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私立中高進学通信

2025年8月号

私学の先生だから数学・理科・情報が面白い!

玉川学園中学部

あなたの「考え」が社会を変える!
「多角的思考」「社会形成力」を育む

︎ダイドードリンコ(株)とのコラボレーション授業「未来の自動販売機を考えて発表しよう」発表会の様子。

未来を切り拓く実践力!
社会を変える探究学習
技術・家庭科(技術分野担当)山田真也 先生技術・家庭科(技術分野担当)山田真也 先生
2003年から横浜市の中学校やロンドン日本人学校などで技術と数学を教える。2019年4月より同校中学部で技術を担当。

「全人教育」を理念に掲げ、教科教育に偏らず、芸術・道徳・生活など人間教育に力を注ぐ玉川学園。本物に触れて、感じて、表現することを重視しており、2020年からは企業や行政とのコラボレーション授業で「本物に触れる」機会を拡げています。

 技術・家庭科の山田真也先生のモットーは、「生徒の幸せのために」。生徒自ら課題を見つけ、考え、判断できる力を育む実践的で楽しい学びを通じて、予測困難な未来を生きていく生徒が、社会の一員として活躍する土台を築きます。

 授業の大きな特徴は、日常生活の「気づき」を取り入れるユニークなアプローチ。例えば、生徒がよくシャープペンシルを分解している姿を見て、授業に取り入れました。単に分解するだけでなく、「なぜこの部品が必要か」を考えさせ、仕組みを深く理解させ、改善点を企業に提案するところまで指導。生徒たちは身近なものから技術の原理や課題解決のプロセスを学び、探究心を育んでいます。

 また、企業とのコラボ授業やキャリア教育も積極的に進めています。2024年のダイドードリンコ(株)との協働授業「未来の自動販売機を考えて提案しよう」では、生徒たちは少子高齢化や環境問題、プラスチックごみやエネルギー問題などの現代社会の複雑な課題をテーマに、自動販売機が抱える問題点や役割を分析、「未来の当たり前」となる自動販売機を提案しました。

 授業プロセスは非常に実践的で、生徒は9班でアイデアを出し合い、学級内予選を経て決勝に進出。企業の担当者に直接プレゼンを行い、評価と講評を受けました。プレゼンテーションは「目的」「理由」「具体例・根拠」「展望」の4構成で行われ、論理的思考力と表現力を養いました。この授業は、数学、社会科、理科、言語技術など複数教科の要素を横断的に組み合わせた「教科横断型学習」の一環。統計を活用して課題を分析し、データを収集し、処理する能力、社会的事象を多角的に捉える視点や多様な価値観を理解し、協働して課題を解決する市民性を育むことが目標です。山田先生は、生徒が街で見つけた社会課題や問題点を調べてまとめ、発表する姿に成長を感じています。

「学ぶことは『ワクワクすること』であり、発見したことを言葉で説明できることの重要性を指導しています」と山田先生。単なる知識の伝達にとどまらず、正解のない問いに粘り強く思考する、実践的で探究的な学びの場を提供しています。

身近な自動販売機を通して未来について考える生徒たち

身近な自動販売機を通して未来について考える生徒たち。

こだわり その1
正解なき時代を生き抜く力!
多角的に考える力を養う授業

「キャリアプランニング能力の一つである人間関係形成・社会形成能力の育成は不可欠です」と話す山田先生。授業の大きな特色は、生徒自身が教え合う学びのスタイルです。自分がまとめた資料を仲間と見せ合い、伝え合い、教え合うなかで、コミュニケーションの重要性と、他者の視点から物事を考える面白さを実感できます。

 具体的な課題として生徒に与えられるのは、プラスチック、紙、米、竹の繊維という異なる素材でできた4種類のストロー。生徒たちはこれらのストローを実際に使って比べ、さまざまな角度から「最も使いたいストロー」を考察します。例えば、「色やデザインは?」「値段は?」「耐久性や安全性は?」といった日常的な視点に加え、「石油由来ではないか?」「微生物の働きで水とCO2に分解できるか?」といった地球環境への配慮まで、多角的に検討します。すぐにふやけないか、曲げて使えるかなど、使いやすさも重要な判断基準です。

 まず、一人ひとりが自分の考えと選んだ理由をまとめます。次にその意見を班で共有し、活発な議論を行います。ここで大切なのは、自分と他者の意見の共通点や相違点に気づき、班として最適な結論を決める練習です。多様な意見から最善解を見つけ出すプロセスを通して、真の合意形成と意思決定のスキルを身につけます。

 班の結論は「エレベーターピッチ」と呼ばれる短時間のプレゼンテーションで発表します。伝えたいことを簡潔に、力強くまとめるこの練習は、論理的思考力と表現力を大きく伸ばします。この授業で培われる「多角的に考える力」や「人間関係形成・社会形成能力」は、年度末に行われる企業とのコラボレーション授業など、発展的な学びへとつながっていく重要な土台となります。

ストローをテーマにした授業。実際にストローを使って比べる生徒たち

ストローをテーマにした授業。実際にストローを使って比べる生徒たち。

こだわり その2
「普段使い」から「技術のひみつ」を発見!
7年生・シャープペンシル分解授業

 中学部7年生(中学1年生)が技術の授業でまず取り組むのは、身近な道具に隠された「技術のひみつ」を探るワクワクする探究です。この授業では、誰もが毎日使うシャープペンシルを題材に、素材の特性とものづくりの奥深さを学びます。授業では、プラスチック、金属、木材といったさまざまな素材の特性を学習した後、実際にシャープペンシルを分解します。シャープペンシルを製造するセーラー万年筆(株)から提供された部品の素材と役割に関する情報は、生徒たちの探究心をさらに刺激します。

 生徒たちは配られたシャープペンシルを手に、部品を注意深く観察し、考察を深めます。「なぜこの部品は金属でなければいけないのか?」「金属のどんな特性が活かされているのか?」――これまでの学習内容と結びつけながら、自らの目で検証していきます。さらに、「なぜキャップに小さな穴が開いているのか?」「グリップはなぜ六角形なのか?」など、普段は気に留めないような細部にまで疑問をもつことが、ここではとても大切です。何気なく使っている道具の裏側にある開発者の想いや工夫を感じ取ることで、ものづくりへの新たな視点が生まれます。

 分解の後は、A4用紙1枚にオリジナル分解図レポートを作成します。レポートには2つの条件があります。一つは、「シャープペンシルを知らない人に、その仕組みを紹介する」視点で書くこと。芯の出し方を説明する際も、どのように表現するかは自由なので、生徒の個性が光る紹介文が生まれます。もう一つは、全て手書きであること。図をていねいに描いたり、吹き出しやイラストを工夫したりと、思い思いの表現で世界に一つだけのレポートを完成させます。

シャープペンシルを分解したり、お互いが持っている製品を比較するなど、
生徒たちはさまざまな角度から検証を進めます。

「シャープペンシルに使われているプラスチックを排除しても使用できるか」
という視点でまとめられた詳細なレポート。

(この記事は『私立中高進学通信2025年8月号』に掲載しました。)

玉川学園中学部  

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
TEL:042-739-8931

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