学習へのモチベーションも高まりました。今回が初めての海外でしたが、現地の人と交流して友達になれたことで自信がつきました。海外の地で実際に見て感じることの大切さを実感しました。


アイスランドのアートに触れ
デザイン工学の道へ
Sさん(高3)Sさん(高3)

 生活を豊かにするデザイン工学に興味があり、幸福度が高いと言われている国を見てみたくてツアーに参加しました。1日で雪、雨、晴れと天気が次から次へと変わること、信号がない横断歩道でも車がすぐに停まってくれたことが印象的でした。現地に来てみないとわからないことが体験できるのが、海外研修の醍醐味だと思います。

 現地の学生はとてもフレンドリーで、「日本の学校とはどう違う?」など、流暢な英語でどんどん話しかけてくれます。全部わからなくてもキーワードを拾ってすぐに返答するスキルが鍛えられ、実践的な英語力が高まったと感じました。日本にはないユニークなデザインを知ることができたのも大きな収穫で、デザイン工学の道に進みたいという進路がより明確になりました。

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