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私立中高進学通信

2025年8月号

実践報告 私学の授業

芝浦工業大学附属中学校

理工系の知識で社会課題を解決
唯一無二の『SHIBAURA探究』

中学『総合探究』が高校での探究につながる

探究シーン1
『SHIBAURA探究DAY』の様子。この班は“どうしたら紙媒体の本が今より売れるか?”を
テーマに、書店調査や紙の本が脳に与える影響など、データに基づいた提案を図書室で発表。

「総合的な学習の時間」を基準時間より増やし、教員による独自探究プログラム『SHIBAURA探究』を実施する同校。大学での学びにも直結する高度なアプローチがそこにあります。

中学探究での学びの集大成
中3の『総合探究』
総合探究担当・国語科/山川翔馬先生総合探究担当・国語科/山川翔馬先生

 芝浦工業大学の附属校として、国内では数少ない中高大の一貫教育で理系人材の育成を推進している芝浦工業大学附属。理工系の知識で社会課題を解決できるよう、中学ではオリジナルな探究活動『SHIBAURA探究』を精力的に行っています。

 中学でのSHIBAURA探究は、2つの段階に分かれます。中1~中3の1学期までは、ITツールを駆使してアイデアを形にしていく実践型授業『IT(Information Technology)』と、グローバルな視点で地域や国内、海外の社会課題に対してPBL(課題解決型学習)で取り組む『GC(Global Communication)』という2軸のプログラムを並行して展開。中3の2学期からは『IT』と『GC』の学びを集約し、『総合探究』へとアップデートします。

「『IT』と『GC』では課題を教員が設定しますが、中3の『総合探究』では生徒たちが中1・中2で得た学びをもとに、自ら課題を設定するところから始まります。教員をメンターにして、長期的なグループワークで全てを進めるのも、総合探究の特徴です。
『IT』『GC』の学びで培ったスキルを能動的に駆使して、自らが立てたテーマへの探究に取り組む総合探究は、より高度で深い課題に個人で挑む、高校での『工学探究』への自走準備期間ともなっています」(総合探究担当・国語科/山川翔馬先生)

 グループワークによる中3の『総合探究』には、「①自分を知る」「②テーマを立てる」「③チームをつくる」「④探究する」「⑤発表する」という5つのフェーズが設定されています。しっかり段階を踏んで生徒が歩むことで、よりハイレベルな探究活動へとスムーズに導かれます。

「段階でいうと『自分を知る』~『テーマを立てる』までは個人活動です。自分の興味や関心をしっかり可視化することで、自分がやりたい探究テーマとは何かを、より能動的に考えられるようになります。さらにこの2つのフェーズの間には、後のグループ探究につながるよう『ストローでタワーを作る』といった簡単な実験を挟み、リーダーシップをとる人、構造を設計する人、実作業をする人、作業計画を練る人など、グループで役割分担をしてもらい、プロジェクトマネジメントの意識づけも行っています」

高1生が客観的な視点で
探究グループを編成
『総合探究』の探究活動は、3~5名のグループワークで進行。探究の核となる問いを立て、さまざまな課題の根本にある「本質的な課題」を見つけ、掘り下げていきます。探究シーン2
『総合探究』の探究活動は、3~5名のグループワークで進行。探究の核となる問いを立て、さまざまな課題の根本にある「本質的な課題」を見つけ、掘り下げていきます。

「チームをつくる」フェーズにも、同校ならではの工夫があります。

「『総合探究』のグループ編成にあたっては、高1生に協力を依頼し、中3生が挙げたテーマを客観的に分類してもらったうえで、グループを編成しています。一般的に見られる、生徒同士の呼びかけや教員主導によるグループ分けとは異なり、より多角的で新鮮なグループ構成が実現できています」

 そして「探究する」~「発表する」のフェーズは、生徒グループが主体となって、中3の2学期から約5カ月間をかけて探究学習を進めます。その成果は2月に行われる『SHIBAURA探究DAY』で発表されます。

「『探究する』フェーズでは、データサイエンスの考え方に基づいた進め方を学んでもらうのも大きなねらいです。全員でフィールドワークを行うなど複数のルールを徹底し、計画的・自走的に学ぶスキルを身につけてもらいます。高校の『工学探究』では、アイデアの創出だけでなく、それを実現するプロトタイプの実装・検証までを行うハイレベルな探究が待っています。中学の『総合探究』は、生徒の将来につながる学びの一歩でもあるのです」

探究レポート
5つのフェーズで社会課題解決を考える
「総合探究」
フェーズ1自分を知る
自分を知る
                探究シーン3

 中1・中2の探究活動で身につけたスキルや知識を『内容知・方法知マップ』に記入して整理。MBTI診断など自己診断テストも交えながら、自分の強みを客観的に分析。自身の興味や関心をさらに広げ、探究活動への足がかりとします。


フェーズ2テーマを立てる
テーマを立てる探究シーン4

『自分を知る』で把握した自己分析をもとに、興味ある社会課題に通じる探究テーマを見いだし、『個人探究計画書』を策定。プロジェクトマネジメントを理解するチーム実験(写真)やPBLパズルなども体験。


フェーズ3チームを作る
チームを作る探究シーン5

『個人探究計画書』に基づいて、探究チームを編成。チームのグルーピングは、各生徒の探究テーマの類似性や親和性をより客観的に分類するため、教員ではなく高1生の探究チームが担当。各班は3~5名で編成され、トータルで約40班に。


フェーズ4探究する
探究する探究シーン6

「情報収集をインターネットだけで完結させない」「テーマにまつわる専門家や企業人にインタビューをする」「全員で必ずフィールドワークを行い情報を確かめる」「論文や書籍を2冊以上読み、根拠とする」といったデータサイエンスに基づく明確な要件を指針に、探究活動を実践。


フェーズ5発表する
発表する探究シーン7

 探究活動の成果は、2月の『SHIBAURA探究DAY』で発表。写真は、プログラミング力を活かして『VR×職業体験』をテーマに探究した班の発表風景。VRゴーグルを使ったソフトウェア体験を行いました。

ココも注目!
高校『工学探究』で学ぶこと

 中学での探究活動は、高1・高2の『工学探究』でさらに進化。週1時間の「総合的な探究の時間」を使って2年間で1つのプロジェクトに取り組み、アイデアの実装をめざします。

 2024年度は『2024未来創造ベンチャー』と題し、すでに実装されている秀でたテクノロジーやシステムの調査に始まり、“テクノロジーでセカイに新しい価値を創出する”プロトタイプのアイデアを、3DCGで描いた設計図やアプリのUIとして実際に制作し、『探究DAY』でポスター発表を行います。こうして探究のクオリティをさらに高めていくのです。

進学通信 2025年8月号
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